勝敗を正しく分析できない会社

組織論としても、営業マネジメントとしても、とても本質的なテーマです。

勝敗を正しく分析できない会社。

しかもそれを「市場が悪い」「顧客がわかっていない」「価格競争がひどい」「本部が悪い」「部下が悪い」と外部要因に帰してしまう会社。

この構造は、静かに、しかし確実に衰退を生みます。

 1. 現実認識が歪む会社は、戦略がズレ続ける

経営とは「現実をどう認識するか」のゲームです。

たとえばプロ野球で負けたチームが「審判が悪い」と毎回言っていたら、守備練習も投手起用の見直しも起こりませんよね。

実際、強豪球団である読売ジャイアンツや福岡ソフトバンクホークスは、勝った試合でも必ず振り返りをします。

負けの原因を構造化できない組織は、

・打率が悪いのか

・選球眼が悪いのか

・配球が読まれているのか

・練習設計が悪いのか

この切り分けができない。

つまり「改善可能な要因」を見つけられない。

その結果、戦略は毎回外します。

外していることにも気づきません。

2. 学習能力が消える(組織が進化しない)

企業は生物に似ています。

進化とは何か。

環境変化に対する適応です。

進化論を提唱した

チャールズ・ダーウィンは「強いものが生き残るのではなく、変化に適応できるものが生き残る」と示しました。

他責文化の組織では、

「変わる必要がない」

という無意識の前提が生まれます。

すると何が起きるか。

・営業プロセスが10年前と同じ

・商品説明資料がアップデートされない

・顧客ニーズの変化を無視する

・若手の意見が潰される

つまり、進化停止。

市場は変わるのに、自分たちは変わらない。

このギャップが徐々に致命傷になります。

3. 優秀な人材が去る

優秀な人ほど、因果関係を見ます。

・なぜ勝ったのか

・なぜ負けたのか

・どこを修正すればいいのか

これを考えたい。

しかし組織が他責で止まると、

「ここでは学べない」

「この会社は伸びない」

と感じます。

すると優秀層から抜けます。

残るのは、思考停止に適応した人だけ。

これは組織の質の逆選抜です。

 4. 数値管理が機能不全になる

営業でよくある誤りはここです。

予算未達 → 「景気が悪い」

受注率低下 → 「価格競争」

失注増加 → 「顧客が冷たい」

しかし本当にそうか?

