第1問
あなたの営業部では、SaaS型サービスを3つの異なる顧客セグメントに展開しています。各セグメントは、初年度受注単価・継続率(解約率)・営業コストが異なります。どのセグメントにリソースを集中させるとLTV(顧客生涯価値)が最大化できるでしょうか?
※顧客は毎年契約更新。解約率は毎年同じ。LTVは以下で計算:
LTV = 初年度売上 × 利益率 × {1 / 解約率} – 獲得コスト
セグメント | 初年度売上 | 利益率 | 年間チャーン率(解約率) | 顧客獲得コスト |
スタートアップ企業 | 60万円 | 40% | 25% | 5万円 |
中堅企業 | 100万円 | 35% | 15% | 10万円 |
大企業 | 150万円 | 30% | 10% | 30万円 |
A. スタートアップ企業(低単価・高チャーン)
B. 中堅企業(バランス型)
C. 大企業(高単価・低チャーン)
D. 中堅と大企業を併用すべき
正解:C. 大企業(高単価・低チャーン)
解説:LTV計算を行います(LTV = 単価 × 利益率 × {1 / 解約率} − 獲得コスト)
【スタートアップ企業】
LTV = 60万 × 0.4 × (1 / 0.25) − 5万
= 60万 × 0.4 × 4 − 5万
= 96万 − 5万 = 91万円
【中堅企業】
LTV = 100万 × 0.35 × (1 / 0.15) − 10万
= 100万 × 0.35 × 6.666… − 10万
= 233.3万 − 10万 = 約223.3万円
【大企業】
LTV = 150万 × 0.3 × (1 / 0.10) − 30万
= 150万 × 0.3 × 10 − 30万
= 450万 − 30万 = 420万円
→ 大企業セグメントは獲得コストが最も高いが、チャーン率の低さ(継続年数の長さ)と単価の高さによりLTVが圧倒的に高い。
→ つまり、「顧客を獲得した後の継続率(解約率)」が、LTV最大化のカギであることが分かります。
補足:営業戦略における実践ポイント
– 「チャーン率の高い顧客」は、単価が高くても早期離脱でLTVが小さくなる
– 長期継続が期待できるセグメントには、多少コストをかけてもリターンが大きい
– 初期売上だけでなく、LTVを指標にした戦略配分が必要
