営業は商品価値を伝える仕事ではなく、顧客価値を発見する仕事である
営業研修でよく見かける光景があります。
営業担当者が一生懸命に商品の特徴を説明しているのです。
高性能です
高品質です
業界トップクラスです
他社より優れています
しかし、どれだけ熱心に説明しても顧客の反応が薄いことがあります。なぜでしょうか。理由は簡単です。顧客は商品価値そのものに興味があるのではなく、自社にとってどんな価値が生まれるのかに興味があるからです。
つまり営業の仕事は、商品価値を語ることではなく、顧客にとっての価値を発見することなのです。
・同じ商品でも価値は変わる
営業が理解しなければならない重要な事実があります。それは、価値は商品に存在するのではなく、顧客の中に存在するということです。例えば同じシステムでも、ある企業にとっては「業務効率化」が価値かもしれません。別の企業にとっては「人手不足対策」が価値かもしれません。また別の企業にとっては「属人化解消」が価値かもしれません。商品は同じです。しかし価値は違います。だから営業は商品説明よりも先に顧客理解が必要なのです。
・顧客はドリルではなく成果を買う
営業の世界では有名な話があります。顧客はドリルが欲しいのではありません。穴が欲しいのです。しかし実際にはそれだけではありません。顧客は穴が欲しいのでもありません。その穴によって実現する未来が欲しいのです。
例えば、
売上を増やしたい
コストを下げたい
利益を増やしたい
人材不足を解消したい
市場競争に勝ちたい
顧客が購入しているのは、商品ではなく成果なのです。
・潜在課題を発見できる営業が強い
顧客が口にする課題は氷山の一角です。見えている問題の下には、もっと大きな本質的課題が隠れています。例えば、顧客は「新規顧客が増えない」と言います。しかし掘り下げると、
ターゲット設定が曖昧
営業プロセスが属人化
提案力不足
マネジメント不全
が原因かもしれません。
優秀な営業は、顧客自身も気づいていない問題を発見します。そして、「そこが本当の課題だったのか」という気づきを提供します。
・商品説明が長い営業ほど危険
成果が出ない営業ほど、商品の説明時間が長くなります。なぜなら、知っていることを話した方が楽だからです。一方でトップ営業は違います。商品説明の前に、徹底的に顧客を理解しようとします。なぜなら、価値が見つからなければ提案できないことを知っているからです。顧客価値を理解しない商品説明は、地図を持たずに目的地へ向かうようなものです。
・顧客価値は数字で考える
優秀な営業は価値を感覚で語りません。数字で考えます。
例えば、
売上が何%向上するのか
利益がいくら増えるのか
工数が何時間削減できるのか
ミスがどれだけ減るのかです。
顧客価値を定量化できる営業は強いのです。なぜなら顧客の意思決定は最終的に投資判断だからです。
・営業は課題発見業である
営業を販売業だと思うと限界があります。しかし課題発見業だと考えると世界が変わります。顧客が気づいていない課題を見つける。顧客が見えていないリスクを示す。顧客が想像していない可能性を示す。これが営業の存在価値です。単なる御用聞きではありません。顧客の未来を広げる仕事なのです。
・営業マネージャーが育てるべき能力
営業育成において管理職が注目すべきなのは、商品知識だけではありません。むしろ重要なのは、
仮説構築力
課題発見力
業界理解力
財務理解力
経営視点です。
なぜなら顧客価値は商品から生まれるのではなく、顧客理解から生まれるからです。
・ 価値は創るものである
多くの営業は、商品の価値を説明しようとします。しかしトップ営業は、顧客と一緒に価値を創ります。顧客との対話の中で、
こういう使い方ができる
こんな成果が期待できる
この課題も解決できる
という新しい価値を見つけていきます。
これが提案営業の本質です。
・本当に売っているもの
営業が売っているのは商品ではありません。ましてや機能でもありません。営業が売っているのは、顧客が実現したい未来です。その未来を具体化し、価値として見える形にすること。それこそが営業の重要な役割なのです。
三流の営業は商品を説明する。
二流の営業は価値を説明する。
一流の営業は価値を発見する。
顧客は商品の機能を買うのではない。
自社の未来を変える可能性を買うのである。
あなたは今日、商品を説明しただろうか。
それとも顧客価値を発見しただろうか。


