「経験」と「経験則」

「経験」と「経験則」は似ているようで少し違うということです。経験は誰にでも積み重なります。しかし経験則になるのは、その経験から共通する原理や法則を見出したときです。例えば営業で、

 お客様は価格だけで判断していない

 良い質問が良い提案を生む

 部下は指示よりも理解によって動く

 問題の表面ではなく真因に着目する

といったものは、単なる体験談ではなく経験則です。

そして優れた経営者や管理職、営業パーソンほど、自分の経験だけでなく他人の経験からも経験則を学びます。書籍を読むこと、旅行をすること、異業種の人と話すこと、映画や歴史から学ぶことも、実は「他者の経験を借りる行為」と言えるでしょう。

多角的なものの見方を身につける目的も、単に知識を増やすことではありません。さまざまな視点から物事を観察することで、より質の高い経験則を構築することにあります。

研修の場でもよくお伝えするのですが、「経験した人」と「経験から学んだ人」では大きな差があります。さらに、「学んだことを原理原則に昇華した人」は、環境が変わっても成果を出し続けます。

 成長する営業員の「7つの習慣」自己診断35問

 診断の目的

この自己診断は、現在の営業成績そのものを評価するものではありません。

営業として継続的に成長するために必要な「思考・行動・学習・自己管理」の習慣が、日常の営業活動の中でどの程度身についているかを確認するためのものです。

「できているつもり」ではなく、直近3か月程度の実際の行動を思い出しながら回答してください。

 回答基準

 5点  常にできている   

 4点  ほぼできている   

 3点  ときどきできている 

 2点  あまりできていない 

 1点  ほとんどできていない |

第1の習慣 「なぜ?」を持ち続ける

 ― 答えよりも問いを大切にする ―

1. 商談がうまくいかなかったとき、「なぜそうなったのか」を具体的に振り返っている。

〔 1・2・3・4・5 〕

2. 顧客の発言をそのまま受け取らず、その背景や理由まで考えるようにしている。

〔 1・2・3・4・5 〕

3. 「これまでこうだったから」という経験則だけで判断せず、事実を確認している。

〔 1・2・3・4・5 〕

4. 営業活動で疑問を感じたことについて、自分なりの仮説を立てている。

〔 1・2・3・4・5 〕

5. 成功した商談についても、「なぜうまくいったのか」を分析している。

〔 1・2・3・4・5 〕

第1の習慣 合計:   /25点

 第2の習慣 顧客の立場から考える

 ― 「売りたい」から「役に立ちたい」へ ―

6. 商品を説明する前に、顧客の課題やニーズを十分に確認している。

〔 1・2・3・4・5 〕

7. 「自分が顧客だったら、この提案をどう感じるか」と考える習慣がある。

〔 1・2・3・4・5 〕

8. 商品の機能だけでなく、それによって顧客にどのような価値が生まれるかを説明している。〔 1・2・3・4・5 〕

9. 顧客が言葉にしていない潜在的な課題まで考えて質問している。

〔 1・2・3・4・5 〕

10. 自社商品を売ることより、顧客にとって最適な解決策を考えることを優先している。

〔 1・2・3・4・5 〕

第2の習慣 合計:   /25点

第3の習慣 行動を数字で振り返る

 ― 結果ではなく、結果を生み出した行動を見る ―

11. 売上だけでなく、訪問件数・商談件数・提案件数などの行動量を把握している。

〔 1・2・3・4・5 〕

12. アポイント率・提案率・受注率など、自分の営業プロセスの転換率を把握している。

〔 1・2・3・4・5 〕

13. 目標未達のとき、どの営業プロセスに問題があるのかを数字で分析している。

〔 1・2・3・4・5 〕

14. 月末だけでなく、週次など短い周期で営業活動を振り返っている。

〔 1・2・3・4・5 〕

15. 感覚や印象だけではなく、客観的な数字をもとに次の行動を決めている。

〔 1・2・3・4・5 〕

第3の習慣 合計:   /25点

第4の習慣 失敗を必ず言語化する

 ― 失敗を「経験」で終わらせず「学び」に変える ―

