営業マインドセット(第17回:営業は商談を作る仕事ではなく、市場を創る仕事である)

営業という仕事を、「商談を獲得し、契約を取る仕事」と考える人は多くいます。もちろん間違いではありません。商談がなければ受注は生まれません。契約がなければ売上も生まれません。しかし、一流の営業ほどもっと大きな視点で仕事を見ています。彼らは商談を追いかけているのではありません。市場を創っているのです。

・商談は市場の中から生まれる

商談は突然発生するわけではありません。その前段階として、顧客の認識変化があります。例えば、「今のままで良い」と思っていた企業が、「このままではまずい」と考え始めます。あるいは、「そんな方法は知らなかった」と思っていた企業が、「その方法を検討してみたい」と考えるようになります。その変化が起きて初めて商談になります。つまり営業が本当に向き合うべき相手は、商談そのものではなく、顧客の認識なのです。市場は発見するものではなく創るものです。成果の出ない営業は市場を探しています。成果を出す営業は市場を創っています。例えば新しい商品が発売された時を考えてみると、最初から市場が存在していたわけではありません。顧客はその価値を理解していません。必要性すら感じていません。しかし誰かが情報を発信し、課題を提起し、未来像を示したことで市場が生まれます。歴史を振り返れば、多くの革新的な商品やサービスは、既存市場の中で売れたのではなく、新しい市場そのものを作ってきました。営業も同じです。需要を待つのではなく、需要を育てる視点が必要なのです。

・顧客は課題に気づいていないことが多い

営業担当者はよく「ニーズがない」と言えます。しかし本当にそうでしょうか。実際には、ニーズがないのではなく、課題に気づいていないだけの場合が多いです。例えば、

業務効率が悪い。利益率が低い。離職率が高い。顧客満足度が低い。こうした問題が存在していても、当事者はそれを当たり前だと思っていることがあります。営業の役割は、その課題を発見し、言語化し、顧客自身に認識してもらうことです。そこから市場が生まれます。

・一流営業は未来を売っている

普通の営業は商品を売る。優秀な営業は解決策を売る。一流営業は未来を売る。顧客が本当に購入しているのは商品ではありません。導入後に実現される未来です。

業務が効率化された未来

利益が向上した未来

働きやすくなった未来

競争力が高まった未来

その未来を具体的に描ける営業ほど強いです。なぜなら市場とは、未来への期待によって形成されるからです。

・市場創造は信頼の積み重ね

市場を創る営業は短期的な受注だけを追わない。セミナーを行う。情報発信を行う。業界動向を共有する。顧客の相談に乗る。すぐに受注につながらない活動も行う。なぜなら市場創造には時間がかかるからです。しかし、その積み重ねはやがて大きな成果となって返ってきます。顧客が課題を認識した時、最初に思い出す存在になるからです。

・商談数だけを見ると本質を見失う

営業管理では商談数が重視されます。もちろん重要な指標です。しかし商談数だけを追うと視野が狭くなります。本当に見るべきなのは、どれだけ市場を広げたかです。

どれだけ新しい顧客層に認知されたか

どれだけ課題認識を広げたか

どれだけ信頼関係を構築したか

どれだけ未来像を伝えたか

これらが蓄積されることで商談が生まれます。商談は原因ではありません。結果なのです。

営業は商談を作る仕事だと思われがちです。

しかし、その視点だけでは限界があります。

本当に強い営業は、顧客の認識を変え、新しい需要を育て、市場そのものを創っています。

商談は市場の中から生まれます。

市場は顧客の認識から生まれます。

そして認識を変えるのが営業の力です。

目の前の案件だけを見る営業から、業界や顧客の未来を創る営業へ。

その視点を持った時、営業という仕事の価値は大きく変わります。

営業とは単なる販売活動ではありません。

市場を創造し、未来を切り拓く仕事なのです。

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