営業の時間管理3

営業の時間管理で最も避けたいのは、「毎日一生懸命働いているのに、月末になったら数字が足りない」という状態です。月末になって慌てて顧客へ電話をする。見込み案件を再確認する。値引きをしてでも契約を急ぐ。このような営業活動になってしまう原因の一つは、時間管理と売上目標がつながっていないことです。

営業の時間管理は、本来「目標から逆算」して考える必要があります。たとえば、月間売上目標が1,000万円だったとします。平均受注単価が100万円なら、単純化すれば10件の受注が必要です。さらに、提案から受注までの成約率が50%なら20件の提案が必要です。商談から提案に進む割合が50%なら40件の商談が必要になります。つまり、目標達成のためには「頑張る」のではなく、売上目標 → 必要受注件数 → 必要提案件数 → 必要商談件数 → 必要行動量という形で逆算できます。

そして最後に考えるのが「時間」です。必要な40件の商談を月20営業日で行うのであれば、平均して1日2件の商談機会が必要になります。ここまで落とし込めば、時間管理は単なる予定管理ではなくなります。KGIである売上目標を、KPIである商談数や提案件数へ落とし込み、さらにKAIである日々の行動へ変換する。営業の時間管理とは、このKAIを実行する時間を確保することだと考えることができます。

ところが、多くの営業担当者は逆の順番で仕事をしています。朝出社してメールを見る。依頼された仕事を処理する。会議に参加する。顧客から電話があれば対応する。そして余った時間で営業活動をする。これでは、「残った時間で売上をつくる」という構造になってしまいます。

成果を安定して出す営業担当者は違います。まず目標達成に必要な活動時間を確保し、その周囲に他の仕事を配置します。つまり、「仕事に時間を合わせる」のではなく、「目標に時間を配分する」のです。

さらに重要なのは、自分の時間の使い方を定期的に振り返ることです。一週間の勤務時間を、「顧客接点」「新規開拓」「提案準備」「既存顧客深耕」「社内業務」「会議」「移動」などに分類してみると、自分が実際に何へ時間を使っているかが見えてきます。ここで大切なのは、「忙しかったか」ではなく、「その時間は成果につながったか」という視点で評価することです。

営業活動は、時間をかければ必ず成果が出る仕事ではありません。しかし、成果につながる活動に十分な時間を配分しなければ、成果が出る確率は確実に下がります。

だからこそ営業担当者には、時間を「消費する」という感覚ではなく、「投資する」という感覚が求められます。

今日使う1時間は二度と戻ってきません。その1時間を社内資料の修正に使うのか、重要顧客の研究に使うのか、新規顧客へのアプローチに使うのか。それによって、数週間後、数か月後の営業成果は変わります。営業における時間管理の最終目的は、予定通りに一日を終えることではありません。

限られた時間の中で、目標達成につながる行動を最大化することです。「今、自分が使っているこの時間は、どの数字につながっているのか。」この問いを持てるようになると、時間管理は単なる仕事術から、営業成果をつくるマネジメント技術へと変わっていくのです。

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