スーパー営業への依存をなくし、組織全体の平均点を引き上げる(第1回)

 ―「一人の100点」ではなく「組織全体の80点」をつくる営業マネジメント―

営業組織には、ときに突出した成果を上げる「スーパー営業」が存在します。豊富な経験、高い交渉力、顧客との強固な人間関係、優れた提案力を持ち、難しい案件でも受注に結びつける人材です。もちろん、このような人材は会社にとって大きな財産です。

しかし、経営や営業マネジメントの視点から考えれば、「スーパー営業がいること」と「強い営業組織であること」は同じではありません。

むしろ危険なのは、「この顧客はAさんでなければ無理だ」「難しい案件は部長に任せよう」「大型商談はトップ営業に同行してもらおう」という状態が常態化することです。本当に強い営業組織とは、「一人の100点」に頼る組織ではありません。70点、75点、80点を安定して出せる営業担当者を増やし、組織全体の平均点を継続的に引き上げられる組織です。

そのために何を変えるべきでしょうか。改革を考えてみましょう。

 ~属人化を解消することが最優先である~

スーパー営業依存から脱却するうえで、最初に取り組むべきことは「属人化」の解消です。営業成績の良い会社を見ると、「優秀な営業担当者がたくさんいる会社」と思われがちです。しかし、本当に見るべきなのは、「優秀な人がいなくても、一定以上の成果を出せるか」という点です。スーパー営業には、その人独自の成功パターンがあります。

顧客への入り方、キーパーソンの見極め方、質問の順番、課題の深掘り方法、提案の組み立て方、価格交渉、クロージングのタイミングなどです。問題は、それらが本人の頭の中だけに存在していることです。本人は、「普通に話しているだけです」「お客様の反応を見れば分かります」「経験ですね」と説明するかもしれません。しかし、これでは他の営業担当者は再現できません。

したがって会社が行うべきなのは、スーパー営業をさらにスーパーにすることだけではなく、スーパー営業が無意識に行っていることを分解することです。

たとえば、「なぜその顧客を重点顧客と判断したのか」「商談前に何を調べたのか」「最初に何を質問したのか」「どの反応を見て課題があると判断したのか」「いつ意思決定者を確認したのか」「なぜその提案内容にしたのか」「どの段階で受注できると判断したのか」

まで掘り下げます。

すると、「才能」に見えていたものの一部が、実は観察・準備・質問・判断・行動という再現可能なプロセスだったことが見えてきます。

重要なのは、スーパー営業を排除することではありません。スーパー営業の能力を会社の資産に変えることです。「Aさんだから売れる」を「Aさんのやり方を組織として再現できる」に変える。ここが組織営業への第一歩です。

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