スーパー営業依存度診断35問

ポイントは、単なるチェックリストではなく、5段階評価→領域別得点→総合判定→改善優先順位の特定までできる設計にすることです。今回は「点数が高いほど、スーパー営業への依存度が高い」という方向に統一します。

 自部署は「スーパー営業依存型」になっていないか

 1.この診断の目的

一部の優秀な営業担当者が大きな売上をつくっていること自体は問題ではありません。

問題なのは、その人がいなくなった途端に、

– 売上が大きく落ちる

– 重要顧客との関係が弱くなる

– 難しい商談に対応できなくなる

– 若手が成果を出せなくなる

– 営業ノウハウが失われる

といった事態が起こることです。

この診断では、自部署がどの程度「スーパー営業依存型」になっているかを、7領域・35問から確認します。重要なのは、スーパー営業本人を問題視することではありません。

「個人の強さを、どこまで組織の強さに転換できているか」を確認するための診断です。

回答方法

現在の自部署の実態に最も近いものを選んでください。

5点=非常に当てはまる 

4点=やや当てはまる 

3点=どちらともいえない 

2点=あまり当てはまらない 

1点=まったく当てはまらない

※すべて「点数が高いほどスーパー営業への依存度が高い」設問です。

1. 属人化

 「特定の人がいなければ仕事が回らない」状態になっていないか

 Q1重要顧客との関係が、会社ではなく特定の営業担当者個人との関係になっている。

 Q2難易度の高い商談になると、「あの人に任せれば何とかなる」という対応になりやすい。

 Q3特定の営業担当者が異動・退職・長期不在になった場合、売上や顧客関係に大きな影響が出ると思う。

 Q4顧客との過去の交渉経緯や人間関係について、担当者本人しか知らない情報が多い。

 Q5特定の営業担当者が担当する顧客・案件について、管理者や他のメンバーが十分に状況を把握できていない。

2. 営業標準化

 「できる人の感覚」に頼った営業になっていないか

 Q6成果を上げている営業担当者が「なぜ売れているのか」を組織として十分に説明できない。

 Q7商談前準備、ヒアリング、提案、クロージングなどについて、部署共通の基本手順が明確になっていない。

 Q8営業担当者によって商談の進め方や提案品質に大きなばらつきがある。

 Q9優秀な営業担当者の成功パターンが、チェックリスト・マニュアル・事例などに十分落とし込まれていない。

 Q10新人・若手が「何を、どの順番で、どの水準までできればよいか」を明確に理解できていない。

3. 営業プロセス管理

 「売上結果だけ」を見ていないか

 Q11営業会議では、商談プロセスより売上実績や予算達成率の確認が中心になっている。

 Q12売上未達者に対して、「もっと訪問しろ」「もっと頑張れ」といった抽象的な指導が多い。

 Q13アプローチ数、商談化率、提案化率、受注率などのプロセス指標を十分に管理できていない。

 Q14営業担当者ごとに「営業プロセスのどこが弱いのか」を管理者が明確に説明できない。

 Q15失注した場合、「なぜ失注したのか」をプロセスに分解して検証する習慣が弱い。

4. 営業人材育成

 「助けること」が「育てること」になっていないか

 Q16部下が難しい商談に直面すると、管理者やベテラン営業が代わりに対応することが多い。

 Q17上司同行の商談では、結果的に上司が説明・提案・クロージングの中心になることが多い。

 Q18部下に答えを考えさせるより、管理者が正解を教えることのほうが多い。

 Q19商談同行後に、「何が良かったか」「何を改善するか」を部下自身に振り返らせる機会が少ない。

 Q20若手・中堅営業が一人で難しい案件を担当できるようになるまでの育成計画が明確になっていない。

5. 営業情報・ナレッジ共有

 「知っている人だけが強い」組織になっていないか

 Q21成功した営業手法や提案事例が、担当者本人の経験として終わっていることが多い。

 Q22失注理由や商談失敗の経験を、部署全体で共有・分析する機会が少ない。

 Q23競合情報、価格情報、顧客情報などが個々の営業担当者に分散している。

 Q24「誰に聞けば分かるか」は分かっていても、「どこを見れば分かるか」が明確になっていない。

 Q25営業会議がナレッジ共有よりも、数字や案件進捗の報告中心になっている。

6. 営業マネジメント

 「自分で売る管理者」になっていないか

 Q26売上が不足すると、管理者自身が案件を獲得して不足分を補うことが多い。

 Q27難しいクレーム・価格交渉・重要商談は、最終的に管理者が直接対応することが多い。

 Q28管理者の評価では、「部下をどれだけ成長させたか」より「部署の売上結果」が強く重視されている。

