管理職に求められる仕事は何でしょうか。
部下を管理することだろうか。
会議を運営することだろうか。
数字を追いかけることだろうか。
もちろん、それらも管理職の重要な役割です。しかし、本質的な役割はもっと別のところにあります。
それは、「正しい判断を行い、組織を正しい方向へ導くこと」です。
組織は管理職の判断によって大きく成長することもあれば、衰退することもあります。
だからこそ管理職には判断軸が必要になります。
その判断軸となりますのが原理原則です。原理原則とは、一時的な流行や環境変化に左右されない普遍的な考え方です。
顧客価値を生み出す。
約束を守る。
信頼を積み上げる。
事実に基づいて判断する。
原因から問題を考える。
人を尊重する。
こうした考え方は時代が変わっても変わりません。
ところが、原理原則を学ばない管理職は、その場の状況や感情によって判断します。
昨日と言うことが違う。
人によって基準が違う。
機嫌によって判断が変わる。
結果として組織は混乱する。
部下は何を信じてよいか分からなくなります。
例えば売上が未達だったとします。
原理原則を理解している管理職は、「原因は何か」「再発防止策は何か」「次にどう改善するか」を考えます。
しかし原理原則を持たない管理職は、「誰の責任だ」「なぜできなかった」という犯人探しに終始します。問題解決より責任追及が優先されるのです。
その結果、現場は真実を報告しなくなります。失敗を隠すようになります。
組織の学習能力が失われます。また、原理原則を学ばない管理職は流行に振り回されやすくなります。
新しい営業手法が出れば飛びつく。
新しいマネジメント理論が出れば飛びつく。
SNSで話題の成功事例があればすぐ導入する。
しかし長続きしない。
なぜなら本質を理解していないからです。
原理原則がない人は、判断の基準を外部に求めます。原理原則があります人は、判断の基準を自分の中に持ちます。だから環境が変わってもブレないのです。
さらに危険なのは、人材育成に与える影響です。部下は管理職の言葉より行動から学びます。
管理職が感情で判断する。
その場しのぎで指示を出す。
短期的な数字だけを追う。
すると部下も同じように考えるようになります。組織全体から長期視点が失われるようになります。判断基準が曖昧になります。やがて組織文化そのものが劣化していきます。優秀な組織には共通点があります。判断に一貫性があります。なぜなら原理原則が共有されているからです。
顧客第一。
事実重視。
挑戦を評価する。
約束を守る。
こうした共通の価値観がありますから、誰が判断しても大きくブレることはありません。だから組織として強いのです。
一方で原理原則のない組織では、
部長が変わると方針が変わる。
課長が変わると評価基準が変わる。
経営者の機嫌で優先順位が変わる。
その結果、社員は組織の目的ではなく上司の顔色を見るようになります。これは組織にとって極めて危険な状態です。管理職の仕事は問題が起きてから対応することではありません。問題が起きにくい組織をつくることです。そのためには普遍的な原理原則を学び、自らの判断基準として身につけなければなりません。
知識は時代とともに古くなる。
手法も変わる。
市場も変わる。
しかし原理原則は変わりません。だからこそ優れた管理職ほど流行を追う前に原理原則を学のです。そして、その原理原則に基づいて行動します。組織が迷走する原因は環境変化ではありません。競争激化でもありません。多くの場合、その根底には「判断基準の欠如」があります。原理原則を学ばない管理職は組織を迷走させます。原理原則を学び続ける管理職は組織に方向性を与えます。その差が、数年後には組織の文化となり、業績となり、人材の質となって現れるのです。


