営業マインドセット(第11回:営業は、利益責任者)

 「営業は売上責任者ではなく、利益責任者である」

営業の仕事は何か。

この問いに対して、多くの人はこう答えます。

「売上を上げること」確かに間違いではありません。

しかし、経営という視点で見たとき、それは半分しか正解ではありません。

なぜなら、会社は売上ではなく利益で存続しているからです。

・売上が増えても会社は潰れる

極端な例を考えてみましょう。

100万円の商品を90万円で売れば売上は立つ。しかし利益は赤字である。もし営業担当者が「目標売上は達成しました」と言っても、その結果として会社の利益が失われているのであれば、それは経営に貢献したとは言えません。

現実の企業でも同じです。

過度な値引き

採算の悪い案件の受注

無理な短納期対応

特別仕様への対応

これらは売上を作ることはできます。しかし利益を削り取っている可能性があります。

数字だけを見ると好調に見えても、実態は利益を失っているケースは少なくありません。

・売上思考と利益思考の違い

売上思考の営業はこう考えます。

「いくら売れるか」

利益思考の営業はこう考えます。

「いくら残るか」

一見似ているようで、実はまったく異なります。

例えば1000万円の案件があったとします。

粗利率5%なら利益は50万円。

一方で300万円の案件でも粗利率30%なら利益は90万円。

経営的に価値が高いのは後者です。

ところが売上だけを追う営業は前者を選びます。利益を考える営業は後者を選ます。

この差が企業の収益力を大きく左右します。

 一流営業は値引きを武器にしない

利益責任者という意識を持つ営業は、簡単に値引きをしません。なぜなら値引きは利益を直接削る行為だからです。

例えば利益率20%の商品を10%値引きした場合、利益は半減します。

営業はしばしば、「契約を取るためだから仕方ない」と言います。しかし本当にそうでしょうか。

値引きとは営業力不足を価格で補っている状態かもしれません。

提案価値が伝わっていない

差別化できていない

顧客課題を深く理解できていない

これらの問題を解決せずに価格だけ下げても、企業体力は弱くなっていきます。

優秀な営業ほど価格以外の価値で勝負します。 利益を意識すると営業行動が変わります。

利益責任者になると営業活動そのものが変わります。単なる受注件数ではなく、

粗利率

案件別採算

顧客別利益

商品別利益

継続取引利益

を見るようになります。

すると不思議なことが起きます。「売れば売るほど儲かる顧客」と「売れば売るほど苦しくなる顧客」が見えてきます。この視点を持たない営業組織は、忙しいのに利益が残らないという状態に陥ります。

・ 経営者視点を持つ営業が成長する

営業として成長したいなら、担当者視点だけでは不十分です。自分の案件を会社全体の損益から見る習慣が必要である。

この案件は利益を生むのか

追加コストは発生しないか

将来の収益につながるか

適正価格で販売できているか

これらを考えられる営業は、やがて管理職になり、事業責任者になり、経営人材へと成長していきます。

売上だけを見る営業は作業者で終わる。

利益を見る営業は経営者に近づく。

 最後に売上は企業活動の結果です。しかし利益は企業の未来です。売上だけを追いかける営業組織は、一見華やかに見ます。しかし、利益を追いかける営業組織は強い。営業とは単なる受注担当者ではありません。会社の利益を創り出す最前線の経営者なのです。

「この案件はいくら売れるか」ではなく、「この案件はいくら利益を残せるか」その問いが、営業を一段高いステージへ導いてくれます。

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