16. 失注したとき、その原因を具体的な言葉で整理している。

〔 1・2・3・4・5 〕

17. 失敗を顧客・競合・価格・景気など外部要因だけのせいにせず、自分の改善点も考えている。〔 1・2・3・4・5 〕

18. 失敗した商談について、「次回は何を変えるか」まで決めている。

〔 1・2・3・4・5 〕

19. 自分の失敗や成功事例を、上司や同僚と共有して学びに変えている。

〔 1・2・3・4・5 〕

20. 同じ原因による失敗を繰り返さないための具体的な対策を実行している。

〔 1・2・3・4・5 〕

第4の習慣 合計:   /25点

第5の習慣 学んだことをすぐに試す

 ― 「知っている」を「できる」に変える ―

21. 研修や本などで学んだ営業手法を、実際の商談で試している。

〔 1・2・3・4・5 〕

22. 上司や先輩から受けたアドバイスを、次の営業活動で意識して実践している。

〔 1・2・3・4・5 〕

23. 優秀な営業員の良い行動を観察し、自分の営業活動に取り入れている。

〔 1・2・3・4・5 〕

24. 新しい営業手法を試した後、その効果を振り返っている。

〔 1・2・3・4・5 〕

25. 学んだことを「知識」で終わらせず、自分なりの営業スタイルに落とし込んでいる。

〔 1・2・3・4・5 〕

第5の習慣 合計:   /25点

第6の習慣 自分との約束を守る

 ― 成果を支える自己管理力を身につける ―

26. 自分で決めた営業活動の目標や行動量を継続して実行している。

〔 1・2・3・4・5 〕

27. 忙しいときでも、重要な顧客フォローや案件管理を後回しにしない。

〔 1・2・3・4・5 〕

28. 商談準備や顧客研究など「重要だが緊急ではない仕事」に時間を確保している。

〔 1・2・3・4・5 〕

29. モチベーションの高低に左右されず、必要な営業活動を一定水準で続けている。

〔 1・2・3・4・5 〕

30. 「明日やろう」と先送りするのではなく、決めた行動を期限内に実行している。

〔 1・2・3・4・5 〕

第6の習慣 合計:   /25点

 第7の習慣 毎日1%の改善を続ける

 ― 昨日の自分を少しずつ超える ―

31. 営業活動の中で、「次は何を少し改善するか」を考えている。

〔 1・2・3・4・5 〕

32. 商談終了後に、良かった点と改善すべき点を振り返っている。

〔 1・2・3・4・5 〕

33. 一度決めた営業方法に固執せず、結果を見ながらやり方を修正している。

〔 1・2・3・4・5 〕

34. 他人との比較だけでなく、過去の自分と比較して成長を確認している。

〔 1・2・3・4・5 〕

35. 小さな改善でも継続することを大切にしている。

〔 1・2・3・4・5 〕

第7の習慣 合計:   /25点

診断結果の集計

各習慣は25点満点、総合では175点満点です。

 ①「なぜ?」を持ち続ける                

 ② 顧客の立場から考える                

 ③ 行動を数字で振り返る                 

 ④ 失敗を言語化する             

 ⑤ 学んだことをすぐ試す          

 ⑥ 自分との約束を守る 

 ⑦ 毎日1%の改善を続ける

 総合得点         点

 習慣別の判定目安

22~25点:習慣化レベル

かなり高い水準で日常行動として定着しています。今後は自分だけでなく、周囲に良い影響を与えられるレベルを目指します。

18~21点:実践レベル

概ね実践できています。一方で、忙しい時期や状況によって行動にばらつきが出ていないか確認します。

14~17点:発展途上レベル

意識はしていますが、まだ安定した習慣にはなっていません。「いつ・何をするか」まで具体化することが重要です。

10~13点:要改善レベル

成長を妨げている可能性があります。5項目すべてを改善しようとせず、まず1項目に絞って行動を変えます。

5~9点:重点改善レベル

