営業マインドセット(第10回:確率を管理する)

 営業は案件を管理する仕事ではなく、確率を管理する仕事である

営業という仕事において、多くの人が勘違いしていることがあります。

それは、「営業とは案件を管理する仕事である」という考え方です。もちろん案件管理は重要です。しかし、成果を安定して出し続けるトップ営業や優秀な営業マネージャーは、案件そのものではなく、案件の確率を管理しています。

営業は未来を扱う仕事です。

未来は確定していません。

だからこそ営業に求められるのは、「当たるか外れるか」ではなく、「どれくらいの確率で実現するのか」を考える思考なのです。

・営業は予言者ではない

営業会議でよくある光景があります。

管理職が、「この案件は決まるのか?」と質問します。

担当者は、「たぶん大丈夫です」「おそらく決まります」「感触は良いです」と答えます。

しかし、感触は数字ではありません。希望も予測ではありません。営業は予言者ではないのです。

重要なのは、客観的な事実から確率を推定することです。

・トップ営業は「感覚」を疑う

成果の出ない営業ほど、自分の感覚を信じます。

 お客様は乗り気だった

 雰囲気は良かった

 反応は悪くなかった

しかしトップ営業は、感覚より事実を見ます。

例えば、

 決裁者と会えているか

 課題が明確になっているか

 予算が確保されているか

 導入時期が決まっているか

 競合状況は把握できているか

こうした事実を積み上げて、受注確率を判断します。

・案件は白か黒ではない

営業経験が浅い人ほど、案件を「取れる」「取れない」で考えます。しかし現実はそんなに単純ではありません。

例えば、

 A案件:受注確率80%

 B案件:受注確率50%

 C案件:受注確率20%

という状態があります。

優秀な営業は、この違いを見極めています。だから行動の優先順位も変わります。

・パイプラインが営業を強くする

営業成果は偶然ではありません。パイプライン管理によって生まれます。

例えば、

100件の見込み客から

 50件が商談化

 20件が提案化

 10件が見積化

 5件が受注

という流れが見えていれば、不足している工程が分かります。すると、「もっと受注を増やせ」ではなく、「商談数を増やそう」という具体的な改善ができます。

・優秀な営業は失注も予測する

成果の出ない営業は、受注予測ばかり考えます。しかしトップ営業は、失注予測も行います。

例えば、

 決裁者と会えていない

 競合優位性が高い

 課題が曖昧

 予算未確定

という案件は危険信号です。つまり、案件を見るのではなく、リスクを見るのです。

・確率思考が精神的な安定を生む

営業は断られる仕事です。だから感情に左右されやすい。しかし確率思考を持つと変わります。

例えば、

受注率20%の営業なら、10件提案して8件断られるのは普通です。ところが感覚営業だと、1件断られるたびに落ち込みます。確率思考を持つ営業は、断られることも計算の中に入っています。だからブレません。

・営業マネージャーの役割

営業マネージャーの仕事も同じです。案件を追いかけることではありません。確率を高めることです。

例えば、

 ヒアリング精度を上げる

 提案品質を高める

 決裁者面談率を上げる

 商談数を増やす

こうした改善によって、組織全体の勝率が上がります。

・科学としての営業

昔の営業は経験と勘の世界でした。しかし現代営業は違います。成果を出す組織ほど、数字を分析しています。

 商談化率

 提案化率

 受注率

 リピート率

 紹介率

これらを継続的に追いかけています。営業は根性論ではなく、再現性のある科学になりつつあるのです。

・本当に管理すべきもの

営業担当者が管理すべきなのは、案件数ではありません。確率です。営業マネージャーが管理すべきなのは、売上だけではありません。プロセスです。

未来は予測できません。しかし確率は改善できます。そして確率を改善し続けた組織が、最終的に大きな成果を手にします。

 三流の営業は案件を追う。

 二流の営業は売上を追う。

 一流の営業は確率を管理する。

 営業は未来を当てる仕事ではない。

 未来が実現する確率を高める仕事である。

 あなたは今日、案件を見ていただろうか。

 それとも確率を見ていただろうか。

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