「営業は売上責任者ではなく、利益責任者である」
営業の仕事は何か。
この問いに対して、多くの人はこう答えます。
「売上を上げること」確かに間違いではありません。
しかし、経営という視点で見たとき、それは半分しか正解ではありません。
なぜなら、会社は売上ではなく利益で存続しているからです。
・売上が増えても会社は潰れる
極端な例を考えてみましょう。
100万円の商品を90万円で売れば売上は立つ。しかし利益は赤字である。もし営業担当者が「目標売上は達成しました」と言っても、その結果として会社の利益が失われているのであれば、それは経営に貢献したとは言えません。
現実の企業でも同じです。
過度な値引き
採算の悪い案件の受注
無理な短納期対応
特別仕様への対応
これらは売上を作ることはできます。しかし利益を削り取っている可能性があります。
数字だけを見ると好調に見えても、実態は利益を失っているケースは少なくありません。
・売上思考と利益思考の違い
売上思考の営業はこう考えます。
「いくら売れるか」
利益思考の営業はこう考えます。
「いくら残るか」
一見似ているようで、実はまったく異なります。
例えば1000万円の案件があったとします。
粗利率5%なら利益は50万円。
一方で300万円の案件でも粗利率30%なら利益は90万円。
経営的に価値が高いのは後者です。
ところが売上だけを追う営業は前者を選びます。利益を考える営業は後者を選ます。
この差が企業の収益力を大きく左右します。
一流営業は値引きを武器にしない
利益責任者という意識を持つ営業は、簡単に値引きをしません。なぜなら値引きは利益を直接削る行為だからです。
例えば利益率20%の商品を10%値引きした場合、利益は半減します。
営業はしばしば、「契約を取るためだから仕方ない」と言います。しかし本当にそうでしょうか。
値引きとは営業力不足を価格で補っている状態かもしれません。
提案価値が伝わっていない
差別化できていない
顧客課題を深く理解できていない
これらの問題を解決せずに価格だけ下げても、企業体力は弱くなっていきます。
優秀な営業ほど価格以外の価値で勝負します。 利益を意識すると営業行動が変わります。
利益責任者になると営業活動そのものが変わります。単なる受注件数ではなく、
粗利率
案件別採算
顧客別利益
商品別利益
継続取引利益
を見るようになります。
すると不思議なことが起きます。「売れば売るほど儲かる顧客」と「売れば売るほど苦しくなる顧客」が見えてきます。この視点を持たない営業組織は、忙しいのに利益が残らないという状態に陥ります。
・ 経営者視点を持つ営業が成長する
営業として成長したいなら、担当者視点だけでは不十分です。自分の案件を会社全体の損益から見る習慣が必要である。
この案件は利益を生むのか
追加コストは発生しないか
将来の収益につながるか
適正価格で販売できているか
これらを考えられる営業は、やがて管理職になり、事業責任者になり、経営人材へと成長していきます。
売上だけを見る営業は作業者で終わる。
利益を見る営業は経営者に近づく。
最後に売上は企業活動の結果です。しかし利益は企業の未来です。売上だけを追いかける営業組織は、一見華やかに見ます。しかし、利益を追いかける営業組織は強い。営業とは単なる受注担当者ではありません。会社の利益を創り出す最前線の経営者なのです。
「この案件はいくら売れるか」ではなく、「この案件はいくら利益を残せるか」その問いが、営業を一段高いステージへ導いてくれます。