今後の成長余地が非常に大きい領域です。上司や先輩からのフィードバックも受けながら、具体的な行動目標を設定します。

 総合得点の目安

総合得点は「営業能力そのもの」ではなく、成長につながる習慣の定着度として捉えます。

147~175点:成長習慣がかなり定着している

119~146点:良好だが、さらに伸ばせる領域がある

91~118点:習慣によってばらつきがある

63~90点:成長行動の習慣化が必要

35~62点:日々の行動そのものから見直す必要がある

特に重要なのは総合点の高さだけではありません。7項目の中で「最も高かった習慣」と「最も低かった習慣」を発見することです。

 毎日1%の改善が、1年後に大きな差を生む

 ~成長する人は「大きく変わる」のではなく「少しずつ変わり続ける」~

「もっと営業力を高めたい」「今年こそ大きく成長したい」と考えたとき、私たちはつい大きな目標を立ててしまいます。しかし、本当に大きな成長を生み出すのは、一度の大きな変化ではありません。むしろ、毎日の小さな改善を積み重ねることです。

たとえば、「昨日より1%だけ良くする」と考えてみましょう。

1日目を「1」として、毎日1%ずつ改善し、その改善が次の日の土台になると仮定すると、1.01の365乗 ≒ 37.78となります。

つまり数学上は、1年間毎日1%の改善を複利的に積み重ねると、1年後にはスタート時の約37.8倍になります。元の状態を100%とした1年後約3,778%元の状態からの増加率約3,678%増

ここで注意したいのは、「365日後に能力が現実に37.8倍になる」という意味ではないことです。この計算が教えてくれる本質は、小さな改善であっても、積み重なれば非常に大きな差になるということです。

 営業における「1%の改善」とは何か

営業の仕事に置き換えると、1%の改善は決して難しいものではありません。

「昨日より一つ深い質問をする」

「商談前に顧客企業について5分多く調べる」

「商品説明を1分短くして、その分顧客の話を聞く」

「商談終了後に、良かった点と改善点を一つずつ書く」

「提案書のタイトルを商品名ではなく顧客課題から考える」

「失注した案件について『なぜ失注したのか』を一つ深掘りする」

こうした小さな改善なら、今日からでも始められます。一つひとつを見ると、大した変化ではないように思えるかもしれません。

しかし、営業力とは一つの能力でできているわけではありません。

質問力、傾聴力、仮説構築力、提案力、交渉力、商品知識、顧客理解、時間管理、数値管理、振り返り力など、さまざまな能力の組み合わせによって成果が生まれます。

それぞれを少しずつ改善していけば、半年後、一年後には営業活動全体の質が大きく変わります。

 「1%」の本当の意味は、小さく始めること

成長しようとすると、「明日からすべて変えよう」と考えてしまいがちです。しかし、大きな変化は大きな負担を伴うため、長続きしないことがあります。

そこで重要なのが、

「今日は何を1%だけ良くするか」という考え方です。

たとえば、商談で10個の改善点が見つかったとしても、全部を一度に直そうとする必要はありません。

「次の商談では、顧客の発言に対して『なぜそうお考えなのですか』と一度深掘りしてみよう」

まずは、それだけでも構いません。

できるようになったら、次の改善を加えます。この繰り返しによって、改善そのものが習慣になっていきます。

 成長する営業員と成長が止まる営業員の差

1日だけを比較すれば、毎日改善している営業員と、何も変えていない営業員との差はほとんど分からないでしょう。1週間でも、それほど大きな差には見えないかもしれません。

しかし、3か月、半年、1年と時間が経過すると、その「小さな差」が積み重なっていきます。

成長する営業員は、特別な才能を持っているとは限りません。昨日の商談を振り返り、

「もう少し良くするにはどうすればよかっただろう」と考え、それを次の商談で試します。

そして、実践 → 振り返り → 改善 → 再実践という小さなPDCAを高速で回しています。これを年間200回の商談で繰り返す営業員と、同じやり方で200回商談をする営業員では、同じ「200回の経験」でも、その中身はまったく違ってきます。

