スーパー営業への依存をなくし、組織全体の平均点を引き上げる(第7回)

「エースを称賛する文化」から「チームで勝つ文化」へ

 ~最終的に変えるべきものは組織文化である~

最後に必要なのが組織文化の改革です。営業会社では、「今月のトップ営業!」「年間MVP!」「売上No.1!」という表彰がよくあります。もちろん、優れた成果を称賛すること自体に問題はありません。しかし、それだけが強調されると、「自分の数字さえ上げればよい」という文化になる可能性があります。

そこで個人成績に加えて、後輩を育成した。成功事例を共有した。他部署を支援した。

大型案件をチームで獲得した。業務改善を行った。失注分析から新しい営業手法を作った。といった組織への貢献も評価します。

目指すのは、「誰が一番売ったか」だけを競う組織から、「どうすればチーム全体がもっと強くなるか」を考える組織への転換です。

スーパー営業にはスーパー営業として活躍してもらえばよいのです。しかし、その知識、技術、経験、人脈、成功パターンが本人だけに閉じている状態から、

個人の力 → 共有 → 標準化 → 育成 → 再現 → 組織能力へ変えていかなければなりません。

「100点の一人」より「80点を出せる10人」をつくる

スーパー営業への依存から脱却するための7つの改革を整理すると、

1.属人化を解消し、スーパー営業の成功要因を分解する 

2.成功パターンを標準化し、営業品質の最低ラインを上げる 

3.結果管理からプロセス管理へ転換する 

4.教える育成から、自走させる育成へ変える 

5.個人の情報・経験を組織のナレッジへ変える 

6.管理者を「自分で売る人」から「組織を強くする人」へ変える 

7.個人英雄型からチーム成果型の文化へ変える

という流れになります。

ここで大切なのは、スーパー営業の存在を否定しないことです。

問題なのは、「スーパー営業がいること」ではなく、「スーパー営業がいなければ成果が出ないこと」なのです。

強い営業組織では、スーパー営業の能力を「特殊能力」で終わらせません。

「なぜ売れるのか」を分解し、言語化し、共有し、標準化し、教育し、再現できるようにします。つまり、属人化 → 可視化 → 標準化 → 共有化 → 育成 → 自走化 → 組織力

という順番で進化させます。

そして営業マネージャーが最も注目すべき数字は、「トップ営業がいくら売ったか」だけではありません。

中央値の営業担当者が、昨年よりどれだけ成長したか。ここに組織力を見る重要な視点があります。トップ営業が120点から130点になったとしても、その他の営業担当者が50点のままなら、依然としてトップ営業依存型です。

一方で、トップ営業が120点のままでも、50点だった人が65点へ、60点だった人が75点へ、70点だった人が80点へ成長すれば、組織の営業力は確実に厚くなります。

営業マネジメントの本質は、突出した一人をつくることだけではありません。

「普通の営業担当者が、普通に行動しても、一定以上の成果を出せる組織」をつくること。さらにその先には、「優秀な人がいるから強い会社」から、「人を優秀にする仕組みがあるから強い会社」へ。という大きな転換があります。

スーパー営業をつくる会社より、スーパー営業の知恵を組織全体の能力に変えられる会社のほうが、持続的に強い営業組織へ成長できるのです。

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