2026年 新年の挨拶

新年あけましておめでとうございます。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

昨年も市場環境が大きく変化する中で、皆さま一人ひとりが工夫を重ねながら営業活動に取り組まれたこと、心より敬意を表します。特に、顧客の価値基準や購買プロセスがますます多様化する中で、日々成果を出し続けることは簡単ではありません。しかし、その分だけ営業という仕事の価値は、これまで以上に高まっていると感じています。

2026年は、営業に求められる力がさらに進化する一年になります。

・顧客との関係を深めるコミュニケーション

・データを活用した精度の高い提案

・カスタマーサクセスを含めた継続的な成果づくり

こうした要素が、ますます重要になっていくでしょう。

本年の研修でも、皆さまが現場ですぐに活かせる実践的なスキルを中心に、成果につながる営業の考え方と手法をしっかりお伝えしてまいります。皆さまの営業活動がより豊かになり、今年の目標達成に向けて確かな力となるよう全力でサポートいたします。

2026年が皆さまにとって挑戦と成長に満ちた一年となりますよう、心よりお祈り申し上げます。

本年も一緒に学び、実践し、成果をつくっていきましょう。

「価格で選ばれない営業」評価指標チェックシート

評価項目観点1(未達)2(一部実行)3(標準)4(優秀)5(卓越)
① 顧客課題の深掘り力表層ニーズではなく、構造的・本質的な課題まで引き出せているか顧客要望を鵜呑みにして聞き取る表面的なニーズのみ把握現場課題・背景までは把握している組織課題・将来の影響まで聴き出している経営課題や業界変化と紐づけて課題を再定義できている
② 意思決定構造の把握力顧客の社内意思決定フローやキーパーソンの重視ポイントを把握しているか話し相手のみで判断している決裁者が誰かは把握している複数関係者の関心・懸念を把握して提案している意思決定の流れに合わせた段階的提案ができている意思決定支援(資料、根回し、合意形成)まで主導できている
③ 提案構成力価格以外の要素(効果、信頼、リスク削減など)で構成できているか機能説明やスペック比較に終始している価格+一部のメリットを説明できている効果・リスク・体制など多面的な提案構成を行っている顧客ごとの導入ストーリーやKPIを明示して提案している顧客組織の変革・成功事例を引き出し、再現提案を実施している
④ 競合比較での差別化力顧客の比較軸を把握し、価格以外の優位性を明確にできているか「うちの方が安い/高い」など価格比較中心顧客の比較ポイントをなんとなく把握他社との違いを明示し、顧客の評価基準にあわせて差別化している比較軸の再定義や価値の翻訳をして「選ばれる理由」を創出している顧客の評価基準そのものに影響を与え、競合不在の土俵をつくれている
⑤ 成果設計・KPI提示力導入後の期待成果・評価軸を顧客と共に設計できているか成果は顧客任せ、納品すれば終わり効果イメージは話しているが、測定指標は曖昧KPIや評価項目をすり合わせて提案している実績数値やROIシミュレーションで説得力のある成果提示ができている顧客と中長期の成果ロードマップを設計し、共に伴走している
⑥ 顧客関係構築・継続貢献力提案時以外でも価値提供・継続関係構築ができているか商談・案件単位のやり取りが中心案件後に状況確認はするが提案は限定的提案外の情報提供・定期接点を継続している顧客課題の変化に応じて追加提案やアップセルが実現している顧客の中期パートナー・改善支援者として不可欠な存在となっている

合計スコア評価基準(最大30点)

評価スコア総合評価解説
27~30点卓越営業価格以外の提案軸を完全に確立し、顧客変革を牽引できるパートナー。
22~26点高水準営業顧客に価値提案を行い価格依存を脱却。社内外に好影響を与える存在。
17~21点標準営業基本はできているが、価格交渉になりやすい。差別化力に伸び代あり。
12~16点改善必要レベル価格依存型。ヒアリング・構成・提案において受け身の傾向。
~11点初級レベル顧客課題や意思決定構造を把握できず、価格以外で戦えない状態。

