営業の基礎問題(利益編 8)

第1問

あなたはソフトウェア販売の営業担当です。顧客(中堅企業)が見積もりを提示されてから1週間が経ち、「価格が予算オーバーだ」と言って値下げを求めてきました。顧客は、他社の製品も検討しているとのことですが、あなたの製品に高い期待を寄せており、導入後のサポートやカスタマイズの提案に非常に興味を示しています。顧客が値下げを求めてきた場合、あなたが最初に取るべき行動はどれか?

A. 値下げのために上司に相談して価格を下げる方向で進める 

B. 他社の製品を引き合いに出し、値下げはできないことを強調する 

C. 値下げの背景や理由をヒアリングし、可能な付加価値を提案する 

D. 顧客に値下げの条件を伝え、そのまま契約を急かす

正解: C. 値下げの背景や理由をヒアリングし、可能な付加価値を提案する

解説:値下げ要請が来た場合、まずは「なぜ値下げを求めているのか」を確認することが大切です。顧客がどのような理由で価格を下げたがっているのかを理解することで、値下げをせずに他の付加価値を提案する道が開けます。顧客のニーズに合ったサポートやカスタマイズの提供を強調し、価値を提供することが最も効果的なアプローチです。

  第2問

あなたは物流業務のアウトソーシングサービスを提供する営業担当です。 顧客(大手製造業)はコスト削減を強く求めており、初回提案の価格が予算に合わないという理由で値下げを求めています。顧客は自社内でコスト削減を急務としており、他社の提案も検討しているが、他社のサービスでは対応できない特殊なニーズがあると話しています。顧客が値下げを求めてきた場合、最も効果的な対応策はどれか?

A. 予算内での提案をすぐに行い、即決を求める 

B. 顧客のニーズに基づいたカスタマイズ提案を強調し、値下げを拒否する 

C. 競合の提案内容を持ち出し、自社の優位性を強調して値下げを拒否する 

D. 顧客の特殊なニーズに対応できるサービスをアピールし、価格以外で価値を提供する

正解: D. 顧客の特殊なニーズに対応できるサービスをアピールし、価格以外で価値を提供する

解説:このシナリオでは、顧客がコスト削減を求めている一方で、自社のニーズには特化した対応が必要という点が鍵です。単なる価格競争に巻き込まれるのではなく、顧客が抱える特殊なニーズに対して適切な対応を提案することが重要です。カスタマイズや特別なサポートを提案し、顧客にとって「価格以上の価値」が得られることを伝えましょう。

  第3問

あなたは製造業向けのITシステムを販売している営業担当です。顧客から「もう少し価格を下げてほしい」と言われました。すでに販売価格はかなり厳しく設定しており、これ以上値下げをすると利益が圧迫されます。ただし、顧客は他社の同様なシステムを検討しており、貴社のシステムのメリットや導入後のサポートに強い関心を示しています。値下げ交渉に応じることなく商談を成立させるため、あなたが取るべきアクションはどれか?

A. 値下げできないことをはっきり伝え、導入後のサポートや長期的な関係性を強調する 

B. 顧客の価格引き下げ要望を無視し、強引に契約を求める 

C. 他社製品との比較を行い、価格以上のメリットを強調して契約を急かす 

D. 顧客に対して値下げ条件を提示し、契約を急がせる

正解: A. 値下げできないことをはっきり伝え、導入後のサポートや長期的な関係性を強調する

解説:このシナリオでは、値下げに応じることなく商談を成立させるためには、価格以外の価値をしっかりと伝えることが重要です。「他社との比較」や「自社製品の優位性」を強調し、値段以上の付加価値(サポートや長期的なパートナーシップ)を訴求しましょう。顧客には、価格ではなくサービスの質や将来の利益に焦点を当ててもらうことが効果的です。

営業の基礎問題(利益編 7)

 第1問 

顧客から「もっと安くして」と値下げ要請があったとき、まず取るべき最も適切な対応はどれか?

A. すぐに上司に相談する 

B. すぐに値引きOKして契約を取る 

C. 値下げ理由や背景をヒアリングする 

D. 即座に値下げを断る

正解: C. 値下げ理由や背景をヒアリングする

解説:値下げ要請が来たら、即応せず、まず「なぜ値下げを求めているのか」をヒアリングすることが鉄則です。

たとえば、 

・ 予算不足 

・ 他社比較 

・ 社内稟議の都合 

・ 価格以外の付加価値要望 

など、理由によって対応策は大きく異なります。 

背景を聞かずに安易に値引くと、利益を失うだけでなく、信用も損ねる可能性があります。

  第2問

顧客からの値下げ要請に対して、「価格は据え置きにしたい」と考える場合、最も効果的なアプローチはどれか?