仮説として分解すると、

・提案価値が弱い

・ヒアリングが浅い

・決裁者に届いていない

・競合との差別化が曖昧

・クロージング設計が甘い

この内部要因を見ない限り、KPI改善は起きません。

結果、管理は「叱責」か「精神論」になります。

これが続くと、現場は数字を隠し始めます。

もう組織は崩壊の入り口です。

5. 最終的な行く末

他責文化の会社は、短期的には生きます。しかし中期的に市場ポジションを失い、

長期的には存在理由を失います。

勝敗分析ができる会社は、実は負けを歓迎します。

なぜなら、「改善点が見える」からです。

営業組織であれば、

・受注率を顧客属性別に分解する

・商談プロセス別離脱率を出す

・失注理由を定量×定性で整理する

・トップ営業と平均営業の行動差を抽出する

ここまでやって初めて、勝敗は武器になります。

負けを構造化できる会社は、必ず強くなります。

組織の未来は、「敗因をどう扱うか」で決まる。

敗因を外に置く会社は衰退し、敗因を自分たちの中に探す会社は進化する。

これは営業でも、国家でも、スポーツでも同じ構造です。

そして面白いことに、他責文化は一瞬楽なんです。

しかしその楽さは、未来を前借りしているだけ。

組織は正直です。

現実を見ない組織は、やがて現実に淘汰されます。

ダブルスタンダード

自分に甘く、他人に厳しい。

あるいは立場が変わると正義が変わる。

これ、実はとても人間的です。脳のデフォルト設定に近い。

ただし――放置すると、かなりコストが高い。

まず前提。

人間は自分を守る生き物です。

心理学では「自己奉仕バイアス」と呼ばれる傾向があります。成功は自分の実力、失敗は外部要因。

この研究を広めた行動経済学者がダニエル・カーネマンです。私たちは合理的ではなく、合理的に見える物語を作る生き物だと示しました。

つまりダブルスタンダードは珍しい病気ではありません。

未訓練の思考の自然状態です。

問題は、そこに気づかないまま固定化することです。

 1. 信頼が削れていく

信頼は「一貫性」から生まれます。

昨日言ったことと今日言うことが違う。

自分のミスは事情があるが、部下のミスは怠慢。

こうした振る舞いは、周囲に強烈なメッセージを送ります。

「この人の基準は状況次第だ」

一貫性がないリーダーに、人は安心して従えません。

結果、表面上は従っても、本音では離れていきます。

信頼の損耗は静かです。音はしません。

しかしある日、誰もついてこない現実として現れます。

 2. 認知が歪む

ダブルスタンダードは思考の整合性を壊します。

矛盾を抱えたまま維持するには、

さらに言い訳を重ねる必要がある。

これは心理学で「認知的不協和」と呼ばれます。

自分の中の矛盾を減らすために、都合のいい物語を作る。

続けるとどうなるか。

現実よりも自分が正しい世界を守ることが優先されます。

分析力が落ちます。判断精度が落ちます。

営業で言えば、

自分の失注 → 市場が悪い

他人の失注 → 準備不足

この状態では、勝率改善は起きません。

 3. 組織文化を腐食させる

リーダーがダブルスタンダードを持つと、組織は学習します。

「ああ、基準は空気次第なんだ」

すると何が起きるか。

・責任回避

・保身

・忖度

・本音の消滅

基準が流動的な組織では、挑戦よりも正解探しが優先されます。

正解とは「上司の気分」。

これは生産性を大きく下げます。

 4. 孤立する

ダブルスタンダードは短期的には有利に働くことがあります。

自分を守れるからです。

しかし長期では違う。

一貫性のない人には、深い信頼関係が築けません。

親しい関係でも、こう思われます。

「結局この人は自分優先」

すると本音は共有されません。

表層的な関係だけが残ります。

孤立はゆっくり進みます。

 5. 長期的な末路

ダブルスタンダードを持ち続ける人は、

・批判を受け入れられない

・学習が止まる

・信頼を失う

・影響力が縮小する

最終的に「肩書きだけが残る人」になります。

権限はあるが、尊敬はない。

これはかなり厳しいポジションです。

 なぜ人はダブルスタンダードになるのか

これは弱さというより、防衛反応です。

自分の失敗を真正面から受け止めるのは痛い。

だから基準を動かして自尊心を守る。

しかし成長とは何か。

基準を他人に合わせることではありません。

基準を自分にも適用する勇気です。

 実務的な処方箋

営業マネジメントで使える方法があります。

「基準を文章化する」

たとえば、

・失注時の振り返り項目

・評価基準

・行動ルール

これを明文化する。

曖昧さがダブルスタンダードを生みます。

透明性がそれを抑えます。

さらに強いのは、

「自分にも同じ基準を公開する」こと。

これができるリーダーは強い。

世界は複雑で、人は不完全です。

だからこそ一貫性は価値になります。

ダブルスタンダードは一時的な安心をくれます。

しかしその代償は、信頼と成長の停滞。

一貫性は痛みを伴います。

でもその痛みが、人格と組織を強くします。

基準を守る人は尊敬される。

基準を動かす人は警戒される。

そして組織の未来は、

どちらの人が中心にいるかで決まります。

設備投資に消極的な会社は「是か非か」

結論から言うと、一概に「悪」ではないが、条件次第では中長期的にリスクが大きい、です。

重要なのは

 「なぜ消極的なのか」

 「どの時間軸で判断しているのか」

この2点です。

1.設備投資に消極的で「是」と言えるケース

 ①. 市場縮小・撤退フェーズにある場合

 需要が構造的に縮小している

 事業の出口戦略(撤退・売却)が明確

この場合の設備投資は

回収不能リスクの高いコスト

になるため、抑制は合理的です。

▶ 例

 紙媒体関連

 旧型アナログ機器製造

 国内需要が急減する分野

②. 高い稼働率・十分な競争力を維持できている場合

 既存設備で品質・コスト競争力が高い

 稼働率が最適水準(過剰でも不足でもない)

