営業マインドセット(第11回:営業は、利益責任者)

 「営業は売上責任者ではなく、利益責任者である」

営業の仕事は何か。

この問いに対して、多くの人はこう答えます。

「売上を上げること」確かに間違いではありません。

しかし、経営という視点で見たとき、それは半分しか正解ではありません。

なぜなら、会社は売上ではなく利益で存続しているからです。

・売上が増えても会社は潰れる

極端な例を考えてみましょう。

100万円の商品を90万円で売れば売上は立つ。しかし利益は赤字である。もし営業担当者が「目標売上は達成しました」と言っても、その結果として会社の利益が失われているのであれば、それは経営に貢献したとは言えません。

現実の企業でも同じです。

過度な値引き

採算の悪い案件の受注

無理な短納期対応

特別仕様への対応

これらは売上を作ることはできます。しかし利益を削り取っている可能性があります。

数字だけを見ると好調に見えても、実態は利益を失っているケースは少なくありません。

・売上思考と利益思考の違い

売上思考の営業はこう考えます。

「いくら売れるか」

利益思考の営業はこう考えます。

「いくら残るか」

一見似ているようで、実はまったく異なります。

例えば1000万円の案件があったとします。

粗利率5%なら利益は50万円。

一方で300万円の案件でも粗利率30%なら利益は90万円。

経営的に価値が高いのは後者です。

ところが売上だけを追う営業は前者を選びます。利益を考える営業は後者を選ます。

この差が企業の収益力を大きく左右します。

 一流営業は値引きを武器にしない

利益責任者という意識を持つ営業は、簡単に値引きをしません。なぜなら値引きは利益を直接削る行為だからです。

例えば利益率20%の商品を10%値引きした場合、利益は半減します。

営業はしばしば、「契約を取るためだから仕方ない」と言います。しかし本当にそうでしょうか。

値引きとは営業力不足を価格で補っている状態かもしれません。

提案価値が伝わっていない

差別化できていない

顧客課題を深く理解できていない

これらの問題を解決せずに価格だけ下げても、企業体力は弱くなっていきます。

優秀な営業ほど価格以外の価値で勝負します。 利益を意識すると営業行動が変わります。

利益責任者になると営業活動そのものが変わります。単なる受注件数ではなく、

粗利率

案件別採算

顧客別利益

商品別利益

継続取引利益

を見るようになります。

すると不思議なことが起きます。「売れば売るほど儲かる顧客」と「売れば売るほど苦しくなる顧客」が見えてきます。この視点を持たない営業組織は、忙しいのに利益が残らないという状態に陥ります。

・ 経営者視点を持つ営業が成長する

営業として成長したいなら、担当者視点だけでは不十分です。自分の案件を会社全体の損益から見る習慣が必要である。

この案件は利益を生むのか

追加コストは発生しないか

将来の収益につながるか

適正価格で販売できているか

これらを考えられる営業は、やがて管理職になり、事業責任者になり、経営人材へと成長していきます。

売上だけを見る営業は作業者で終わる。

利益を見る営業は経営者に近づく。

 最後に売上は企業活動の結果です。しかし利益は企業の未来です。売上だけを追いかける営業組織は、一見華やかに見ます。しかし、利益を追いかける営業組織は強い。営業とは単なる受注担当者ではありません。会社の利益を創り出す最前線の経営者なのです。

「この案件はいくら売れるか」ではなく、「この案件はいくら利益を残せるか」その問いが、営業を一段高いステージへ導いてくれます。

営業マインドセット(第10回:確率を管理する)

 営業は案件を管理する仕事ではなく、確率を管理する仕事である

営業という仕事において、多くの人が勘違いしていることがあります。

それは、「営業とは案件を管理する仕事である」という考え方です。もちろん案件管理は重要です。しかし、成果を安定して出し続けるトップ営業や優秀な営業マネージャーは、案件そのものではなく、案件の確率を管理しています。

