変化できない営業は、何を意識すべきか(第1回)

「過去の成功体験」を疑う 

 ~成功体験が成長を止める瞬間~ Fact(事実認識)

営業にとって成功体験は大切な財産です。苦労して新規顧客を開拓した経験、大型案件を獲得した経験、難しい価格交渉をまとめた経験、長年にわたって顧客との信頼関係を築いてきた経験。こうした経験の積み重ねが、その人なりの営業スタイルを形成していきます。しかし、ここには大きな落とし穴があります。

それは、成功体験がいつの間にか、「自分のやり方は正しい」という固定観念に変わってしまうことです。

 成功には「条件」がある

例えば、10年前に頻繁な訪問によって大きな成果を上げた営業がいたとします。本人は「営業は足で稼ぐものだ」と考えるかもしれません。しかし、本当に成果を生んだ要因は訪問回数だったのでしょうか。当時は競合が少なかったのかもしれません。商品に圧倒的な優位性があったのかもしれません。顧客側の情報量が少なく、営業担当者が重要な情報源だったのかもしれません。つまり、成功した行動と、成功した本当の原因は必ずしも同じではありません。ここを間違えると、過去の成功パターンを現在にも当てはめ続けてしまいます。

「経験がある」と「現在も正しい」は違う

経験豊富な営業ほど注意が必要です。経験が増えると判断速度は速くなります。しかし同時に、「以前もこうだったから今回も同じだろう」という思考も生まれやすくなります。

顧客を見ているつもりが、実は過去の顧客を見ている。市場を見ているつもりが、過去の市場を見ている。商談を判断しているつもりが、過去の経験に当てはめている。こうなると、経験は武器ではなく制約になります。 成功体験は「捨てる」のではなく「再検証する」必要なのは、過去を否定することではありません。自分に問いかけることです。「なぜ、あの方法は成功したのか」「成功を生み出した条件は何だったのか」「その条件は現在も存在しているのか」「今の顧客にも同じ方法が有効なのか」

そして最も重要なのは、「今ゼロから営業方法を考えるとしても、本当に同じ方法を選択するだろうか」という問いです。

 成長する営業は成功さえ疑う

失敗を振り返る営業は多くいます。しかし、本当に成長する営業は成功も振り返ります。「なぜ成功したのか」を分析し、その再現性を検証するからです。変化できる営業とは、過去を捨てる営業ではありません。過去の経験を現在の環境に合わせて再編集できる営業です。「昔はこれで売れた」ではなく、「今ならどう売るべきか」を考え続けること。

それが、変化できる営業への第一歩なのです。

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