営業が新年に目標を定めるメリット

 1. 何を優先するかがはっきりする

日々の営業はやることが多く、動きが分散しがちです。

新年に目標を決めると、

・何を一番大切にするか

・どこに時間を使うべきか

が明確になります。

結果として、迷いが減り行動のムダがなくなります。

2. 年間の行動量を逆算できる

目標が数値で決まると、

「月にどれだけ動くべきか」「1週間で何件必要か」

が逆算できるようになります。

これによって行動が具体化し、達成の確率が大きく上がります。

3. モチベーションの軸ができる

目標があることで、

・努力の方向性

・頑張る意味

が明確になります。

迷いや気分に左右されにくくなり、行動を維持しやすくなります。

4. 顧客戦略が立てやすくなる

「どの顧客を伸ばすか」「どこに深耕をかけるか」など、

顧客ごとの作戦が立てやすくなります。

結果として、ターゲットがブレず、勝ちやすい市場に集中できます。

5. チーム全体の連携がスムーズになる

個人が目標を持つと、

・上司との方向性の確認

・チーム内の役割分担

がしやすくなります。

組織としての動きが揃うため、サポートや連携もスムーズに進みます。

6. 今年の成長ポイントが明確になる

売上だけでなく、

・商談数を増やす

・ヒアリング力を強化する

・提案の質を高める

など、成長したいポイントを意図的に決められます。

これが習慣化されると、毎年営業力が強くなります。

7. 年末の振り返りの質が高まる

年初に目標を設定しておくと、

年末には

「何が達成できたか」「なぜできたか」「どこが課題か」

を明確に分析できます。

これが翌年の営業精度をさらに高める基盤になります。

・「売上目標から 月→週→日 の行動量に分解する」

・「重点顧客マップを作成する」

・「今年の成長テーマ(1つ)を言語化する」

・「目標達成のためのやらないことを決める」

 営業が1年を振り返るらなければならない理由

 1. 売上の伸びた理由・伸びなかった理由が明確になる

一年分の案件を振り返ることで、

・なぜうまくいったのか

・どこでつまずいたのか

が客観的に見えるようになります。

これを言語化できると、翌年の営業戦略が一段と精密になります。

2. 成果につながる勝ちパターンを発見できる

営業成果には必ず型があります。

振り返りを行うことで、

・案件が動きやすい手順

・顧客が反応しやすい説明

・自分が強みを発揮できる場面

などの共通点が見つかり、翌年に再現しやすくなります。

3. 改善すべき“弱点・ボトルネック”が早期にわかる

売上が伸び悩んだ時期や案件を整理すると、

・見込みの読み違い

・商談の詰めの甘さ

・準備不足

など、本人が見えにくい弱点が浮き彫りになります。

これを早く認識できれば、対策が明確になります。

4. やみくもな努力から脱却できる

振り返りをしないと、

「忙しく動いたけど、成果は伸びなかった…」

という消耗型営業になりがちです。

一年を整理すると、

・やるべき活動

・減らすべき活動

がはっきりし、ムダが減ります。

5. 翌年の計画の精度が段違いに上がる

過去データを元にした計画は、感覚任せの計画よりも実現性が高くなります。

特に

・訪問数と受注の相関

・商談の進み方の傾向

・予算の達成率の傾き

などを整理することで、数字に裏付けられた計画が立てられるようになります。

6. チームでの共有により知識資産が増える

個人だけでなくチームで共有すると、

・他者の成功事例

・改善方法

・失注の理由

などの情報が蓄積され、翌年の営業全体の底上げにつながります。

7. モチベーションのリセットと再起動ができる

1年間の努力を振り返り、

・達成できた点

・成長できた点

を確認すると、自己効力感が上がり、新しい年のスタートがポジティブになります。

・「成功案件3つの共通点を抜き出す」

・「今年の失注理由トップ3を分析」

・「活動量と成果の関係をグラフ化」

・「翌年の強化テーマを一言で決める」

2025年の営業トピックス

1. 営業のハイブリッド化が標準に

背景

オンライン商談と訪問営業のどちらかに偏る企業が減り、両方を状況に応じて使い分けることが常識になっています。

何が起きているか

・オンラインは初回接触やヒアリングに強い

・訪問は意思決定者を巻き込んだ最終詰めに強い

・顧客の「接触コストを下げたい」ニーズがさらに増加

営業への影響

・商談ごとに「どの接点が最適か」を設計する力が重要

・オンラインでは説明の構造化、訪問では段取り力が評価される

2. 顧客の“投資基準”が厳格化(ROI 営業の重要性アップ)