営業は未来を扱う仕事です。

未来は確定していません。

だからこそ営業に求められるのは、「当たるか外れるか」ではなく、「どれくらいの確率で実現するのか」を考える思考なのです。

・営業は予言者ではない

営業会議でよくある光景があります。

管理職が、「この案件は決まるのか?」と質問します。

担当者は、「たぶん大丈夫です」「おそらく決まります」「感触は良いです」と答えます。

しかし、感触は数字ではありません。希望も予測ではありません。営業は予言者ではないのです。

重要なのは、客観的な事実から確率を推定することです。

・トップ営業は「感覚」を疑う

成果の出ない営業ほど、自分の感覚を信じます。

 お客様は乗り気だった

 雰囲気は良かった

 反応は悪くなかった

しかしトップ営業は、感覚より事実を見ます。

例えば、

 決裁者と会えているか

 課題が明確になっているか

 予算が確保されているか

 導入時期が決まっているか

 競合状況は把握できているか

こうした事実を積み上げて、受注確率を判断します。

・案件は白か黒ではない

営業経験が浅い人ほど、案件を「取れる」「取れない」で考えます。しかし現実はそんなに単純ではありません。

例えば、

 A案件:受注確率80%

 B案件:受注確率50%

 C案件:受注確率20%

という状態があります。

優秀な営業は、この違いを見極めています。だから行動の優先順位も変わります。

・パイプラインが営業を強くする

営業成果は偶然ではありません。パイプライン管理によって生まれます。

例えば、

100件の見込み客から

 50件が商談化

 20件が提案化

 10件が見積化

 5件が受注

という流れが見えていれば、不足している工程が分かります。すると、「もっと受注を増やせ」ではなく、「商談数を増やそう」という具体的な改善ができます。

・優秀な営業は失注も予測する

成果の出ない営業は、受注予測ばかり考えます。しかしトップ営業は、失注予測も行います。

例えば、

 決裁者と会えていない

 競合優位性が高い

 課題が曖昧

 予算未確定

という案件は危険信号です。つまり、案件を見るのではなく、リスクを見るのです。

・確率思考が精神的な安定を生む

営業は断られる仕事です。だから感情に左右されやすい。しかし確率思考を持つと変わります。

例えば、

受注率20%の営業なら、10件提案して8件断られるのは普通です。ところが感覚営業だと、1件断られるたびに落ち込みます。確率思考を持つ営業は、断られることも計算の中に入っています。だからブレません。

・営業マネージャーの役割

営業マネージャーの仕事も同じです。案件を追いかけることではありません。確率を高めることです。

例えば、

 ヒアリング精度を上げる

 提案品質を高める

 決裁者面談率を上げる

 商談数を増やす

こうした改善によって、組織全体の勝率が上がります。

・科学としての営業

昔の営業は経験と勘の世界でした。しかし現代営業は違います。成果を出す組織ほど、数字を分析しています。

 商談化率

 提案化率

 受注率

 リピート率

 紹介率

これらを継続的に追いかけています。営業は根性論ではなく、再現性のある科学になりつつあるのです。

・本当に管理すべきもの

営業担当者が管理すべきなのは、案件数ではありません。確率です。営業マネージャーが管理すべきなのは、売上だけではありません。プロセスです。

未来は予測できません。しかし確率は改善できます。そして確率を改善し続けた組織が、最終的に大きな成果を手にします。

 三流の営業は案件を追う。

 二流の営業は売上を追う。

 一流の営業は確率を管理する。

 営業は未来を当てる仕事ではない。

 未来が実現する確率を高める仕事である。

 あなたは今日、案件を見ていただろうか。

 それとも確率を見ていただろうか。

営業マインドセット(第9回:顧客の意思決定を成功させる)

営業は競合に勝つ仕事ではなく、顧客の意思決定を成功させる仕事である

営業会議でよく聞かれる言葉があります。

 競合はどこだったのか

 なぜ競合に負けたのか

 どうすれば競合に勝てるのか

もちろん競合分析は重要です。

しかし、ここで注意しなければならないことがあります。営業が競合ばかり見始めると、本来見るべきものを見失うことがあるのです。本来営業が向き合うべき相手は競合ではありません。顧客です。そして営業の本当の使命は、競合に勝つことではなく、顧客の意思決定を成功に導くことなのです。

・競合中心の営業が陥る罠

競合を意識しすぎる営業は、次第にこんな行動を取るようになります。

 他社の悪口を言う

 価格比較ばかりする

 スペック競争に巻き込まれる

 値引き合戦に参加する

すると商談の主役が顧客ではなく競合になります。

顧客が知りたいのは、「どちらが勝つか」ではありません。「自社にとって何が最善か」

です。営業が競合との勝負に夢中になるほど、顧客視点は失われていきます。

・顧客が失敗する意思決定とは

顧客にとって最悪なのは何でしょうか。競合商品を選ぶことではありません。本当に困るのは、間違った意思決定をすることです。

例えば、

 安さだけで選ぶ

 流行だけで選ぶ

 上司の好みで選ぶ

 十分な検討をしない

結果として、

 導入効果が出ない

 現場が使わない

 投資回収できないという事態になります。

これは顧客にとって大きな損失です。

・ 優秀な営業は競合も尊重する

成果を出す営業ほど、競合を過度に否定しません。なぜなら、競合にも強みがあることを理解しているからです。むしろ、「その点については競合の方が優れているかもしれません」と正直に伝えることもあります。その代わり、

