OJT

OJTの内容と課題

新入社員や新部署への異動から2カ月がたちました。OJTも進んでいると思いますが今一度、OJTを見直しましょう。

 OJT(On-the-Job Training)の歴史

1. 起源と初期の発展

 工業化以前の見習い制度: OJTの起源は、職人が徒弟(見習い)を教育する中世ヨーロッパの見習い制度に遡ります。この制度では、徒弟が職人の下で実務を通じて技能を学びました。

 工業化時代の進展: 産業革命以降、工場労働者の数が増加し、効率的な技能習得が求められるようになりました。工場では、経験豊富な労働者が新しい労働者に対して業務を通じて教えるOJTの形式が一般化しました。

2. 20世紀の発展

 第二次世界大戦: アメリカで、第二次世界大戦中に新兵の迅速な訓練が求められ、OJTの体系的な方法が開発されました。戦争のために大量の新兵を訓練する必要があったため、効率的なOJTプログラムが導入されました。

 戦後の企業教育: 戦後、多くの企業が従業員教育の手段としてOJTを採用しました。特に製造業や技術職でOJTが広く普及し、経験豊富な従業員が新人を指導することが一般的になりました。

3. 21世紀の発展

 ITとテクノロジーの導入: 21世紀に入り、OJTはIT技術と結びつき、eラーニングやシミュレーションなどを活用したハイブリッドなOJTが登場しました。これにより、場所や時間に制約されずに実務を通じた学習が可能になりました。

 グローバル化と多様性: グローバル化が進む中で、多文化環境でのOJTの重要性が増しています。異文化理解やコミュニケーションスキルの向上もOJTの一環として取り入れられるようになっています。

 OJTの内容

1. 計画と設計

 目標設定: OJTプログラムの開始にあたって、具体的な目標を設定します。例えば、新人が1ヶ月以内に基本的な業務を自立して遂行できるようになるなど。

 プログラムの設計: 指導内容、期間、評価基準などを明確にします。指導者(メンター)と学習者(メンティ)の役割を明確にし、効果的な指導方法を選定します。

2. 実行

 現場での実践: 学習者が実際の業務に取り組みながら、指導者の指導を受けます。これにより、学習者は理論と実践を結びつけることができます。

 フィードバック: 指導者は、学習者の業務遂行を観察し、定期的にフィードバックを提供します。具体的な改善点や良い点を指摘することで、学習者の成長を促します。

3. 評価とフォローアップ

 評価: OJTの終了後、学習者のスキル習得度を評価します。評価基準に基づいて、目標が達成されているかを確認します。

 フォローアップ: OJT終了後も、定期的にフォローアップを行い、学習者が継続的に成長できるようサポートします。必要に応じて、追加のトレーニングを提供します。

 OJTの課題

1. 指導者のスキル不足

 問題点: OJTの効果は指導者の能力に大きく依存します。経験豊富な従業員が必ずしも優れた指導者であるとは限りません。

 解決策: 指導者向けのトレーニングプログラムを導入し、効果的な指導方法やフィードバックの技術を教えることで、指導者のスキル向上を図ります。

2. 時間とリソースの制約

 問題点: OJTは時間とリソースを必要とします。特に忙しい時期には、指導者が十分な時間を割けないことがあります。

 解決策: 計画的にOJTのスケジュールを組み、リソースを確保することが重要です。また、IT技術を活用して、部分的にオンライン学習を取り入れることも効果的です。

3. 標準化の欠如

 問題点: OJTの内容が標準化されていないと、指導者によって教える内容や質にばらつきが生じる可能性があります。

 解決策: 標準化されたOJTマニュアルやガイドラインを作成し、指導者全員が一貫した方法で指導できるようにします。

4. モチベーションの維持

 問題点: 学習者のモチベーションを維持することが難しい場合があります。特にOJTが長期間にわたる場合、途中で意欲が低下することがあります。

 解決策: 学習者の成果を認識し、適切な報酬やインセンティブを提供することで、モチベーションを維持します。また、定期的な評価とフィードバックを行い、学習者の成長を実感させることも重要です。

5. 組織文化との適合

 問題点: OJTが組織の文化や価値観と合わない場合、効果的な学習が難しくなります。

 解決策: OJTプログラムを設計する際に、組織の文化や価値観を反映させることが重要です。これにより、学習者が組織の一員としての意識を持ちながら、スキルを習得することができます。

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