背景

インフレ・賃上げの影響で、企業は支出に慎重。

何が起きているか

・「費用対効果を数字で示してほしい」が増加

・比較表だけでは決裁が動かない

・導入後の成果まで見据えた説明が求められる

営業への影響

・ROI計算や効果予測の必須化

・顧客の意思決定プロセスを理解した提案力が差別化になる

3. カスタマーサクセスとの一体運営が加速

背景

契約後の利用状況や成功体験が継続契約の鍵になる時代。

何が起きているか

・売った後の関係維持=「売上の源泉」として再評価

・営業とカスタマーサクセスの役割境界が曖昧に

・LTV(生涯価値)管理のニーズが拡大

営業への影響

・契約後のシナリオ設計を営業が担う必要

・オンボーディングの理解が受注率に直結

4. 購買行動の変化:顧客は調べてから来るが前提

背景

AI検索やチャットボットの普及により、顧客は初対面から情報を持っている。

何が起きているか

・事前知識を持った状態で問い合わせが来る

・営業の説明時間が短縮され、比較検討が早まる

・逆に“誤った理解”を持ったまま来るケースも増加

営業への影響

・正しい情報に導く「情報補正力」が重要

・説明よりもコンサル的な整理・判断支援が価値になる

5. 価格改定への対応スキルが必須テーマに

背景

2024〜2025年は多くの業界で原価上昇・人件費増で値上げが続く。

何が起きているか

・顧客が「なぜ今、値上げ?」と理由を求める

・単なる価格交渉ではなく、納得性の説明が重要に

営業への影響

・値上げ理由の論理構成力

・付加価値の再定義

・値上げ時の顧客フォローの質が取引継続を左右

6. データに基づく管理が当たり前になる

背景

営業活動の可視化ツールが急速に普及。

何が起きているか

・訪問数や件数ではなく“受注につながる活動”に注目

・予測の精度が求められ、勘と経験の比重が低下

・活動ログの質が個人評価に直結

営業への影響

・データを読み取る力が評価基準に追加

・分析に基づく行動修正ができる営業の条件

7. AIアシスタントの業務組み込みが進む

背景

音声議事録、メール作成、顧客分析ツールの精度向上。

何が起きているか

・営業資料の自動生成

・商談の要点抽出

・顧客ごとの勝ち筋予測

営業への影響

・AIを使いこなせるかで生産性が2〜3倍変わる

・AIに任せる部分”と“人が担う部分を切り分ける力が重要

8. 営業の心理スキルが再評価

背景

意思決定者の心理変化や不安要因が複雑化。

何が起きているか

・論理だけでは動かない場面が増加

・顧客内部の利害調整が難度アップ

・営業は“合意形成のファシリテーター”の役割を求められる

営業への影響

・共感・傾聴・対人理解を高度に運用する必要

・心理的安全性を作る説明構造が重要

営業は「感情で話すべきか、論理で話すべきか」

営業は「感情で話すべきか、論理で話すべきか」という問いは、実はどちらか一方ではなく、役割が違うので使い分けが必要というのが本質です。

  1. 感情だけで話すのはよくない理由

感情だけで話すと話がふわふわして論点が分からない、お客様が判断しづらい、「勢いだけ」「根拠がない」と見られるといった問題が起きます。

営業はお客様のお金や労力を使ってもらう仕事なので、根拠・理由・比較を示すための論理は絶対に必要です。

 2. 論理だけで話すのも成功しづらい

逆に、論理だけだと冷たい、自分ごとに感じられない、「頭では理解したけど買う気にならない」という状態になりやすいです。

お客様は“人間”なので、不安・期待・安心・信頼などの感情が行動を決める部分があります。

 3. 営業に必要なのは「論理で説明し、感情で納得してもらう」

この順番が大切です。

 ● 論理の役割

 “なぜ必要なのか”を説明する

 事実やデータで信頼をつくる

 比較や根拠で安心してもらう

 ● 感情の役割

 「この人から買いたい」と思ってもらう

 不安を取り除く

 期待や前向きな気持ちを引き出す

この両方がそろうと、商談がスムーズに進みます。

 4. 実際の現場でのバランス

営業の会話はだいたい次のように進めると効果的です。

(1) 共感(感情)