単に経験を積む人と、経験から学び続ける人との差です。

 1年後の自分は、今日の1%からつくられる

大きな成果を求めるほど、私たちは大きな行動を探したくなります。

しかし、本当に重要なのは、今日できる小さな改善です。今日の商談を昨日より少し良くする。今日の質問を昨日より少し深くする。今日の提案を昨日より少し顧客視点にする。

今日の振り返りを昨日より少し具体的にする。その小さな積み重ねが、やがて大きな営業力になります。

だから、一日の終わりに自分自身へ問いかけてみてください。

「今日、自分は昨日より何を1%改善しただろうか」そして翌朝には、

「今日は何を1%改善しようか」と考えてみてください。

一流の営業員になるために、今日いきなり大きく変わる必要はありません。

昨日の自分を、今日ほんの少し超える。

その小さな改善を365日積み重ねることこそが、成長し続ける営業員をつくる大きな力になるのです。

営業のための7つの習慣(第7の習慣)

毎日1%の改善を続ける

 ~一流は突然生まれるのではなく、毎日の微差から生まれる~

営業力を一気に高める魔法の方法はありません。

優秀な営業員も、ある日突然優秀になったわけではありません。小さな改善を何度も繰り返した結果として、高い営業力を身につけています。そこで最後に身につけたいのが、「昨日の自分より少しだけ良くする」という習慣です。「今日は質問を一つ増やしてみよう」「商談前に顧客企業の決算資料を10分調べよう」「提案書の冒頭を顧客課題から始めよう」「商談後に必ず一行だけ反省点を書こう」。

一つひとつは小さなことです。

しかし、小さな改善には大きな特徴があります。それは、続けやすいことです。大きな改革は長続きしないことがありますが、小さな改善なら日常の営業活動に組み込むことができます。

そして、小さな改善が積み重なると、質問力、提案力、情報収集力、交渉力、時間管理力など、さまざまな能力が少しずつ高まっていきます。

重要なのは、他人との比較だけで自分を評価しないことです。トップ営業と自分を比較すれば、能力差に圧倒されるかもしれません。

それよりも、「昨日の自分と今日の自分」を比較するのです。

昨日より質問が一つ深くなった。昨日より商談準備が5分早くできた。昨日より顧客の話を長く聞けた。それで十分です。

営業の成長とは、大きな成功を一度つくることではありません。小さな成功と改善を積み重ね、それを再現できる力に変えていくことです。「今日は昨日より何を一つ良くするか」。この問いを毎朝自分に投げかけることが、成長し続ける営業員になるための第7の習慣なのです。

営業のための7つの習慣(第6の習慣)

自分との約束を守る

 ~営業力の土台は自己管理力にある~

優秀な営業員というと、話が上手な人、交渉力のある人、人脈の広い人を想像するかもしれません。しかし、長期的に成果を出し続ける営業員を観察すると、もっと地味な共通点があります。

それは、「やると決めたことをやる」ということです。「毎日新規顧客に5件アプローチする」「商談後24時間以内にフォローする」「毎週金曜日に案件を棚卸しする」「毎月一冊は営業や顧客業界に関する本を読む」。

誰かに監視されなくても、自分で決めたことを実行します。営業という仕事は自由度が高い仕事です。だからこそ、自己管理能力によって成果に大きな差が生まれます。

特に注意したいのが、「重要だが緊急ではない仕事」です。顧客研究、商談準備、案件整理、振り返り、自己研鑽などは、今日やらなくてもすぐには困りません。しかし、こうした活動を積み重ねている営業員とそうでない営業員では、半年後、一年後に大きな差が生まれます。

優秀な営業員は、モチベーションだけに頼りません。「やる気があるから行動する」のではなく、「決めたから行動する」のです。

そして、自分との小さな約束を守り続けることで、「自分は決めたことを実行できる」という自己信頼が形成されていきます。

営業力を高める第一歩は、難しいテクニックを身につけることではないかもしれません。

「決めたことを続ける」。

この当たり前を習慣にできる人が、最終的に強い営業員になっていくのです。

営業のための7つの習慣( 第5の習慣)