 なぜ自社を選ぶべきか

 どんな企業に向いているのか

 どんな価値が得られるのかを明確に説明します。その姿勢が信頼を生みます。

・勝つべき相手は競合ではない

営業が本当に勝つべき相手があります。それは競合ではありません。顧客の中に存在する、

 現状維持

 不安

 迷い

 誤解

 判断材料不足です。

実は多くの案件で最大のライバルは競合他社ではなく、「何も変えない」という選択肢です。営業の役割は、顧客が適切な判断をできる状態を作ることです。

・顧客成功を考える営業は強い

優秀な営業は受注後まで考えています。契約した瞬間がゴールではありません。本当のスタートです。

例えば、

 導入後に成果は出るか

 現場に定着するか

 投資対効果は出るか

 継続利用されるかを考えています。なぜなら顧客成功こそが営業成功だからです。

・価格競争から脱却する方法

価格競争に巻き込まれる営業には共通点があります。それは、競合比較ばかりしていることです。一方で価格競争から脱却する営業は、顧客の未来を語ります。

 導入後に何が変わるか

 どんな成果が出るか

 どんなリスクを回避できるかを具体的に示します。

顧客が未来をイメージできるようになると、比較対象は価格ではなく成果になります。

・営業マネージャーが変えるべき会議

営業会議でも同じことが言えます。ありがちな会議は、

 競合はどこか

 値引きはできるか

 勝率はどうか

という話で終わります。しかし強い組織は違います。

 顧客の成功条件は何か

 顧客は何を不安に思っているか

 導入後の成果は何か

 どんな支援が必要か

を議論します。視点が競合から顧客へ変わるのです。

・顧客の成功が最大の差別化になる

現代では商品差が小さくなっています。情報も価格も比較されます。だからこそ差別化の源泉は、顧客成功への関与度になります。顧客が成功すれば、

 リピートが生まれる

 紹介が増える

 信頼が高まるという好循環が生まれます。これこそが持続的な営業成果です。

・本当に目指すべきもの

営業担当者は、競合に勝ったかどうかではなく、顧客の意思決定を成功させたかどうかを考えるべきです。仮に受注できたとしても、顧客が失敗すれば意味がありません。逆に顧客が成功すれば、信頼は積み上がり、次の機会が生まれます。

営業の本当の勝利とは、契約書へのサインではなく、顧客が成果を出すことなのです。

 三流の営業は競合を意識する。

 二流の営業は自社商品を意識する。

 一流の営業は顧客の成功を意識する。

競合に勝つことが目的ではない。

 顧客の意思決定を成功させることが目的である。

 あなたは今日、競合を見ていただろうか。

 それとも顧客の未来を見ていただろうか。

営業マインドセット(第8回:顧客価値を発見)

 営業は商品価値を伝える仕事ではなく、顧客価値を発見する仕事である

営業研修でよく見かける光景があります。

営業担当者が一生懸命に商品の特徴を説明しているのです。

 高性能です

 高品質です

 業界トップクラスです

 他社より優れています

しかし、どれだけ熱心に説明しても顧客の反応が薄いことがあります。なぜでしょうか。理由は簡単です。顧客は商品価値そのものに興味があるのではなく、自社にとってどんな価値が生まれるのかに興味があるからです。

つまり営業の仕事は、商品価値を語ることではなく、顧客にとっての価値を発見することなのです。

・同じ商品でも価値は変わる

営業が理解しなければならない重要な事実があります。それは、価値は商品に存在するのではなく、顧客の中に存在するということです。例えば同じシステムでも、ある企業にとっては「業務効率化」が価値かもしれません。別の企業にとっては「人手不足対策」が価値かもしれません。また別の企業にとっては「属人化解消」が価値かもしれません。商品は同じです。しかし価値は違います。だから営業は商品説明よりも先に顧客理解が必要なのです。

・顧客はドリルではなく成果を買う

営業の世界では有名な話があります。顧客はドリルが欲しいのではありません。穴が欲しいのです。しかし実際にはそれだけではありません。顧客は穴が欲しいのでもありません。その穴によって実現する未来が欲しいのです。

例えば、

 売上を増やしたい

 コストを下げたい

 利益を増やしたい

 人材不足を解消したい

 市場競争に勝ちたい

顧客が購入しているのは、商品ではなく成果なのです。

・潜在課題を発見できる営業が強い

顧客が口にする課題は氷山の一角です。見えている問題の下には、もっと大きな本質的課題が隠れています。例えば、顧客は「新規顧客が増えない」と言います。しかし掘り下げると、

 ターゲット設定が曖昧

 営業プロセスが属人化

 提案力不足

 マネジメント不全

が原因かもしれません。

優秀な営業は、顧客自身も気づいていない問題を発見します。そして、「そこが本当の課題だったのか」という気づきを提供します。

・商品説明が長い営業ほど危険

成果が出ない営業ほど、商品の説明時間が長くなります。なぜなら、知っていることを話した方が楽だからです。一方でトップ営業は違います。商品説明の前に、徹底的に顧客を理解しようとします。なぜなら、価値が見つからなければ提案できないことを知っているからです。顧客価値を理解しない商品説明は、地図を持たずに目的地へ向かうようなものです。

・顧客価値は数字で考える

優秀な営業は価値を感覚で語りません。数字で考えます。

例えば、

 売上が何%向上するのか

 利益がいくら増えるのか

 工数が何時間削減できるのか

 ミスがどれだけ減るのかです。

顧客価値を定量化できる営業は強いのです。なぜなら顧客の意思決定は最終的に投資判断だからです。

・営業は課題発見業である

営業を販売業だと思うと限界があります。しかし課題発見業だと考えると世界が変わります。顧客が気づいていない課題を見つける。顧客が見えていないリスクを示す。顧客が想像していない可能性を示す。これが営業の存在価値です。単なる御用聞きではありません。顧客の未来を広げる仕事なのです。

