問題1
DSOと財務戦略の関係
次のうち、売上債権回転日数(DSO)の改善が中長期的に自社の財務戦略に与える影響として最も適切なものはどれか?
A. 総資産利益率(ROA)の低下による借入依存度の増加
B. 売上原価率の上昇による売上総利益の圧迫
C. 運転資本の効率化に伴う資金需要の抑制
D. D/Eレシオ(負債資本比率)の上昇による財務リスクの顕在化
正解:C
解説:DSOが短縮されれば、売掛金の滞留が減少し、運転資本の効率化=資金繰り改善が実現されます。結果として、自己資金での事業運営が可能となり、資金需要を抑制することができます。A、B、Dはいずれも誤りで、DSOの改善によってもたらされる典型的な効果とは逆方向の記述です。
問題2
キャッシュフロー改善に向けた施策優先度
以下のうち、キャッシュフロー改善を目的として、実行優先度が最も高い施策はどれか?ただし、各施策の影響は1年以内の短中期スパンで評価するものとする。
A. 全取引先に対し約束手形から電子記録債権(でんさい)への変更を促す
B. 支払条件の変更と並行して、請求書発行後1週間以内のフォロー体制を構築する
C. 経理部門での与信審査を外部信用情報サービスに委託する
D. 年間売上の上位10社に対して専属営業担当をつけ、関係強化を図る
正解:B
解説:短中期でのキャッシュフロー改善には、「早期回収の仕組み構築」が最重要です。Bは\\制度変更(支払条件)+実務強化(フォロー体制)\\の両輪による即効性の高い施策であり、優先度が高い選択肢です。Aは中長期的改善、CとDは間接的で効果が出るまでに時間を要します。
問題3
回収リスクと信用供与のバランス
売上拡大と回収リスクの最適バランスを取る方策として、経営的に最も合理的な選択はどれか?
A. 与信限度を緩和して新規顧客数を最大化し、営業成績を優先する
B. 既存顧客との年間取引額に応じた与信枠を動的に見直す制度を導入する
C. 全顧客に対して与信審査の頻度を年1回に固定化することでコストを抑える
D. 滞留債権が増えた場合は直ちに取引停止とし、回収に専念する
正解:B
解説:Bの動的な与信枠の運用は、取引実績に応じたリスク管理を可能にし、売上拡大とリスク抑制のバランスを保つ合理的な戦略です。Aは過度な拡販による債権リスクの増加を招き、Cはリスクの見逃しにつながります。Dはリスク回避として極端で、長期的な取引関係を損なう可能性があります。


