営業にとって債権管理は「経理の仕事」に見えますが、最初にリスクを察知できるのは現場の営業だけです。
ここでは、営業がやるべき債権管理を実務に合わせて整理します。
① 取引前に「危険な兆候」をつかむ(与信管理の基本)
顧客と取引を始める前に今の状態は大丈夫かを見ることが最重要です。
■ 代表的な危険サイン
決算書の提出を渋る、遅い
支払い条件の相談がやけに長い
キーパーソンの離職が多い
売り場・オフィスの雰囲気が極端に暗い
業界内で「経営が厳しい」という噂がある
■ 営業がやること
仮説を立てる → 経理に共有 → 社内で条件を決める
営業が抱え込まず、早めに共有するほど事故は減ります。
② 契約条件(支払条件・締め日)を甘くしない
最もトラブルが多いのは 安易な値引き・支払延長 です。
■ 営業が押さえるポイント
「締め日」「支払サイト(何日後払い)」「請求書の形式」を必ず確認する
検収日が曖昧だと永遠に請求できないので、検収基準を明確にする
支払条件の変更依頼が来たら、必ず管理部門に相談する
■ NG例
「今回だけ特別に60日払いでいいですよ」
「急いでいるので先に納品します、請求は後で」
→ こうしたその場しのぎが不良債権の元になります。
③ 請求書を正しく・早く出す(事務ミスは事故の原因)
未回収は「相手が悪い」だけでなく、自社の請求ミスでもよく起こります。
■ よくあるミス
宛名の間違い
合計金額の誤記
請求書番号の不一致
電子請求の提出先を間違える
■ 営業がやること
顧客の請求ルールを正確にメモし、チーム内で共有
新規取引時は、経理・担当者と請求の流れを図で合わせる
④ 支払い遅延の初期サインをつかむ(営業が最も強い部分)
顧客の状況変化は、営業が一番早く気づきます。
■ 早期発見できるサイン
担当者の返答が急に遅くなる
発注量が急減する
相談・クレームが増える
社内で担当者変更が続く
「支払担当が変わって…」と説明が曖昧
■ 営業がやること
小さな違和感でも すぐに社内共有(Slack・報告書など)
支払いが1回だけ遅れた時点で事故予防ができる
⑤ 督促は「関係悪化を招かないコツ」を使う
営業は督促を嫌がりがちですが、
正しい言い方をすれば関係悪化は避けられます。
■ 角が立たない言い方の例
「社内処理の都合で確認させてください」
「念のため、入金予定を確認できれば安心です」
「いつも丁寧にご対応いただいているので、今回だけ確認させてください」
責めないことが大切です。
⑥ 支払トラブル時は自分で抱え込まない
未回収が起きると営業は責任を感じがちですが、対応は営業+経理+上長のチーム戦です。
■ 営業がやるべき流れ
1. 状況を正確に社内共有
2. 事実と相手の状況を整理
3. 経理と連携して次の一手を決める
4. 自社判断で納品を止める場合は必ず承認を取る
⑦ 取引停止は営業が決めてはいけない
取引停止は会社全体の判断です。
営業が誤って独断で停止すると、法務・経理・顧客との関係が複雑化します。
■ 営業の役目
兆候を早くキャッチする
正確に社内へ伝える
影響度を整理して共有する
→ ここまでで十分。最終判断は会社側が行うべきです。
■ まとめ:営業が押さえるべき債権管理の核心
1. 兆候を一番早くつかめるのは営業
2. 請求条件・支払条件のトラブルを未然に防ぐのも営業
3. 小さな違和感の共有が大きな事故を防ぐ
4. 督促は責めずに確認のスタンスで十分機能する 営業がこの基本を押さえるだけで、未回収は大幅に減り、会社の利益と信頼を守れます。