・営業マネージャーが育てるべき能力

営業育成において管理職が注目すべきなのは、商品知識だけではありません。むしろ重要なのは、

 仮説構築力

 課題発見力

 業界理解力

 財務理解力

 経営視点です。

なぜなら顧客価値は商品から生まれるのではなく、顧客理解から生まれるからです。

・ 価値は創るものである

多くの営業は、商品の価値を説明しようとします。しかしトップ営業は、顧客と一緒に価値を創ります。顧客との対話の中で、

 こういう使い方ができる

 こんな成果が期待できる

 この課題も解決できる

という新しい価値を見つけていきます。

これが提案営業の本質です。

・本当に売っているもの

営業が売っているのは商品ではありません。ましてや機能でもありません。営業が売っているのは、顧客が実現したい未来です。その未来を具体化し、価値として見える形にすること。それこそが営業の重要な役割なのです。

 三流の営業は商品を説明する。

 二流の営業は価値を説明する。

 一流の営業は価値を発見する。

 顧客は商品の機能を買うのではない。

 自社の未来を変える可能性を買うのである。

 あなたは今日、商品を説明しただろうか。

 それとも顧客価値を発見しただろうか。

Evoto

営業マインドセット(第7回:納得を支援)

 営業は説得する仕事ではなく、納得を支援する仕事である

営業という仕事に対して、多くの人が抱いている誤解があります。

それは、「営業とは相手を説得する仕事である」という考え方です。確かに昔の営業では、話術や押しの強さで契約を獲得するスタイルも存在しました。しかし現代の営業環境では、その考え方は通用しなくなっています。なぜなら顧客は営業担当者よりも多くの情報を持てる時代になったからです。

インターネットで調べれば、

 商品情報

 価格情報

 導入事例

 競合比較

のほとんどが手に入ります。そんな時代において営業に求められる役割は、説得ではなく、顧客が正しい意思決定を行うための支援なのです。

・説得しようとするほど人は抵抗する

心理学には「心理的リアクタンス」という考え方があります。人は自由を制限されると反発したくなる性質があります。

例えば、

 絶対に買った方がいいです

 今契約しないと損です

 他社では無理です

と言われるほど、顧客は警戒心を強めます。なぜなら、「自分で判断したい」という欲求が働くからです。つまり説得は時として逆効果になるのです。

顧客が求めているのは判断材料

顧客が本当に求めているのは何でしょうか。それは、営業担当者の意見ではありません。判断材料です。

顧客は、

 導入メリット

 導入リスク

 費用対効果

 他社事例

 想定課題

を理解した上で判断したいのです。

優秀な営業は、結論を押し付けません。判断材料を整理して提供します。そして最終判断は顧客に委ねます。

・「買う理由」より「買わない理由」を理解する

多くの営業は、顧客がなぜ買うのかばかり考えます。しかしトップ営業は、顧客がなぜ買わないのかを考えます。

例えば、

 失敗したくない

 責任を負いたくない

 現状維持の方が安全

 社内説明が難しい

などです。

意思決定を妨げる要因を理解しなければ、どれだけ商品の良さを説明しても前には進みません。営業とは、購入理由を増やす仕事ではなく、意思決定の障害を取り除く仕事なのです。

・クロージングの本質

クロージングという言葉を聞くと、契約を迫るイメージを持つ人がいます。しかし本来のクロージングとは、顧客の意思決定を整理することです。

例えば、

 導入後の効果は明確ですか

 不安な点は残っていますか

 社内調整で課題はありますか

 判断に必要な情報は揃っていますか

こうした確認を通じて、顧客自身が納得して判断できる状態を作ります。これが本来のクロージングです。

・納得がなければ継続はない

仮に強引な説得で契約が取れたとします。しかし顧客に納得感がなければ、後から問題が発生します。

 クレームになる

 解約になる

 紹介が生まれない

 信頼が失われる

という結果になります。

一方で納得して契約した顧客は、多少の問題が起きても前向きに協力してくれます。なぜなら自分で選択したという意識があるからです。

・優秀な営業ほど急がない

成果を出す営業には共通点があります。それは、顧客を急かさないことです。もちろん決断を先延ばしにさせるわけではありません。しかし、無理に背中を押すこともしません。顧客が十分理解し、十分納得し、十分準備できる状態を作ります。その結果、決定後の満足度も高くなります。

・営業マネージャーが教えるべきこと

管理職が部下に教えるべきなのは、説得テクニックではありません。本当に教えるべきなのは、意思決定支援の考え方です。

例えば、

 顧客の判断基準は何か

 誰が決裁権を持っているのか

 どんなリスクを恐れているのか

 社内で何を説明しなければならないのか

を理解させることです。

これができる営業は、契約後も顧客との良好な関係を維持できます。

営業は顧客の代理人でもある

営業は自社の利益を代表する立場です。しかし同時に、顧客の利益も守らなければなりません。そのためには、売ることだけを考えてはいけません。顧客にとって本当に良い選択かどうかを考える必要があります。この姿勢が信頼を生みます。そして信頼が長期的な成果を生みます。