学んだことをすぐに試す

~知識量ではなく「実践量」が営業力を決める~

営業について学ぶ方法はたくさんあります。本を読む、研修を受ける、上司から指導を受ける、優秀な営業員の商談に同行する。現在ではAIを活用して商談準備やロールプレイを行うこともできます。しかし、どれほど知識を持っていても、実践しなければ営業力にはなりません。

成長する営業員には、「学んだら試す」という習慣があります。

新しい質問方法を知ったら、次の商談で一つ使ってみる。新しい提案方法を学んだら、次の提案書に取り入れてみる。上司から指摘を受けたら、次の商談で意識して変えてみる。

この「学習→実践→検証」の速度が速いのです。

営業研修を受けた直後は、多くの人が「勉強になった」と感じます。しかし、数週間後も行動が変わっていなければ、営業成果もほとんど変わりません。「知っている」と「できる」の間には、大きな壁があります。その壁を越える唯一の方法が実践です。

しかも、最初から完璧にできる必要はありません。試して、うまくいかなければ修正し、もう一度試せばよいのです。

学習する営業員は知識が増えます。しかし、実践する営業員は能力が高まります。

「今日学んだことを、明日の商談で一つ使う」。

この習慣を続けるだけでも、一年後には大きな差になります。

Young woman giving an OK hand sign indoors

営業のための7つの習慣(第4の習慣)

失敗を必ず言語化する

 ~失敗した営業と、失敗から学んだ営業は違う~

営業活動に失敗はつきものです。失注することもあれば、提案が受け入れられないこともあります。時には、顧客への対応を誤ってしまうこともあるでしょう。問題は失敗することではありません。最も危険なのは、失敗した理由を曖昧にしたまま次の商談へ進むことです。

成長する営業員は、失敗を言語化します。「何が起きたのか」「なぜ起きたのか」「自分の判断や行動のどこに問題があったのか」「次回は何を変えるのか」を整理します。

たとえば、「競合に負けた」で終わらせず、「競合は価格ではなく導入後のサポート体制を強調していた。それに対して私は価格と機能の説明に終始した」と分析できれば、次回の行動を変えることができます。

ここで重要なのは、反省と自己否定を混同しないことです。

「自分は営業に向いていない」という振り返りから改善策は生まれません。「提案前の課題確認が不足していた」という振り返りなら、「次回は提案前に○○を質問する」という具体的な行動に変えられます。

失敗とは、成長する営業員にとって「授業料を払って得たデータ」です。せっかく失敗したのであれば、そこから何か一つでも学ばなければ、その授業料が無駄になってしまいます。

「失敗したら、一つ改善策を残す」。この習慣を持つ営業員は、経験年数ではなく、経験から学んだ量によって成長していくのです。

営業のための7つの習慣(第3の習慣)

行動を数字で振り返る

 ~結果ではなく、結果を生み出した行動を見る~

営業成績には必ず波があります。売れる月もあれば、売れない月もあります。ここで成長が止まる営業員は、「今月は景気が悪かった」「競合が値下げした」「お客様の予算がなかった」と結果の理由を外部環境に求めがちです。

一方、成長する営業員は、自分の行動を数字で振り返ります。たとえば売上が不足しているなら、「新規接触件数」「アポイント率」「商談件数」「提案件数」「受注率」「平均受注単価」などに分解して考えます。

売上という結果だけを見ても、何を改善すればよいのか分かりません。しかし、「商談件数は十分だが受注率が低い」と分かれば、提案内容やクロージングを改善できます。「受注率は高いが商談件数が少ない」のであれば、アポイント獲得や新規接触を増やす必要があります。

このように結果を行動へ分解すると、改善点が具体的になります。大切なのは、数字を評価の道具だけにしないことです。数字は自分を責めるためにあるのではありません。自分の営業活動を客観的に見るための「鏡」です。