この場合、

「投資しない=怠慢」ではなく「最適化」

と評価できます。

③. 人的投資・無形資産投資へシフトしている場合

 DX(システム・データ活用)

 教育・技能伝承

 ブランド・顧客基盤強化

設備投資は減っても

企業価値投資が別軸で進んでいるなら問題なし。

2. 設備投資に消極的で「非」になるケース

 ①. 短期利益至上主義に陥っている場合

 今期利益を守るために投資を先送り

 減価償却を嫌う経営判断

これは

「数字は良いが体力は落ちている」

典型例です。

▶ 営業現場への影響

 品質低下

 納期遅延

 クレーム増加

 価格競争力の喪失

営業がいくら頑張っても、武器が古い状態。

②. 老朽化リスクを放置している場合

 故障・停止リスク増大

 修繕費の増加(実はコスト高)

短期的には

CAPEX削減 → OPEX増大

という逆転現象が起きやすい。

③. 競合が投資しているのに追随できていない場合

 自動化・省人化

 高付加価値設備

 データ活用・品質安定化

ここで投資を止めると

競争劣位が不可逆になる

可能性が高い。

3. 経営判断としての正しい問い

設備投資の是非は、金額ではなく問いの質で決まります。

経営が自問すべきは:

①. この投資は

    ・売上を伸ばすのか

    ・コストを下げるのか

    ・リスクを減らすのか

②. 投資しない場合の機会損失はいくらか

③. 3年後・5年後に営業は何を武器に戦うのか

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営業の基礎問題 (小売業の基礎知識 9)

問題1(財務分析・店舗収益性)

ある小売店の部門マネージャーが、収益改善のために GMROI(商品投下資本粗利高比率) を評価したい。

GMROIを改善するための最も適切な施策はどれか。

A. 在庫回転率を下げ、欠品を防ぐために大量の在庫を確保する

B. 粗利率が低いが売れ行きの良い商品を増やし、回転率依存度を高める

C. 不動在庫を削減し、在庫投下額を圧縮する

D. 仕入単価を上げて値入率を高める

【正解:C】

解説:

GMROI=粗利高 ÷ 在庫投下額

よって 在庫投下額を減らす(=不動在庫削減) は最も効果が高い。

Aは投下資本が増加しGMROI悪化、Bは粗利率低下の恐れ、Dは仕入単価上昇は逆効果。

問題2(マーケティング戦略・ポジショニング)

中規模スーパーが地域の競合店との差別化を図るために「サービス・ドミナント・ロジック(S-Dロジック)」の考え方を導入したい。

最も適切な理解はどれか。

A. 商品そのものの機能価値を強調し、物的価値を最大化する考え方である

B. 顧客が価値を共同で生み出すプロセスに重点を置く考え方である

C. 低価格戦略を徹底し、コストリーダーシップで市場を取る方法である

D. 商品のPOSデータを軸に品揃え最適化を行う方式である

【正解:B】

解説:

S-Dロジックは

価値は企業が一方的に提供するものではなく、顧客と企業が「共同で創る」

という理論。

AはG-Dロジック、Cは競争戦略、DはMDのデータ活用の話。

問題3(店舗運営・労務管理)

小売店の店長が、従業員満足度(ES)を高めて離職率を下げたいと考えている。

ES向上が最も店舗パフォーマンスに結びつきやすい施策 はどれか。

A. インセンティブ制度を強化し、成果が高い従業員のみ評価する

B. 標準作業手順(SOP)を整備し、業務負担を平準化する

C. 長時間残業を許容し、顧客対応の柔軟性を高める

D. 店長による指示・命令型マネジメントを徹底する

【正解:B】

解説:

ES向上には 労働負荷の適正化・業務の見える化・標準化 が最も効果的。

SOP整備により

 作業の属人化が減る

 新人教育が容易

 ミスが減る

 労働負荷の偏りが減る

  などの効果が期待でき、結果的にCS・売上にもつながる。

  Aは公平性を欠く、CはESを悪化させる、Dは自律性を奪い逆効果。

営業の基礎問題 (小売業の基礎知識 8)

問題1 MD戦略・収益管理

ある小売企業は、カテゴリー別の「戦略的価値」を評価するために ポートフォリオ分析(カテゴリー・ロール分析) を導入した。

商品の役割を「牽引(Destination)」「日常(Routine)」「季節(Seasonal)」「利幅(Convenience)」に分類した際、以下のうち 牽引カテゴリーに最も適した戦略 はどれか。

A. 在庫回転率を最優先し、SKUは最小限に抑える

B. 利幅を重視し、高粗利商品の比率を増やす

C. 店舗の来店理由となるため、品揃え幅と深さを最大化する

D. 販促投資は抑制し、自然発生的需要に任せる

【正解:C】

解説:

牽引カテゴリー(Destination)は、顧客がその商品を目的に来店する「キーカテゴリー」。

そのため 品揃えを広く・深く し、価格政策も競争力を持たせることが必須。

Aは日常カテゴリーの考え方、Bは利幅カテゴリー、Dは牽引には不適切。

問題2 ロジスティクス・需要予測

ある小売店は新商品の販売計画を立てている。需要予測の精度向上のために 「因果予測モデル」 を用いる場合、最も適切な説明はどれか。

A. 過去の売上データのみを用い、季節性やトレンドを反映する方式である

B. 顧客アンケート結果やプロモーション計画など、需要を生む要因を変数としてモデル化する方式である

C. 店舗スタッフが経験に基づき需要を推計する方式である

D. 同業他社の売上高を取り込み、自己回帰させる予測モデルである

【正解:B】

解説:

因果予測モデル(回帰分析型)は、

 気温

 広告費

 価格

 イベント

 プロモーション量

  など 需要を動かす要因を変数に入れて予測する方式。

  Aは時系列予測、Cは判断予測、DはARモデルに近い考え方。

問題3 組織管理・リーダーシップ

小売企業の店長が、部下の自律的行動を促すために「シチュエーショナル・リーダーシップ理論(SL理論)」を活用する場合、

部下の能力が高く意欲も高い状態(成熟度M4)に最も適したリーダー行動はどれか。

A. 手取り足取り指示を与え、行動を細かく管理する

B. 部下の意見を尊重しつつも、意思決定は店長が行う

C. 店長と部下が話し合い、意思決定を分担する

D. 権限委譲を進め、部下が主体的に意思決定できるよう任せる

【正解:D】

解説:

SL理論では、

 M4(高能力・高意欲)=「委任型(Delegating)」

  が最も適切。

  Aは指示型、Bは説得型、Cは参加型。

営業の基礎問題 (小売業の基礎知識 7)

問題1 ロジスティクス戦略(SCM最適化)に関する問題

小売チェーンがサプライチェーン全体の効率化を図るため、メーカー・卸売業と共同で在庫データをリアルタイム共有する仕組みを導入しようとしている。

この取り組みの主目的として最も適切なのはどれか。

A. 店舗在庫を削減し、発注責任をメーカー側へ移すこと。

B. チャネル間競争を促進し、販売数量を最大化すること。

C. 情報の非対称性を減らし、在庫水準・リードタイムを最適化すること。

D. 取引条件を変更し、値引き交渉を有利に進めること。

正解:C

解説:

SCMの本質は、サプライチェーン全体の非効率をなくし、必要なときに必要な量を流すこと。

リアルタイム情報共有は「需要予測精度向上」「在庫の最適化」「リードタイム短縮」に直結し、Cが最適。

Aは責任転嫁にすぎず、B・DはSCMの目的と異なる。

問題2 リスクマネジメント(BCP)に関する問題

複数の地域に店舗を展開する小売企業が、災害発生時の事業継続計画(BCP)を見直している。

BCP策定において、最も優先すべき考え方はどれか。

A. すべての店舗で同一の災害対応マニュアルを用い、地域差をなくす。

B. 重要業務を特定し、復旧の優先順位を明確にする。

C. 復旧のための追加コストは最小限とし、平常時の経費削減を優先する。

D. 災害時は一時的に事業を停止し、再開時期は状況に応じて決める。

正解:B

解説:

BCPでは「全業務の継続」ではなく 重要業務の優先復旧 が基本原則。

物流・基幹店舗・基幹システムなどを特定し、復旧順位を明確にすることが最も重要。

Aは地域特性を無視しており非効率、CはBCPの本質に反する、Dは計画性がない。

問題3 マーケティング分析(顧客価値とLTV)

小売企業が会員データを活用してCRM戦略を強化しようとしている。

長期的利益を最大化するために重視すべき指標として、最も適切なのはどれか。

A. キャンペーン期間中の一時的な来店者数

B. 商品別の棚割り効率(フェイスあたり売上)

C. 顧客の生涯価値(LTV)にもとづくセグメンテーション

D. SNSでの投稿数や「いいね」数の増加

正解:C

解説:

CRMの高度活用では、顧客の長期価値=LTV(Life Time Value) を基準に意思決定することが重要。

リピート率・購買頻度・客単価・離脱率などを統合的に扱うことで、施策の優先順位が明確になる。

Aは短期、Bは商品視点、Dは認知指標でありLTV最適化には不十分。

営業の基礎問題 (小売業の基礎知識 6)

問題1 在庫管理(安全在庫モデル)に関する問題

ある小売チェーンでは需要が不確実な商品について、安全在庫の設定方法を見直している。

需要のバラツキ(標準偏差)が大きくリードタイムも変動する場合、最も合理的な安全在庫の設計方法はどれか。

A. 過去最大の販売量を安全在庫とし、欠品を完全になくす。

B. 担当者の経験則に基づき、1週間分の販売量を安全在庫として保有する。

C. 需要とリードタイムの両方の変動を考慮した統計的手法を用いて安全在庫を算定する。

D. 安全在庫は設けず、週次で追加発注を行うフローに変更する。

正解:C

解説:

安全在庫は 統計的根拠に基づく計算(サービス水準・標準偏差・リードタイム変動) が基本。

「需要×リードタイム」に加え、両者の変動要素を含めて算定する必要がある。

Aは在庫過多、Bは再現性がない、Dは欠品リスクが高く非科学的。

問題2 組織マネジメント(権限委譲)に関する問題

地方に複数店舗を展開する小売企業が、店長の権限を拡大して意思決定のスピードを高めようとしている。

権限委譲を進める際にもっとも重視すべき考え方はどれか。

A. 権限のみを委譲し、責任は本部に残して負担を軽減する。

B. 店長間の能力差を考慮し、一定の統制手段と評価基準をセットで導入する。

C. 権限委譲は組織の混乱を招くため、原則として行わない。

D. 店長が判断に迷った場合は必ず本部の承認を得るプロセスを強化する。

正解:B

解説:

権限委譲は 「権限・責任・評価基準」の一体運用 が前提。

権限だけを渡すと暴走リスク、責任だけを渡すと負担過多になるため、

 能力差の吸収

 標準化されたKPI

 本部とのガバナンス

  を整備したうえで委譲することが重要。

  Aは不整合、Cは俊敏性の低下、Dは結局スピードが落ちる。

問題3 価格戦略(心理価格・需要反応分析)に関する問題

ある小売企業が高級志向の新カテゴリーを導入するにあたり、価格設定の方針を決めようとしている。

顧客が価格を品質の象徴として受け止めるカテゴリーに適した戦略はどれか。

A. 価格弾力性を重視し、競合より低価格に設定して市場シェアを取りに行く。

B. 参入初期は極端に低い価格を設定し、浸透価格政策で顧客を獲得する。

C. 高級カテゴリーとしてのブランドイメージを強化するため、威光価格政策(Prestige Pricing)を採用する。

D. 原価を基準に一定利益を乗せたコストプラス方式で価格を決定する。

正解:C

解説:

高級志向カテゴリーでは、価格は 品質・ステータスのシグナル として機能するため、

威光価格(プレステージプライシング) が最適。

顧客が「高い=良い」と認知する市場では、下げるほど価値が下がる逆弾力性が起こり得る。

A・Bは大量販売向けの戦略であり、Dはブランド戦略の観点が抜けている。

営業の基礎問題 (小売業の基礎知識 5)

問題1 商品政策(品揃え最適化)に関する問題

ある小売企業では、売場効率を高めるためにカテゴリ別の棚割りを再設計しようとしている。棚割り最適化において、プロダクトミックス全体の利益最大化を狙う際に最も重視すべき考え方はどれか。

A. 各SKUの売上金額に応じて棚スペースを比例配分する。

B. 各SKUの限界利益と弾力性、交差弾力性を考慮して棚スペースを配分する。

C. 欠品頻度の高いSKUを優先して棚スペースを増やす。

D. 売れ行きの遅いロングテール商品は棚からすべて排除する。

正解:B

解説:

「棚割りは売上の単純比例ではなく、利益貢献度×価格弾力性×クロスカテゴリ効果」を踏まえて最適化します。

特にプロダクトミックス全体の利益を考える場合、

 限界利益(粗利)

 自カテゴリ内・別カテゴリとの交差弾力性(互いへの影響)

 代替・補完関係

  が重要。 Aは単純すぎ、C・Dは部分最適に陥る可能性が高く、全体最適には対応できません。

問題2 需要予測に関する問題(高度)

小売チェーンがデータ分析チームと連携し、需要予測モデルを改善しようとしている。

季節変動とトレンド変動の両方が大きいカテゴリー(例:衣料品)の需要予測精度を高める手法として、最も適切なのはどれか。

A. 単純移動平均法を用い、過去3か月の売上だけを基礎に予測する。

B. トレンド成分と季節成分を分離して分析できる分解法(decomposition)を用いる。

C. 変動が大きいカテゴリーは需要予測を行わず、発注は担当者の経験に依存させる。

D. 過去の最大売上を基準に安全在庫を多めに積み上げて対応する。

正解:B

解説:

時間系列分解法(トレンド・季節性・不規則要因の分離)は1級レベルで必須。

これにより季節性(夏物・冬物)とトレンド(流行・人口変動による長期変化)を同時に扱えるため、需要予測精度が向上します。

Aは季節変動に弱く、Cは精度が不十分、Dは過剰在庫のリスクが極めて高い。

問題3 マーケティング戦略(流通チャネル)に関する問題

メーカーが自社ECを強化しつつ小売店との関係も維持したいと考えている。

この場合に採用すべき「チャネルコンフリクトの管理」の考え方として最も適切なのはどれか。

A. ECチャネルを優先し、小売店向け出荷を段階的に縮小する。

B. 小売店とECで価格差を大きくつけ、ECのほうが安くなるよう設定する。

C. チャネルごとに役割を明確化し、差別化された価値提供を設計する。

D. チャネル間の競争をあえて放置し、市場が自然に調整するのを待つ。

正解:C

解説:

チャネルコンフリクト対策の王道は 「チャネルの役割分担」。

オムニチャネル戦略

 チャネルごとの機能特化(小売店=体験・即時性、EC=利便性など)

 価格以外の価値の差別化

  が重要視されます。

  A・Bはチャネルを弱め関係悪化を招き、Dは長期的にブランド価値を毀損する可能性があります。

営業の基礎問題 (小売業の基礎知識 4.)