A. 値引き以外の付加価値(サポートや納期短縮など)を提案する 

B. 価格据え置きの理由をひたすら理屈で押し通す 

C. 他社の価格を引き合いに出してけん制する 

D. 契約の即決を条件に少しだけ値下げを提示する

正解: A. 値引き以外の付加価値(サポートや納期短縮など)を提案する

解説:単純な値下げ競争に巻き込まれないためには、「価格以外の魅力を高める」ことがカギです。 

たとえば、 

・ 無償サポート期間の延長 

・ 特急納品 

・ 保守・アフター対応の強化 

などを提案することで、価格の正当性を守りつつ顧客満足も高めることができます。

  第3問

「どうしても価格を下げてほしい」という顧客に対して値引きを行う場合、営業として最も注意すべきポイントはどれか?

A. 値引きに応じたらすぐに注文をもらうことを約束させる 

B. 値引き幅をできるだけ広くして顧客満足を最大化する 

C. 他の顧客にも同条件で値引きを適用すると伝える 

D. 値引き理由を曖昧にして「特別対応感」を演出する

正解: A. 値引きに応じたらすぐに注文をもらうことを約束させる

解説:値引きは「条件付き」で行うのが原則です。 

特に、 

・ 値引き=即決 

・ 値引き=追加発注 

など、「何かを得る代わりに譲歩する」姿勢を持たないと、ただ安売りするだけで終わってしまいます。 

値引きには必ず「対価・条件」をセットで求める――これが営業の基本です。

営業の基礎問題(利益編 6)

  第1問 ある商品を、販売価格100万円・原価70万円で販売していた。顧客から「5%値下げしてほしい」と要望された場合、粗利額はいくらになるか?

A. 28万円 

B. 25万円 

C. 27万円 

D. 30万円

正解: B. 25万円

解説:もとの粗利額は100万円(販売価格)−70万円(原価)=30万円 

5%値下げすると、販売価格は100万円 × 95%=95万円 

新しい粗利額は95万円−70万円=25万円

ポイント: 

値下げは「売上高ダウン」だけでなく「粗利額ダウン」に直結します。このケースでは、5万円値下げしたことで粗利額が5万円減少しています。 

  第2問

販売価格200万円、原価120万円の商品。10%値下げを受けた場合、新しい粗利率はどれになるか?

A. 約33% 

B. 約40% 

C. 約35% 

D. 約30%

正解: 

 A. 約33%

解説:もとの粗利率は、200万円−120万円)÷200万円=40% 

10%値下げすると、販売価格は、200万円 × 90%=180万円 

新しい粗利額は、180万円−120万円=60万円 

新しい粗利率は、60万円 ÷ 180万円=約33.3%

よって、正解はA. 約33%です。

ポイント:値下げは、粗利額だけでなく粗利率も確実に悪化させます。 

たとえ原価が変わらなくても、販売価格が下がると粗利率も下がるので注意!

  第3問

販売価格150万円・原価90万円の商品で、顧客から「7%値下げしてほしい」と言われた。 

この値下げを受けると、粗利額は何万円減少するか?

A. 7.5万円減少 

B. 10.5万円減少 

C. 9万円減少 

D. 6万円減少

正解:B 10.5万円減少

解説:もとの粗利額は150万円−90万円=60万円 

7%値下げすると、販売価格は150万円 × 93%=139.5万円 

新しい粗利額は 139.5万円−90万円=49.5万円 

粗利額の減少は60万円−49.5万円=10.5万円減少 

よって正解はB. 10.5万円減少です。

ポイント 

わずか数%の値下げでも、粗利額には大きなインパクトがあります。  営業現場では、軽い気持ちで値下げに応じると「利益が大きく削られる」ので要注意です。

営業の基礎問題(利益編 5)

 第1問 

粗利率を改善するために、営業担当者が商談時に意識すべき最も基本的な行動はどれか?

