ビジネスの現場には、残念ながら「ゴールポストをずらす人」が存在します。
最初に決めた目標や約束、評価基準があるにもかかわらず、自分に都合が悪くなると基準を変更する。結果が出なかった理由を後から付け加える。議論で不利になると論点を変える。そして、自分が正しかったことにするために評価基準そのものを変えてしまう。
一見すると器用な立ち回りに見えるかもしれません。しかし、このような行動を繰り返す人の未来は決して明るくありません。
なぜなら、ゴールポストをずらす行為は「信用」を失う行為だからです。
組織やチームは信頼によって成り立っています。
部下は上司の言葉を信じるから行動する。顧客は営業の言葉を信じるから契約する。同僚は約束が守られると信じるから協力する。
ところが、ゴールポストをずらす人の周囲では徐々に信頼が失われていきます。
「どうせ後から条件を変えるだろう」
「言うことが毎回違う」
「この人との約束には意味がない」
こうした評価が積み重なり、人は表面上は従っていても心から協力しなくなります。
特に管理職がゴールポストをずらす場合の影響は深刻です。
部下は目標そのものではなく、「どうせ評価基準が変わる」という学習をしてしまいます。
すると挑戦しなくなる。主体性を失う。最低限しかやらなくなる。結果として組織全体の活力が失われるのです。
また、ゴールポストをずらす人には共通する特徴があります。それは「自分の間違いを認める勇気がない」ということです。
本来、結果が予想と違ったのであれば、「私の判断が間違っていた」「見通しが甘かった」
「次回は改善しよう」と言えばいいのです。しかし、自尊心を守ることを優先する人は、現実を修正するのではなく基準を修正してしまいます。
これは成長を止める最も危険な習慣です。なぜなら、人は失敗から学ぶことで成長するからです。失敗を認めない人は改善できない。改善できない人は進歩しない。進歩しない人はやがて環境の変化に取り残される。そして最終的に待っているのは孤立です。周囲は表面的には合わせるかもしれません。しかし重要な情報は集まらなくなります。本音は聞けなくなる。協力者は減っていく。本人だけが「なぜうまくいかないのか」と悩むことになります。
一方で、本当に優れたリーダーや営業パーソンは逆です。最初に決めた基準を守る。もし変更が必要なら、その理由を明確に説明する。自分に不利な結果であっても事実を受け入れる。そして失敗の責任を引き受ける。だからこそ信頼されるのです。信頼される人には人が集まり、人が集まる人には情報が集まり、情報が集まる人にはチャンスが集まることになります。
結局のところ、短期的にはゴールポストをずらした人が勝ったように見えることがありますが、長期的には違う結果となります。
信用を積み上げる人が勝つ。
基準を変えて結果を正当化する人ではなく、結果を受け止めて自分を変えられる人こそが、最後まで成長し続けるのです。