 ・本当に優れた営業とは

優れた営業とは、説得が上手い人ではありません。顧客が、「自分で正しい判断ができた」と思える状態を作る人です。顧客は契約したことよりも、納得して決断できたことを評価します。その支援ができる営業こそ、真に価値のある営業なのです。

 三流の営業は説得する。

 二流の営業は説明する。

 一流の営業は納得を支援する。

 顧客は説得されたいのではない。

 正しい判断をしたいのである。

 あなたは今日、顧客を説得しただろうか。

 それとも納得を支援しただろうか。

営業マインドセット(第6回:人間的信用)

 営業は商品を売る仕事ではなく、自分自身を信頼してもらう仕事である

営業という仕事を長く続けていると、ある事実に気づきます。それは、同じ商品を扱っていても売れる人と売れない人がいるということです。

価格も同じ。

品質も同じ。

納期も同じ。

提案資料も同じ。

それにもかかわらず成果に大きな差が生まれます。なぜでしょうか。その答えは、顧客が商品だけを見ているのではなく、「誰から買うのか」を見ているからです。

 ・顧客は商品を買う前に営業を見ている

顧客は契約書にサインする前に、無意識のうちに次のことを判断しています。

 この人は信用できるか

 約束を守る人か

 困った時に助けてくれるか

 本音を話してくれるか

 長く付き合える相手か

つまり顧客は、商品を評価する前に営業担当者を評価しているのです。実際、多くの商談では商品差よりも担当者差の方が大きな影響を与えています。

・なぜ同じ商品で差が生まれるのか

営業の世界には昔からこう言われています。

 人は商品を買うのではない。

 人から買うのである。

これは決して精神論ではありません。

例えば顧客が二つの提案で迷っているとします。性能差はほとんどありません。価格差も小さい。その時に最後の決め手になるのは何でしょうか。多くの場合、「この人なら安心できる」という感覚です。つまり信頼です。

・信頼は小さな行動から生まれる

営業の信頼は特別な能力から生まれるわけではありません。

むしろ日常の小さな行動の積み重ねです。

例えば、

 約束した時間を守る

 連絡を放置しない

 調べると言ったことを忘れない

 分からないことを誤魔化さない

 ミスを素直に認める

こうした行動が信頼を形成します。

逆にどれほど話が上手くても、

 約束を守らない

 嘘をつく

 責任転嫁する

人は信用されません。

・売り込む人より相談される人になる

売れない営業ほど、顧客に売ろうとします。

売れる営業ほど、顧客から相談されます。この差は非常に大きいものです。売り込まれる相手には警戒心を持ちます。しかし相談相手には本音を話します。

トップ営業は顧客から、

どう思いますか

 他社ならどうしていますか

 この判断で大丈夫でしょうかと意見を求められます。

ここまで来ると営業は単なる販売担当ではありません。顧客のパートナーになっています。

・誠実さは短期的に損をし、長期的に勝つ

営業人生では、誠実でいることが不利に見える場面があります。

例えば、

 商品の弱点を伝える

 導入リスクを説明する

 無理な契約を断るなどです。

短期的には受注を逃すかもしれません。しかし長期的には大きな信頼を獲得します。顧客は思っている以上に営業を見ています。誠実な営業は忘れられません。そして信頼された営業には再び相談が来ます。

 ・人間力の差が成果の差になる

営業力というと、

ヒアリング力

提案力

プレゼン力

クロージング力

が注目されます。

しかし一定レベルを超えると、差を生むのは人間力です。

例えば、

 謙虚さ

 誠実さ

 責任感

 学習意欲

 感謝の気持ちです。

顧客は最終的に、この人と長く付き合いたいかを判断しています。

 ・信頼は借りることはできない

営業成績は一時的に作ることができます。キャンペーンもあります。値引きもあります。偶然もあります。しかし信頼だけは違います。信頼は積み上げることしかできません。近道も裏技もありません。だからこそ強いのです。

そして一度築いた信頼は、

 リピート

 紹介

 継続取引

という形で営業人生を支えてくれます。

・営業マネージャーが育てるべきもの

管理職が部下に教えるべきなのは、営業テクニックだけではありません。本当に育てるべきなのは、信頼される人間性です。なぜなら、スキルは真似できます。商品知識も学べます。しかし人格は日々の習慣からしか形成されません。強い営業組織は、数字だけでなく信頼される行動を評価しています。

・本当に売っているもの

営業担当者は商品を売っていると思いがちです。しかし実際には違います。顧客が購入しているのは、安心感であり、期待であり、信頼です。商品はその手段に過ぎません。だからこそ営業は、商品知識を磨くだけでなく、自分自身を磨かなければなりません。

 三流の営業は商品を売る。

 二流の営業は提案を売る。

 一流の営業は信頼を売る。

 顧客は何を買うかで悩む。

 しかし最後は誰から買うかで決める。

 あなたの商品が選ばれたのか。

 それとも、あなた自身が選ばれたのか。

営業マインドセット(第5回:失敗から学ぶ)

