問題1
債権償却と財務諸表への影響
期末において回収不能と判断された売掛債権を償却する際、財務諸表上の最も直接的な影響はどれか?
A. 営業外費用が増加し、営業利益が減少する
B. 特別損失として計上され、当期純利益を圧迫する
C. 売上高が減少し、売上総利益率が悪化する
D. 費用計上により純資産が減少するが、営業利益は変化しない
正解:B
解説:回収不能と判断された売掛債権は、通常「貸倒損失」などの科目で特別損失として処理され、当期純利益に直接影響します。営業外費用や売上には影響せず、貸倒引当金を使わない場合は損益計算書上の特別損失で表現されます。
問題2
債権管理における内部統制
債権管理業務の内部統制強化の一環として最も適切な施策はどれか?
A. 営業担当が入金消込まで一貫して対応できるよう業務統合を進める
B. 月次の入金確認を営業部門に任せ、経理は異常時のみ関与する
C. 債権残高の帳簿と実際の入金データを月次で突合するプロセスを設ける
D. 顧客ごとの債権情報を非公開とし、営業担当には開示しない
正解:C
解説:帳簿と実入金の定期突合(照合作業)は、債権管理の信頼性を保つうえで極めて重要な内部統制プロセスです。Cは不正・誤処理の早期発見に有効です。A・Bは職務分掌違反やリスク管理上の問題があり、Dは情報遮断により現場での回収対応力を損ないます。
問題3
営業部門との連携強化
債権管理の精度向上と営業部門の協力を同時に実現するために最も適切な施策はどれか?
A. 未入金顧客への対応をすべて経理部門に一任し、営業は介入しない方針とする
B. 営業担当ごとにKPIとして「回収遅延件数」を設定し、評価に反映する
C. 回収状況は営業部門と共有せず、経理主導で管理を徹底する
D. 営業部門には売上目標のみを課し、与信管理は経営層の専権事項とする
正解:B
解説:営業部門の協力なくして債権管理の精度向上は困難です。Bのように営業のKPIに回収指標を加えることで、責任意識が生まれ、未回収の早期対応につながります。A・C・Dはいずれも部門分断を助長し、組織的対応力を損なう結果となります。



