営業は話す仕事ではなく、理解する仕事である
営業という仕事に対して、多くの人が最初に抱くイメージがあります。それは、「営業は話が上手い人が成功する仕事」というイメージです。確かに説明力やプレゼンテーション力は重要です。しかし、長期的に成果を出し続けるトップ営業を観察すると、ある共通点があります。それは、驚くほど話さないということです。彼らは話すことよりも、理解することに力を注いでいます。
・営業が失敗する最大の理由
営業が失注する理由を分析すると、商品力不足でもなく、価格でもなく、競合でもなく、実は、顧客理解不足であることが少なくありません。顧客が本当に困っていることを理解できていないため、的外れな提案になります。すると顧客はこう感じます。「この営業はうちのことを分かっていない」この瞬間に信頼は失われます。どれだけ商品知識が豊富でも、どれだけプレゼンが上手でも、顧客理解が浅ければ成果にはつながりません。顧客自身も課題を理解していないここで重要な事実があります。それは、顧客自身が課題を正しく認識していない場合が多いということです。
例えば、顧客は「売上が下がっている」と言います。しかし本当の問題は
新規顧客数の減少
リピート率の低下
商談化率の悪化
市場変化への対応不足かもしれません。
顧客が語るのは現象です。営業が見つけるべきなのは原因です。
・ヒアリングの本当の目的
多くの営業はヒアリングを情報収集だと思っています。しかし、本当は違います。ヒアリングの目的は、顧客の認識を整理することです。優秀な営業は質問によって顧客に考えさせます。
例えば、
なぜその問題が発生しているのでしょうか
その状態が続くと何が起こりますか
最も困っている部署はどこですか
解決できたら何が変わりますか
こうした質問によって、顧客自身も気づいていなかった課題が見えてきます。つまり営業は、質問を通じて問題解決を始めているのです。
・話し過ぎる営業ほど危険
新人営業によく見られるのが、「沈黙が怖い」という状態です。
すると、
商品説明
機能説明
導入事例
会社紹介を延々と続けます。
しかし顧客は、話を聞きたいのではありません。理解してほしいのです。営業が話している時間が長いほど、顧客を理解する時間は短くなります。逆にトップ営業は、顧客が7割話し、自分は3割しか話しません。それでも契約率は高いのです。なぜなら理解の深さが違うからです。
・理解は信頼を生む
人は自分を理解してくれる人に好意を持ちます。これは営業でも同じです。顧客は、商品を買う前に営業担当者を信頼するかどうかを判断しています。そのためには、商品の説明よりも先に、理解されているという実感を与える必要があります。
顧客から
「まさにその通りです」
「そこが悩みなんです」
「よく分かっていますね」という言葉が出てきたら、信頼形成は進んでいます。
・営業マネージャーが育成で見るべき点
多くの管理職は商談報告で、
何を提案したのか
何を説明したのか
何を売ったのかを確認します。
しかし本当に確認すべきは、
顧客は何に困っているのか
顧客は何を目指しているのか
顧客は何を恐れているのか
顧客の意思決定基準は何かです。
これを説明できない営業は、まだ顧客を理解できていません。
・ 理解力こそ営業力である
営業力というと、
話術
プレゼン力
クロージング力が注目されます。
しかしその土台にあるのは、理解力です。理解が浅ければ、提案も浅くなります。理解が深ければ、顧客の期待を超える提案ができます。営業とは、話すことで契約を取る仕事ではありません。理解することで信頼を得る仕事なのです。
三流の営業は自分の話をする。
二流の営業は商品を説明する。
一流の営業は顧客を理解する。
顧客は話の上手い営業を求めているのではない。
自分のことを理解してくれる営業を求めているのである。