営業は断られない仕事ではなく、断られてから始まる仕事である

営業という仕事に就いたばかりの人が最初にぶつかる壁があります。それは、「断られること」です。電話をかけても断られる。アポイントを依頼しても断られる。提案しても断られる。見積もりを出しても断られる。営業を始めたばかりの頃は、断られるたびに自信を失う人も少なくありません。しかし、ここで知っておかなければならないことがあります。営業とは、断られない仕事ではありません。むしろ、断られてから始まる仕事なのです。

・「NO」は終わりではなく情報である

多くの営業は断られると、「嫌われた」「興味を持たれなかった」「自分の説明が悪かった」と考えます。しかし実際には違う場合が多くあります。

顧客が「NO」と言う背景には、

 タイミングが悪い

 予算がない

 優先順位が低い

 社内調整が必要

 現状に不満を感じていない

 リスクを恐れているなど様々な理由があります。

つまり、「NO」は拒絶ではなく情報なのです。優秀な営業は断られた瞬間に落ち込むのではなく、「なぜNOなのか」を考え始めます。

・失注は営業の通知表である

失注を恐れる営業は成長が遅くなります。なぜなら失敗から学ばなくなるからです。一方でトップ営業は、失注案件を徹底的に分析します。

例えば、

 顧客の課題認識は十分だったか

 決裁者を把握していたか

 競合との差別化はできていたか

 導入効果を数値化できていたか

 信頼関係は構築できていたかを振り返ります。

つまり失注は、営業力を映し出す鏡なのです。

・成長する営業は敗因を探す

成果が出ない営業ほど、

 景気が悪い

 商品力が弱い

 競合が安い

 顧客が理解してくれないと外部要因を探します。

一方で成果を出す営業は、まず自分の改善点を探します。なぜなら、自分で変えられる部分にしか成長の可能性がないことを知っているからです。他責思考は安心感を与えます。しかし成長は止まります。自責思考は苦しいものです。しかし成長を生み出します。

・トップ営業ほど多く断られている

意外に思われるかもしれませんが、トップ営業ほど断られる回数は多い傾向があります。なぜでしょうか。それは行動量が圧倒的だからです。

例えば、

普通の営業が10件提案して2件受注するとします。トップ営業は50件提案して10件受注します。受注率は同じです。しかし断られる回数は、8回と40回です。つまりトップ営業は、断られることを恐れないのです。成功した件数ではなく、挑戦した件数が違うのです。

・「まだ早い」が最大のチャンスになる

顧客から、

 今は必要ない

 また今度 検討しておきます

と言われることがあります。多くの営業はそこで諦めます。しかし優秀な営業は違います。なぜ今ではないのか。何が変われば検討できるのか。いつなら優先順位が上がるのか。を確認します。その結果、半年後、一年後、二年後に受注することもあります。営業とは瞬間の勝負ではありません。長期戦なのです。

・逆境が営業力を磨く

営業人生には必ず逆風があります。

 大型案件の失注

 クレーム

 顧客離れ

 市場環境の悪化

 競争激化

しかし営業力が大きく伸びるのは、順風満帆な時ではありません。逆境の時です。なぜ失敗したのか。何を改善するべきか。次はどうするのか。この問いを繰り返すことで営業は成長します。鉄が鍛えられるのは火の中です。営業もまた同じです。

・営業マネージャーが育てるべき文化

管理職が最も注意すべきことがあります。それは、失敗を責める文化です。失敗を責め続ける組織では、社員は挑戦しなくなります。

すると、

 安全案件しか追わない

 新規開拓を避ける

 提案を控えるようになります。

逆に強い組織は、失敗そのものではなく、失敗から学ばないことを問題視します。その文化が営業力を育てます。

・本当に怖いのは断られることではない

営業人生で本当に怖いのは、断られることではありません。失注することでもありません。本当に怖いのは、断られることを恐れて挑戦しなくなることです。挑戦しなければ失敗はありません。しかし成長もありません。営業とは、断られながら前進する仕事です。そして、断られた数だけ学びが増えます。

 三流の営業は断られることを恐れる。

 二流の営業は断られた理由を考える。

 一流の営業は断られた経験を資産に変える。

 「NO」は営業人生の終わりではない。

 次の「YES」への入り口である。

 あなたは今日、何回断られただろうか。

 そして、その断りから何を学んだだろうか。

営業マインドセット(第4回:信頼残高)

 営業は売上を追う仕事ではなく、信頼残高を積み上げる仕事である

営業の世界では、多くの人が売上数字を追いかけています。もちろん売上は重要です。会社は利益を生み出さなければ存続できません。しかし、成果を出し続ける営業と、一時的にしか成果を出せない営業の違いはどこにあるのでしょうか。その答えは、売上を追っているか、信頼を積み上げているかにあります。