問題1 店舗レイアウトに関する問題

売場内で顧客の回遊性を高め、ついで買いを促進したい場合に有効な施策として最も適切なのはどれか。

A. 主力商品の棚を入口すぐの位置にまとめて配置する。

B. 売場の奥に季節商品や話題商品を配置する。

C. 通路幅をできるだけ狭くし、顧客を立ち止まらせる。

D. レジ付近には値引き商品を置かないようにする。

正解:B

解説:

顧客を売場奥へ誘導する「奥への誘引」は、回遊性向上の基本。

季節商品・新商品など注目度の高い商品を奥に置くことで、自然に売場全体を見てもらえる。

Aは入口近くに集中させすぎて奥へ進まなくなる。

Cは混雑・不満につながり逆効果。

Dはレジ前販促(インパルス需要)を否定しており非効率です。

問題2 商品陳列に関する問題

売れ行きのよい商品をさらに伸ばすために効果的な陳列方法として最も適切なのはどれか。

A. 目線より高い位置に置き、視認性を高める。

B. フェイス(正面に見える商品幅)を増やし、欠品しにくい状態にする。

C. 棚の最下段に置き、他の商品との差別化を図る。

D. あえて関連性の低い売場に移し、顧客の探索を促す。

正解:B

解説:

売れ筋強化の王道は

 フェイス拡大(横に広げる)

 在庫量確保(欠品防止)

  これにより売上を取りこぼしにくくなる。

  Aは高すぎて手に取りづらい。

  Cはゴールデンゾーン(目線〜腰)から外れ不利。

  Dは購買機会を減らす可能性が高く、基本に反します。

問題3 販売促進の評価に関する問題

店舗で実施した販促キャンペーンの効果測定として、もっとも一般的で基礎となる指標はどれか。

A. スタッフの接客態度の改善点

B. キャンペーン期間中の売上増減

C. 競合店の広告出稿量

D. 店舗全体の湿度と温度の変化

正解:B

解説:

販促効果の評価では 「売上・客数・客単価の変化」 が基本。

キャンペーン実施前後の比較(前年比・前月比など)が最も利用されます。

Aは人事評価であり、Cは外部要因。

Dは売上には影響し得るが、販促効果の直接指標ではありません。

営業の基礎問題 (小売業の基礎知識 3)

問題1 仕入管理に関する問題

小売店が適正在庫を維持するために、仕入れ計画で特に重視すべき指標として最も適切なものはどれか。

A. 従業員満足度

B. 在庫回転率

C. 販促費比率

D. 客単価

正解:B

解説:

仕入れ管理では「在庫をどれだけ効率よく販売しているか」を示す 在庫回転率 が重要。

在庫過多や品切れの判断基準にもなるため、仕入れ計画の中心指標になります。

A・C・Dは販売管理上は重要だが、仕入れそのものの適正判断には直結しません。

問題2 クレーム対応に関する問題

顧客から「以前購入した商品がすぐ壊れた」と苦情が入った。

適切な初期対応として最も適切なのはどれか。

A. メーカーの責任であることを強調して説明する。

B. 状況を確認する前に謝罪し、全額返金を提案する。

C. まず顧客の話を最後まで聞き、事実確認を行う。

D. 店舗の規定を伝え、手続きに従うよう求める。

正解:C

解説:

クレーム対応の基本は 傾聴 → 事実確認 → 提案 → 合意形成。

最初に顧客の感情を受け止め、状況を正しく把握することが欠かせません。

Aは責任逃れ、Bは拙速、Dは顧客の不満を悪化させる可能性があります。

問題3 販売計画に関する問題

小売店が年間販売計画を策定する際に、もっとも基礎となる情報として適切なのはどれか。

A. 店舗スタッフの希望シフト

B. 近隣競合店の店舗面積

C. 過去の売上データ

D. 店舗の内装デザイン

正解:C

解説:

販売計画は、過去の売上データ(季節変動・ピーク・商品別構成比など)を基礎に組み立てるのが定石。

その上で市場動向・競合状況・トレンドを加味して計画精度を高めます。 AやDは補助的情報に過ぎず、Bも参考にはなるが計画の基礎データにはなりません。

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