 Q29管理者が数日から数週間不在になると、重要な判断や案件処理が滞る可能性が高い。

 Q30管理者自身が「自分が対応したほうが早い」と考えて仕事を引き取ることが多い。

7. 営業組織文化

 「個人で勝つ文化」が強くなっていないか

 Q31営業担当者の評価や表彰では、個人売上が特に重視されている。

 Q32他の営業担当者を支援したり、ノウハウを共有したりする行動が十分に評価されていない。

 Q33優秀な営業担当者ほど、自分の営業ノウハウを周囲に教える時間を取りにくい。

 Q34「チームとしてどう勝つか」より、「自分の数字をどう達成するか」が優先されやすい。

 Q35営業担当者同士で互いの商談を支援したり、問題解決を助け合ったりする文化が十分に定着していない。

35問すべての得点を合計してください。

最低35点~最高175点となります。

さらに重要なのが、総合点だけではなく7領域それぞれの点数を見ることです。

各領域は、最低5点~最高25点です。

総合診断

 35~62点

 【組織自走型】スーパー営業への依存度は比較的低い状態です。営業プロセス、情報共有、人材育成などが一定程度組織化されている可能性があります。

ただし総合点だけで安心せず、特定領域だけ突出して高くなっていないか確認してください。

63~90点

 【軽度依存型】一部に属人化が見られる状態です。現時点では大きな問題になっていなくても、特定担当者の異動・退職などによって問題が顕在化する可能性があります。高得点領域から改善を始めることが重要です。

91~118点

 【中度依存型】スーパー営業や管理者への依存が、組織運営に影響し始めている状態です。営業標準化、プロセス管理、人材育成など複数の領域に改善課題が存在している可能性があります。「誰が売るか」から「どうすれば誰でも一定水準で売れるか」へ発想を変える必要があります。

119~147点

 【高度依存型】特定の営業担当者や管理者が組織成果を大きく支えている可能性があります。現在の業績が良好であっても、その人材の異動・退職・長期不在などによるリスクが大きい状態です。属人化の解消、営業標準化、権限移譲、ナレッジ共有などを組織課題として進める必要があります。

148~175点

 【極度依存型】「組織で売る」というより、「一部の優秀な人材によって売上が成立している」可能性が非常に高い状態です。スーパー営業の能力をさらに高めること以上に、その知識・判断基準・営業プロセス・顧客情報を組織資産へ転換することが優先課題です。

さらに重要な「領域別診断」総合点だけでは改善策を決められません。

各領域25点満点について、次のように確認します。

5~9点:依存度が低い 

10~14点:やや注意 

15~19点:改善対象 

20~25点:優先改善領域

特に20点以上の領域は、「スーパー営業依存を生み出している構造的原因」と考え、優先的に改善します。

「自部署で最も依存している人物が、明日から3か月間不在になったとしたら、何が止まるだろうか?」顧客対応でしょうか。重要商談でしょうか。価格交渉でしょうか。案件判断でしょうか。売上予測でしょうか。クレーム対応でしょうか。若手育成でしょうか。そして、もう一つ考えます。「なぜ、それはその人がいなければできないのか?」ここまで掘り下げると、「人」の問題だと思っていたものが、

情報共有不足

営業標準不足

権限移譲不足

育成不足

判断基準の不明確さ

マネジメントの属人化

といった組織構造の問題として見えてきます。

スーパー営業は会社にとって大切な人材です。

したがって、目指すべきなのは、「スーパー営業をなくすこと」ではありません。目指すのは、「スーパー営業がいなくても一定以上の成果が出る組織をつくりながら、スーパー営業にはさらに高度な仕事を任せること」です。

そして営業マネージャーが見るべきなのは、トップ営業の最高得点だけではありません。

組織全体の平均値と中央値が継続的に上昇しているか。

ここに注目する必要があります。

一人の100点を105点にするだけではなく、50点の営業を60点へ、60点の営業を70点へ、70点の営業を80点へ引き上げる。その結果、「スーパー営業が会社を強くする組織」から、「スーパー営業を生み出せる組織」へ。

さらに最終的には、「誰か一人が強い組織」から、「普通の営業担当者でも成果を出せる仕組みが強い組織」へ。これこそが、スーパー営業依存から脱却する営業組織改革の本質です。

総合点以上に「7領域のレーダーチャート化」が有効です。たとえば「属人化22点・標準化21点・プロセス13点……」と可視化すると、同じ総合100点でも「何を最初に改善すべき組織なのか」が一目で違って見えます。

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