「頑張ったつもり」ではなく、「何件行動したのか」。「一生懸命提案した」ではなく、「何件提案して何件受注したのか」。感覚を数字に置き換えることで、営業活動は再現性を持つようになります。

そして優秀な営業員ほど、「売上を上げるにはどうするか」ではなく、「売上を生み出す行動のうち、何を変えるべきか」と考えます。成果を直接コントロールすることはできません。しかし、成果につながる行動はコントロールできます。毎日、自分の行動を数字で振り返ること。この小さな習慣が、やがて大きな営業力の差となって表れます。

営業のための7つの習慣(第2の習慣)

  顧客の立場から考える

 ~「売りたい」から「役に立ちたい」へ~

営業には目標があります。売上、粗利益、新規顧客獲得件数、商談件数など、さまざまな数字を求められます。そのため、どうしても「売りたい」という気持ちが強くなります。しかし、営業側の「売りたい」と顧客側の「買いたい」は必ずしも一致しません。成長する営業員は、商談の途中で意識的に視点を切り替えます。「自分がお客様だったら、この提案をどう感じるだろう」と考えるのです。

顧客が知りたいのは、商品の機能や特徴だけではありません。「それを導入すると自社にどのようなメリットがあるのか」「現在抱えている問題がどのように改善されるのか」「費用をかけるだけの価値があるのか」ということです。つまり、商品そのものではなく、商品によってもたらされる変化を買おうとしているのです。

ここを理解すると、営業の会話は変わります。

「この商品には○○という機能があります」という商品説明中心の営業から、「御社が現在抱えている○○という問題を、この仕組みによって改善できます」という顧客価値中心の営業へ変わっていきます。

さらに優秀な営業員は、顧客自身がまだ気づいていない課題まで考えます。

「今は問題になっていないが、半年後にはどうなるだろう」「このまま放置すると、どのような損失が発生するだろう」「もっと良い方法はないだろうか」と考えます。

ここまで考えられるようになると、営業は単なる商品販売担当者ではなく、顧客の問題解決を支援する存在になります。

商談前に一度、自分に問いかけてみてください。「今日は何を売るのか」ではなく、「今日はこのお客様に、どのような価値を提供できるのか」。この問いを習慣にすることで、営業の質は大きく変わっていきます。

営業のための7つの習慣(第1の習慣)

 「なぜ?」を持ち続ける

~優秀な営業は、答えよりも問いを大切にする~

営業という仕事を長く続けていると、経験が増えていきます。経験は営業にとって大きな財産です。しかし、その経験がいつの間にか「思い込み」に変わってしまうことがあります。

「この業界のお客様は価格を重視する」「この商品ならこの説明をすれば売れる」「このお客様はこういうタイプだ」と、過去の経験だけで判断してしまうのです。成長する営業員は、ここで「なぜ?」と考えます。「なぜ、このお客様は価格が高いと言ったのだろう」「なぜ、競合他社を選んだのだろう」「なぜ、前回の商談では反応が良かったのに契約につながらなかったのだろう」と問いを持ちます。

この「なぜ?」が営業を成長させます。

たとえば、失注したときに「価格が高かったから仕方がない」と考えれば、そこで学びは終わります。しかし、「なぜ価格が高いと感じられたのか」と考えれば、「商品の価値を十分伝えられていなかったのではないか」「競合との違いを明確にできなかったのではないか」「そもそも提案内容が顧客の課題とずれていたのではないか」と、さまざまな仮説が生まれます。すると、失注は単なる失敗ではなく、次の営業活動を改善するための教材になります。優秀な営業員とは、すべての答えを知っている人ではありません。分からないことに対して「なぜだろう」と考え、仮説を立て、確認し、自分なりの答えを見つけられる人です。

営業経験が長くなればなるほど、「分かったつもり」になる危険性は高まります。だからこそ、成長する営業員はいつまでも好奇心を失いません。「なぜ?」という小さな問いを持ち続けること。それが、営業として成長し続けるための第一の習慣なのです。

Evoto
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