営業マインドセット(第4回:信頼残高)

 営業は売上を追う仕事ではなく、信頼残高を積み上げる仕事である

営業の世界では、多くの人が売上数字を追いかけています。もちろん売上は重要です。会社は利益を生み出さなければ存続できません。しかし、成果を出し続ける営業と、一時的にしか成果を出せない営業の違いはどこにあるのでしょうか。その答えは、売上を追っているか、信頼を積み上げているかにあります。

・売上は結果であり原因ではない

営業会議ではよく、

 売上はいくらか

 達成率は何%か

 あと何件受注が必要かという話が行われます。

しかし、これらはすべて結果です。結果だけを追い続けても、本質的な改善は起きません。例えば農業で考えてみましょう。収穫量だけを見ていても作物は増えません。

重要なのは、

 土壌の状態

 水やり

 日照

 肥料です。

営業も同じです。売上という収穫の前には、必ず信頼という土壌があります。

・信頼残高とは何か

信頼残高とは、相手から預けられている信用の総量です。

例えば、

 約束を守る

 レスポンスが早い

 誠実な説明をする

 困った時に助ける

 売り込みをしないこうした行動を積み重ねるたびに信頼残高は増えていきます。

反対に、

 嘘をつく

 言い訳をする

 責任転嫁する

 連絡を放置する

 契約後に態度が変わると信頼残高は減少します。

そして顧客は無意識のうちに、この残高を評価しています。なぜトップ営業は紹介が多いのか

トップ営業の特徴の一つに、紹介案件の多さがあります。なぜでしょうか。それは商品が優れているからだけではありません。信頼残高が高いからです。顧客は紹介をする際、自分の信用も使っています。信頼できない営業を知人に紹介することはありません。つまり紹介とは、顧客からの最高レベルの信頼表明なのです。

・短期数字だけを追う営業の末路

売上だけを追い続ける営業は、どうしても短期思考になります。

すると、

 無理な契約を取る

 過剰な約束をする

 値引きを乱発する

 不適切な期待を持たせるようになります。

その結果、今月の数字は達成できるかもしれません。

しかし、

 クレームが増える

 解約が増える

 紹介がなくなる

 リピートが減るという状態になります。

これは未来の売上を前借りしている状態です。

・優秀な営業ほど目先の利益に飛びつかない

一流の営業は、短期的な売上よりも長期的な信頼を優先します。時には、「今回は導入を見送った方が良いと思います」と顧客に伝えることさえあります。普通に考えれば売上を失っています。しかし顧客は忘れません。「この人は本当に自社のことを考えてくれている」と感じます。結果として、数年単位で見ると大きな成果につながります。

・営業マネージャーが見るべき指標

多くの管理職は売上だけを見ています。しかし強い営業組織は、信頼の指標も見ています。

例えば、

 リピート率

 顧客継続率

 紹介件数

 クレーム件数

 顧客満足度

 商談再訪率です。

これらは信頼残高の結果として現れる数字です。売上だけを見る組織は弱くなります。信頼を可視化する組織は強くなります。

・信頼は複利で増える

営業において最も強力な資産は何でしょうか。

商品でしょうか。

価格でしょうか。

ブランドでしょうか。

違います。信頼です。

信頼は金融でいう複利のようなものです。

信頼された顧客は、

 再購入する

 紹介する

 情報を提供する

 相談を持ち掛けるようになります。

その結果、新たな信頼が生まれます。

これが営業における好循環です。

・本当に追うべきもの

売上は重要です。しかし売上は追いかけるものではありません。積み上げた信頼の結果として生まれるものです。だからこそ営業担当者は毎日、「今日は何件売れたか」だけではなく、「今日は誰からの信頼を増やせたか」を考えるべきです。その積み重ねが、安定した成果を生み出します。

 三流の営業は契約を追う。

二流の営業は売上を追う。

一流の営業は信頼を積み上げる。

 売上はお願いして得るものではない。

 信頼の上に自然と積み上がるものである。

 あなたは今日、売上を追っただろうか。

 それとも信頼を積み上げただろうか。

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