    「その状況、大変ですよね」

(2) 課題整理(論理)

    「つまり、◯◯と△△が原因と考えられます」

(3) 提案(論理)

    「そこで、こういう方法が効果的です」

(4) 安心提供(感情)

    「同じ状況だった企業でも、こういう改善がありました」

(5) 背中を押す(感情+論理)

    「始めるタイミングとしては今が一番リスクが少ないです」

このように、論理で理解させ、感情で前へ進んでもらうという構造が最も自然です。

営業は

論理で信頼をつくり、感情で行動をつくる仕事です。

論理=説明力

感情=共感力・安心感

両方そろって初めてお客様の意思決定が進みます。

年末年始の営業の動き方

年末年始は「商談が動きやすい時期」と「動きにくい時期」が混在する特殊なタイミングです。この時期ならではのリスクとチャンスを押さえておくと、ムダを減らし成果を出しやすくなります。

1. 年末年始の営業の注意点

 (1) 相手のスケジュールは極端に変わる

 年末は 決裁が早まる会社 と 遅くなる会社 が両方ある。

 年始は 1週目は動かない が、2週目から一気に動き出す。

  → 相手の業界・会社ごとに「いつ動きやすいか」を事前に確認しておくことが大切。

(2) 年末は「駆け込み」と「締め作業」で忙しい

 決算・年度末・棚卸しなどで注文や相談が集中しやすい。

 逆に、忙しくて話を聞いてもらえない担当者も多い。

  → 年末のアポイントは 短く・要点を絞って 提案する。

(3) 年末年始は連絡が止まりやすい

 メール返信が遅いのは普通。

 担当者が休暇に入っていることもある。

  → 返信を急かさず、「再開予定日」を相手から聞いておく。

(4) 挨拶回りは訪問目的を明確にする

ただ挨拶するだけだと時間のムダになることも。

 今年の振り返り

 来年の課題のヒアリング

 新しい提案の前振り

  など、必ず1つは価値ある話題を持っていく。

(5) 新規営業は「やや動きにくい」

年末は相手が忙しいため、アポ獲得率は下がりやすい。

→ 電話やメールではなく、

既存顧客の紹介営業 や 年始に向けた仕込み に力を入れると効率が良い。

(6) 年末は“失注”も出やすい

予算の都合や社内事情で急に話が止まることがある。

→進行中の案件は早めの確認

 見積書期限を調整

 決裁者との接点を確保

  を行い、取りこぼしを防ぐ。

(7) 年末年始は顧客の感情が動きやすい

 「来年こそ改善したい」という前向きな気持ち

 「忙しいから簡潔にしてほしい」という切迫感

  → 提案は 短く・わかりやすく・すぐ効果があるもの が刺さりやすい。

(8) 年始は情報収集の黄金期

年始1〜2週目は、

 新しい方針

 今年の重点テーマ

 予算感

  が固まり始める時期。

→ 年始訪問や電話では「今年の重点課題は何ですか?」を必ず聞いておく。

(9) 自分の行動も乱れやすい(営業自身の注意)

 休み明けでペースが戻りにくい

 年末の忙しさでフォロー漏れが出る

  → 案件一覧、次回アクション、紹介依頼先などを 年内に整理しておく。

(10) 挨拶・礼儀が成果を左右する

この時期は礼儀や節度が特に見られる。

 年末の感謝

 年始の丁寧な挨拶

 細やかな礼状・メッセージ

  が印象を大きく左右する。

■ まとめ

 年末年始は 相手の業務が特殊(忙しい・動かない・急に動く)

 挨拶回りは 価値ある話題を1つ 持っていく

 新規営業より 既存顧客・紹介営業 が有効

 年始は 情報収集と案件づくりのチャンス

 フォロー漏れ・礼儀の抜けを防ぐことが重要

紹介営業をつかみ取るための注意事項

紹介営業(既存顧客やパートナーからの“紹介”による新規獲得)はコスト効率が高く成約率・LTVが高い傾向がありますが、成功させるには設計と運用の細部が重要です。

 1. 基本原則(マインドセット)

