第1問
次のうち、在庫の滞留が継続的に発生した場合に、キャッシュフロー上最も直接的に現れる影響はどれか?
A. 営業活動によるキャッシュフローが減少する
B. 財務活動によるキャッシュフローが増加する
C. 投資活動によるキャッシュフローが改善する
D. 現預金残高が増加し、運転資本の余剰が発生する
正解:A. 営業活動によるキャッシュフローが減少する
解説:滞留在庫は売上に転化されないため、営業活動によるキャッシュフロー(営業CF)を圧迫します。販売されなければキャッシュインにつながらず、資金が棚卸資産として留まるため、資金繰りの悪化要因となります。B~Dは誤りで、逆に資金不足を補うための借入などが増えることすらあります。
第2問
在庫評価方法が会社の原価管理に与える影響として、最も適切な記述はどれか?
A. 後入先出法(LIFO)はインフレ下で売上原価を低く見積もり、利益を過小計上する
B. 移動平均法では物価変動の影響を受けにくく、損益計算書への反映が遅れる傾向がある
C. 先入先出法(FIFO)は在庫が古くなるほど評価損が出にくく、会計上有利である
D. 平均法を採用すると在庫評価損の認識が即時に可能となり、収益の操作がしやすくなる
正解:B. 移動平均法では物価変動の影響を受けにくく、損益計算書への反映が遅れる傾向がある
解説:移動平均法では仕入のたびに平均単価が変動するため、物価変動を平準化する傾向があり、原価変動が損益に現れるのがやや遅くなります。Aは逆で、LIFOはインフレ下で売上原価が高くなり利益が圧縮されます。CとDは内容の正確性に欠け、評価損と収益操作には直接関係しません。
第3問
高い返品率が継続している商品群について、経営判断として最も優先して行うべき意思決定はどれか?
A. 全商品の値下げを実施し、早期在庫処分を図る
B. 販売チャネルをECに限定し、返品対応コストを抑制する
C. 品質・提供価値を再評価し、商品ラインアップの見直しを行う
D. 返品コストを営業部門の販管費に移管し、部門収益を正確に把握する
正解:C. 品質・提供価値を再評価し、商品ラインアップの見直しを行う
解説:高い返品率は、商品自体の品質・スペック・市場ニーズとの不一致が疑われます。Cのように商品構成や品質・提供価値を抜本的に見直すことが、中長期的なブランド維持と利益改善に資する判断です。A・B・Dは部分的で、対症療法にとどまるため経営判断としては不十分です。