・売上は結果であり原因ではない

営業会議ではよく、

 売上はいくらか

 達成率は何%か

 あと何件受注が必要かという話が行われます。

しかし、これらはすべて結果です。結果だけを追い続けても、本質的な改善は起きません。例えば農業で考えてみましょう。収穫量だけを見ていても作物は増えません。

重要なのは、

 土壌の状態

 水やり

 日照

 肥料です。

営業も同じです。売上という収穫の前には、必ず信頼という土壌があります。

・信頼残高とは何か

信頼残高とは、相手から預けられている信用の総量です。

例えば、

 約束を守る

 レスポンスが早い

 誠実な説明をする

 困った時に助ける

 売り込みをしないこうした行動を積み重ねるたびに信頼残高は増えていきます。

反対に、

 嘘をつく

 言い訳をする

 責任転嫁する

 連絡を放置する

 契約後に態度が変わると信頼残高は減少します。

そして顧客は無意識のうちに、この残高を評価しています。なぜトップ営業は紹介が多いのか

トップ営業の特徴の一つに、紹介案件の多さがあります。なぜでしょうか。それは商品が優れているからだけではありません。信頼残高が高いからです。顧客は紹介をする際、自分の信用も使っています。信頼できない営業を知人に紹介することはありません。つまり紹介とは、顧客からの最高レベルの信頼表明なのです。

・短期数字だけを追う営業の末路

売上だけを追い続ける営業は、どうしても短期思考になります。

すると、

 無理な契約を取る

 過剰な約束をする

 値引きを乱発する

 不適切な期待を持たせるようになります。

その結果、今月の数字は達成できるかもしれません。

しかし、

 クレームが増える

 解約が増える

 紹介がなくなる

 リピートが減るという状態になります。

これは未来の売上を前借りしている状態です。

・優秀な営業ほど目先の利益に飛びつかない

一流の営業は、短期的な売上よりも長期的な信頼を優先します。時には、「今回は導入を見送った方が良いと思います」と顧客に伝えることさえあります。普通に考えれば売上を失っています。しかし顧客は忘れません。「この人は本当に自社のことを考えてくれている」と感じます。結果として、数年単位で見ると大きな成果につながります。

・営業マネージャーが見るべき指標

多くの管理職は売上だけを見ています。しかし強い営業組織は、信頼の指標も見ています。

例えば、

 リピート率

 顧客継続率

 紹介件数

 クレーム件数

 顧客満足度

 商談再訪率です。

これらは信頼残高の結果として現れる数字です。売上だけを見る組織は弱くなります。信頼を可視化する組織は強くなります。

・信頼は複利で増える

営業において最も強力な資産は何でしょうか。

商品でしょうか。

価格でしょうか。

ブランドでしょうか。

違います。信頼です。

信頼は金融でいう複利のようなものです。

信頼された顧客は、

 再購入する

 紹介する

 情報を提供する

 相談を持ち掛けるようになります。

その結果、新たな信頼が生まれます。

これが営業における好循環です。

・本当に追うべきもの

売上は重要です。しかし売上は追いかけるものではありません。積み上げた信頼の結果として生まれるものです。だからこそ営業担当者は毎日、「今日は何件売れたか」だけではなく、「今日は誰からの信頼を増やせたか」を考えるべきです。その積み重ねが、安定した成果を生み出します。

 三流の営業は契約を追う。

二流の営業は売上を追う。

一流の営業は信頼を積み上げる。

 売上はお願いして得るものではない。

 信頼の上に自然と積み上がるものである。

 あなたは今日、売上を追っただろうか。

 それとも信頼を積み上げただろうか。

営業マインドセット( 第3回:顧客理解)

 営業は話す仕事ではなく、理解する仕事である

営業という仕事に対して、多くの人が最初に抱くイメージがあります。それは、「営業は話が上手い人が成功する仕事」というイメージです。確かに説明力やプレゼンテーション力は重要です。しかし、長期的に成果を出し続けるトップ営業を観察すると、ある共通点があります。それは、驚くほど話さないということです。彼らは話すことよりも、理解することに力を注いでいます。

・営業が失敗する最大の理由

営業が失注する理由を分析すると、商品力不足でもなく、価格でもなく、競合でもなく、実は、顧客理解不足であることが少なくありません。顧客が本当に困っていることを理解できていないため、的外れな提案になります。すると顧客はこう感じます。「この営業はうちのことを分かっていない」この瞬間に信頼は失われます。どれだけ商品知識が豊富でも、どれだけプレゼンが上手でも、顧客理解が浅ければ成果にはつながりません。顧客自身も課題を理解していないここで重要な事実があります。それは、顧客自身が課題を正しく認識していない場合が多いということです。

例えば、顧客は「売上が下がっている」と言います。しかし本当の問題は

 新規顧客数の減少

 リピート率の低下

 商談化率の悪化

 市場変化への対応不足かもしれません。

顧客が語るのは現象です。営業が見つけるべきなのは原因です。

 ・ヒアリングの本当の目的

多くの営業はヒアリングを情報収集だと思っています。しかし、本当は違います。ヒアリングの目的は、顧客の認識を整理することです。優秀な営業は質問によって顧客に考えさせます。