 目的を明確にする:紹介で得たいものは「件数」ではなく「価値ある顧客」。ターゲット像(業種、課題、規模)を定義してから紹介を求める。

 相手(紹介者)視点で設計する:紹介者が紹介しやすい理由・負担の少なさ・得られる価値を優先する。

 礼儀と速さ:紹介を受けたら即時にフォロー/報告。紹介者に対する礼と情報の透明性が次の紹介につながる。

2. 準備(社内外の整備)

 理想顧客プロファイル(ICP)を用意:紹介依頼の基準を社内で統一する。

 紹介フローを明文化:誰が紹介を受けるか(営業orCS)、紹介受領後の初動(連絡ルール、テンプレ)を標準化する。

 CRMタグ付けとトラッキング:紹介元・紹介日・紹介ステータスを必ず記録する(理由:効果測定と報酬管理のため)。

 評価指標(KPI)を決める:紹介件数、紹介→商談化率、紹介→成約率、紹介顧客のLTVなど。

3. 紹介を依頼する際の注意(いつ・誰に・どう頼むか)

 タイミング:満足度が高い“成功直後”が最も自然(契約直後、導入完了後、成果が出た直後など)。

 相手選び:満足度の高い顧客・パートナー、かつ社交的でネットワークを持つ人。

 具体性を持たせる:ただ「紹介してください」ではなく「業種Aで○○の課題を持つ方」を具体的に伝える。

 負担の最小化:紹介者の手間(例:短い紹介メールの文面、ワンクリックで渡せる名刺リンク)を減らす。

 期待管理:紹介後の連絡頻度や進捗共有頻度を最初に説明し、紹介者に安心感を与える。

4. トーク/テンプレ

 A. 口頭での依頼(例)

「今回、導入後に【指標】が改善したおかげで、同じような○○業界で△△の課題を抱える会社さんにおすすめしたくて。もし心当たりがあれば、簡単にお名前だけ教えていただけますか?こちらで事前に短い紹介メールを作りますので、ワンクリックで伝えていただけます。」

 B. 紹介メール

件名:○○さんのご紹介(御社の件で一言)

本文(短く):

1. 紹介者の一文(「○○様からお話を伺い・・・」)

2. こちらの一文(「弊社は〜を提供し、今回△△の成果が出ました」)

3. 次のアクション(「一度15分ほどお話できますか」)

4. 紹介者への感謝とフォロー予定(「ご紹介いただいた○○様には結果を必ずご報告します」)

5. インセンティブ設計

 現金報酬は慎重に:業界・法規制で贈収賄や個人情報問題に触れる場合がある。社内法務で確認する。

 非金銭インセンティブの方が安全且つ持続的:寄付、割引、サービス延長、社内表彰など。

 公平かつ透明に:ルール、支払いタイミング、対象外ケースを明確に。

 紹介者のモチベーションは多様:金銭以外の「信頼されたい」「関係を良くしたい」「顧客に価値を提供したい」も忘れずに。

6. コンプライアンスと個人情報

 個人情報保護法に則る:紹介者から得た個人情報の利用目的を明示、同意を得る。

 業界特有の規制:医療・金融などは紹介促進のルールが厳しい場合があるため事前確認。

 内部統制:紹介報酬と契約の透明な仕分け・記録を行う。

7. フォローと報告

 紹介の受領連絡(即日):紹介者に「紹介を受け取りました」と短く報告。

 初回接触報告(24〜48時間以内目安):「いつ・どのように接触したか」を共有。

 進捗共有(マイルストーン毎):商談化→提案→成約を逐次報告。

 成約後のお礼とフィードバック:具体的な成果(数値)を伝え、紹介者への感謝を形にする(カード、ちょっとしたギフト、公開感謝など)。

 戻しの約束を守る:約束したフィードバックや報酬は遅滞なく実行。

8. よくある失敗

 紹介者を“使う”姿勢:相手のメリットを無視して依頼する。

 追跡が甘い:紹介者に何も戻さない → 次が来ない。

 基準が曖昧:誰でも紹介を依頼して大量に低品質な見込み客を集める。

 評価が活動ベース:紹介件数だけを評価して質を見ない。

 個人情報や規制違反:同意なしに連絡する等で信用を失う。

9. 測定と改善

主要KPI例:紹介件数(A)、紹介→商談化数(B)、紹介→成約数(C)、紹介成約率、紹介商談化率、紹介顧客の平均LTV。

 紹介成約率

定義:紹介から成約に至った割合=(C ÷ A)×100

例:A=50件の紹介、C=8件成約 の場合

→ 紹介成約率は 16%。

 LTV差分による価値算出

仮に「紹介顧客の平均LTV=300,000円、非紹介顧客の平均LTV=200,000円」で、成約数C=8件なら紹介による追加LTV合計は:

 1件あたりの差分:300,000 − 200,000 = 100,000(円)

 差分合計:100,000 × 8 = 800,000(円)

→ この例では紹介成約8件で追加価値 800,000円。

(※LTV算出は顧客維持率や平均取引額、期間で左右されるため自社指標で正確に算出すること)

10. 実務で使えるチェックリスト

(1) ICPが明確になっているか。

(2) 紹介フローが文書化されCRMに実装されているか。

(3) 紹介テンプレ(口頭・メール・SNS)が用意されているか。

(4) 紹介受領→24時間以内の初動ルールがあるか。

(5) 紹介者への報告/礼が自動化されているか(テンプレ・リマインダ)。

(6) 報酬・インセンティブは法務チェック済みか。

(7) KPIと責任者が定義され、月次でレビューしているか。

「手段を目的としてしまう人」の特徴

手段を目的としてしまう人とは、本来「ある目的(ゴール)」を達成するために使うはずの手段やプロセス(例:KPI、ツール、手順、人脈、フォーマット)が、それ自体が最優先・最終目的になってしまい、本来の成果(顧客価値、問題解決、組織目標)を見失う人・行動様式を指します。

 1. 認知的特徴(頭の中のクセ)

 手段=正しいという短絡的思考:過去の成功体験が特定の手段に結びつき、それを「正解」として無批判に適用する。

 因果逆転(手段が原因に見える):手段の存在そのものを成功因と誤認し、本来評価すべきアウトカムを測らない。

 フレーミングの狭さ:問題定義が限定的(例:「売上を上げる=訪問件数を増やす」)で、代替手段や本質的な目的を探らない。

 現状維持バイアスと習慣化:合理性というより習慣で同じ手順を続ける。

 2. 感情的/動機的特徴

 安全欲求(失敗回避):手段に固執すれば責任が明確で評価もしやすいのでリスクが低く感じられる。

 承認欲求・評価指向:上司や評価制度が「やったこと」=プロセス(例:報告書の提出、会議出席)を重視していると、それを目的化する。

 心理的報酬の即時性:手段をこなすことは短期的に満足を生む(チェックがつく、褒められる)ため続けやすい。

 3. 行動上のサイン(現場で観察できる)

 KPI/タスクを優先しすぎる:数値や工程は達成しているが、顧客満足や利益は改善されない。

 文書やフォーマット重視:提案書やテンプレートの「形」が完成していることを至上とする。

 改善が表層的:プロセスの効率化(例:事務処理の短縮)には熱心だが、そもそもの目標の再設定をしない。

 責任の切り分けに敏感:手段を守ることで責任回避・曖昧化が図られている。

 顧客や現場の声を軽視:実際の顧客成果よりルール順守を優先。

 4. 組織的要因(発生・助長する環境)

 評価制度が入力(活動)を重視:活動量(コール回数、会議数、報告書提出数)に報酬や評価が連動。

 短期KPI偏重:短期の数値を追うばかりで長期価値(LTV、ブランド力)を測らない。

 マニュアル文化の重視:標準化を過剰に導入すると例外対応や創造性を殺す。

 リーダー自身が手段志向:上位者がプロセス遵守を見せると模倣される。

 5. もたらす影響(負の帰結)