例えば、

 なぜその問題が発生しているのでしょうか

 その状態が続くと何が起こりますか

 最も困っている部署はどこですか

 解決できたら何が変わりますか

こうした質問によって、顧客自身も気づいていなかった課題が見えてきます。つまり営業は、質問を通じて問題解決を始めているのです。

・話し過ぎる営業ほど危険

新人営業によく見られるのが、「沈黙が怖い」という状態です。

すると、

 商品説明

 機能説明

 導入事例

 会社紹介を延々と続けます。

しかし顧客は、話を聞きたいのではありません。理解してほしいのです。営業が話している時間が長いほど、顧客を理解する時間は短くなります。逆にトップ営業は、顧客が7割話し、自分は3割しか話しません。それでも契約率は高いのです。なぜなら理解の深さが違うからです。

・理解は信頼を生む

人は自分を理解してくれる人に好意を持ちます。これは営業でも同じです。顧客は、商品を買う前に営業担当者を信頼するかどうかを判断しています。そのためには、商品の説明よりも先に、理解されているという実感を与える必要があります。

顧客から

「まさにその通りです」

「そこが悩みなんです」

「よく分かっていますね」という言葉が出てきたら、信頼形成は進んでいます。

・営業マネージャーが育成で見るべき点

多くの管理職は商談報告で、

 何を提案したのか

 何を説明したのか

 何を売ったのかを確認します。

しかし本当に確認すべきは、

 顧客は何に困っているのか

 顧客は何を目指しているのか

 顧客は何を恐れているのか

 顧客の意思決定基準は何かです。

これを説明できない営業は、まだ顧客を理解できていません。

・ 理解力こそ営業力である

営業力というと、

 話術

 プレゼン力

 クロージング力が注目されます。

しかしその土台にあるのは、理解力です。理解が浅ければ、提案も浅くなります。理解が深ければ、顧客の期待を超える提案ができます。営業とは、話すことで契約を取る仕事ではありません。理解することで信頼を得る仕事なのです。

 三流の営業は自分の話をする。

 二流の営業は商品を説明する。

 一流の営業は顧客を理解する。

 顧客は話の上手い営業を求めているのではない。

 自分のことを理解してくれる営業を求めているのである。

営業マインドセット(第2回:価値交換)

 営業はお願いする仕事ではなく、価値を交換する仕事である

営業という仕事に対して、誤った認識を持っている人がいます。それは、「営業とはお願いして買ってもらう仕事である」という考え方です。この考え方を持っている営業は、自信を失いやすく、価格交渉にも弱くなります。なぜなら、自分自身が「買っていただく立場」だと思っているからです。しかし本来の営業とは違います。営業とは、価値と価値を交換する仕事です。

 ・「買ってください営業」は苦しくなる

営業経験の浅い人ほど、

 買ってもらえない

 断られる

 比較される

 値引きを要求されるたびに精神的なダメージを受けます。

なぜでしょうか。それは、「お願いしている」という感覚があるからです。お願いする側は弱い立場になります。すると、

 無理な値引きを受け入れる

 過剰サービスを約束する

 不利な条件で契約するという状態になりやすくなります。

結果として利益が失われ、顧客との関係も歪んでしまいます。

・営業は対等なパートナーである

営業担当者は顧客より下ではありません。もちろん上でもありません。対等です。

顧客には課題があります。営業には解決策があります。顧客は課題解決という価値を受け取り、営業は対価として利益を受け取ります。これは極めて健全な交換です。

例えば病院を考えてみましょう。医師は患者に対して、「お願いですから治療を受けてください」とは言いません。患者の問題を解決するために診断し、治療し、その対価を受け取ります。営業も本質的には同じです。

・値引きに負ける営業の共通点

価格交渉に弱い営業には特徴があります。それは、価値ではなく価格を語っていることです。顧客から「もっと安くなりませんか」と言われたとき、価値を説明できない営業は値引きしか選択肢がありません。

しかし、

 売上向上効果

 コスト削減効果

 生産性向上効果

 リスク低減効果

を定量的に示せれば話は変わります。顧客は価格ではなく投資対効果を考え始めます。トップ営業は価格の話をする前に価値の話を終わらせています。

・「売る」のではなく「交換する」

営業の本質を一言で表現すると、「売る」ではありません。「交換する」です。顧客はお金を支払います。営業は価値を提供します。価値が対価を上回れば契約は成立します。逆に価値が不足していれば契約は成立しません。非常にシンプルな原理です。つまり営業力とは、話術ではなく価値創造力なのです。

・トップ営業が考えていること

成果を出す営業担当者は常に次の問いを持っています。

 この提案で顧客は何を得るのか

 顧客の利益はいくら増えるのか

 顧客のリスクはどれだけ減るのか

 顧客の未来はどう変わるのか

そして商談の最後に、「買ってください」とは言いません。代わりに、「この価値は御社にとって投資する意味がありますか」と確認します。ここに営業の本質があります。

・営業マネージャーが注意すべきこと

部下に対して、

 今月あと何件売れ

 とにかく数字を作れ

 何でもいいから契約を取れという指導ばかりしていると、お願い営業が増殖します。

一方で、

 顧客へどんな価値を提供したのか

 顧客の利益はいくら増えたのか

 顧客の課題をどれだけ解決したのか

を問い続ける組織は強くなります。

なぜなら営業の思考が、売上中心から価値中心へ変わるからです。

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