 機会損失:柔軟な戦略転換や新サービス開発が遅れる。

 顧客ロイヤルティ低下:顧客の本当の問題を解かないため満足度が下がる。

 士気の低下:現場は「やらされ感」に陥り、創意工夫が消える。

 リスクの見落とし:プロセス遵守が目的化すると真正のリスク(市場変化、競合)を見逃す。

 6. 判定・診断するための簡易チェック

(多ければ手段化の危険あり)

(1) 「何のためにやっているか」を定期的に説明できるか。

(2) 完成した書類や数値だけでなく顧客の反応で判断しているか。

(3) 代替の手段や仮説を月に1回は検討しているか。

(4) 成果(アウトカム)指標を持ち、それを優先しているか。

(5) 会議は意思決定(目的)に直結しているか、単なる報告の場になっていないか。

 7. 具体的な改善(研修プログラム内で扱うべき介入)

 A. 意識変革(マインドセット)

 「目的→手段」順の常時確認:1分で言える「この仕事の本当の目的」を各自作成・常時掲示。

 アウトカム思考の教育:KPIを「手段KPI」と「成果KPI(例:継続率、解約率、顧客NPS)」に分ける演習。

 失敗仮説ワーク:手段を変えた場合の仮説検証(A/Bテスト)を計画する練習。

 B. スキルとツール(実務技術)

 逆算ワーク(目的から逆算して手段を設計):ゴール設定→必須成果→投入すべき手段を記述するテンプレート。

 意思決定フレームの導入:First Principles、MECE、Decision Matrix(目的重みづけ)。

 Pre-mortem(事前陥没)演習:計画が失敗した理由を先に洗い出し、手段の妥当性を検証。

 C. 制度的変更

 評価制度のリバランス:活動量(インプット)だけでなくアウトカム(顧客価値・収益)を評価に組み込む。

 OKRや成果指向の目標導入:O(目的)を明確にしてキーリザルトで評価。

 「例外処理許可」制度:合理的な例外や実験を推奨するための承認ルールを簡素化。

営業に必要な共感力

営業に「共感力」が必要な理由は、とてもシンプルに言うと “相手の気持ち・状況を正しく理解しないと、相手は動かないから” です。

1. 営業に共感力が必要な理由

(1) お客様は「話を聞いてもらえた」と感じたときに心を開く

人は、自分の気持ちや困っていることを理解してくれる相手には安心感を持ちます。

営業でも同じで、

 「この人は分かってくれている」

 「話しても大丈夫だ」

  と思ってもらえると、情報をたくさん話してくれます。

この情報こそが、のちの提案の質を左右します。

(2) お客様の本当の課題は“言葉の裏側”にある

多くの場合、お客様は最初から本音や課題を全部は話しません。

理由は、 言いにくい、誤解されたくない、細かな事情を話すのが面倒など。

共感力があると、 相手の感情、不安、背景 を察して、深い部分までヒアリングすることができます。

 (3) 提案の“的中率”が上がる

共感力が高い営業は、 相手が何に価値を感じるか、 何を不安に思っているか、 どこで迷っているかを理解できるため、提案がズレません。

ズレない提案は受け入れられやすく、成約率が上がります。

(4) 「押される」のは嫌だが「分かってくれる人」には動きやすい

お客様は“売り込まれる”のが嫌いですが、“自分のことを分かってくれる人”には心が動きます。

共感されたと感じると、拒否反応が少ない、疑問を素直に言いやすい、営業を信じて動ける

  という心理が働くため、商談がスムーズになります。

(5)トラブルやクレームの予兆に気づきやすい

共感力があると、相手の 表情の違和感、言葉のトーン、メールの温度感から「何か気になっていることがありそうだ」と察知できます。

これはクレームの未然防止や、顧客満足向上につながります。

(6)長く続く関係をつくるために不可欠

営業の仕事は「売って終わり」ではありません。

サポート・追加提案・紹介営業など、長期的な関係が利益につながります。

共感力がある営業は、お客様が相談しやすい、ちょっとした不満を言いやすい、良い変化も共有しやすいため、継続率やリピート率が高くなる傾向があります。

営業が扱うのは商品ではなく、 「人と人の間にある信頼」 なので、共感力は成功の必須スキルと言えます。

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