A. 値引き交渉を受け入れてでも、まず受注件数を増やす 

B. 顧客に商品の付加価値を伝え、単価維持または向上を図る 

C. 必要以上にサービスを追加して顧客満足度を上げる 

D. 受注後に原価を下げるため、仕様を勝手に簡略化する

正解: B. 顧客に商品の付加価値を伝え、単価維持または向上を図る

解説:粗利率=(売上高−売上原価)÷売上高。 

単価を下げずに売れれば、それだけ粗利率は高く保たれます。 

そのためには、 

・ 「なぜこの価格に見合う価値があるのか」 

・ 「他社との違いは何か」 

を丁寧に伝え、顧客に納得してもらうことが重要です。単価を守る・上げるための提案力が、粗利率改善に直結します。なお、無理にサービスを追加する(C)と逆にコスト増になるので要注意です。

  第2問 

粗利率改善のため、営業現場で特に注意すべきコスト管理対象はどれか?

A. 社内会議の開催回数 

B. 顧客への納品・配送コスト 

C. 営業担当者の休日出勤回数 

D. 売上金回収のスピード

正解: B. 顧客への納品・配送コスト

解説:現場レベルで粗利率に影響するのは、売上原価に直結するコストです。 

その代表例が「納品・配送コスト」。 

例えば、 

・ 無駄な小口配送を減らす 

・ 複数納品をまとめる 

・ 配送業者との契約条件を見直す 

といった取り組みは、売上原価を抑える=粗利率を改善する効果があります。 

社内会議(A)や休日出勤(C)もコストですが、粗利率への直接的影響は小さいです。

 第3問 

粗利率改善のために営業担当者が行うべき「売り方」として、最も効果が高いものはどれか?

A. 顧客の希望に合わせ、安価な商品に切り替えて販売する 

B. 利益率の高い商品・サービスを優先して提案する 

C. 売れ筋商品だけを大量に売ることを目指す 

D. 商品単価を抑えるため、標準仕様を削減する

正解: B. 利益率の高い商品・サービスを優先して提案する

解説:すべての商品・サービスが同じ粗利率ではありません。営業現場では、粗利率が高い(=利益が残りやすい)商品やサービスを把握し、それを中心に提案していくことが、粗利率改善の大きな武器になります。「売れやすさ」だけに流されず、「売った後に利益がきちんと残るか」を常に意識することが、利益体質を作る営業スタイルです。なお、安価な商品への切替(A)や標準仕様削減(D)は、単価・価値を下げる方向になり、かえって粗利率悪化の原因になります。

営業の基礎問題(利益編 4)

 第1問 

次のうち、現場の商談で「利益感度」が高い営業担当者の行動として最も適切なものはどれか?

A. 少しでも売上が取れるなら、積極的に値引きを提案する 

B. 単価交渉をせず、まずは契約獲得を最優先する 

C. 顧客に価格以上の付加価値(品質、サポートなど)を説明して単価維持または向上を狙う 

D. 売上数量を増やせば利益も必ず増えると考える

正解: C. 顧客に価格以上の付加価値(品質、サポートなど)を説明して単価維持または向上を狙う

解説:利益感度が高い営業とは、「売上=利益ではない」ことをしっかり理解して動ける人です。単に売上高を追うのではなく、「利益を生む売上」を意識して交渉・提案を進めるのが特徴です。

・ Aの選択肢は、値引きをすれば売上数量は増えるかもしれませんが、粗利率が下がり、結果として利益額が減るリスクが高いです。 

・ Bの選択肢は、契約を取れても利益の質(単価や条件)を無視すると、後で事業の採算が合わなくなります。 

・ Dの選択肢は、数量を増やしても単価が低かったりコストが増えたりすると、利益は減る場合もあるため、正しくありません。 

Cの選択肢のように、「価格以外の価値(例:品質、アフターサポート、保証期間、提案力など)」を訴求して、顧客に納得してもらいながら単価を維持または向上させる営業スタイルこそが、利益感度の高い動きです。

ポイント :利益感度の高い営業とは、商談時に 

・ 「この値引きで粗利率はどうなるか」 

・ 「数量を増やしても利益総額は上がるか」 

・ 「付加価値提案で単価を守れるか」 

を常に頭に置きながら動いています。

 第2問 

ある商談で、顧客が「大量発注するから単価を10%下げてほしい」と要望してきた。利益感度の高い営業担当者がまず最初に確認すべきことはどれか?

A. すぐに上司に相談する 

B. この値下げによる粗利率の変化と利益総額への影響を試算する 

C. 顧客の要望を無条件で受け入れる 

D. 同業他社に同じ条件で売っているかを調べる

正解: B. この値下げによる粗利率の変化と利益総額への影響を試算する

解説:「大量発注=良い話」と思いがちですが、単価を下げすぎると総利益(粗利総額)が減る場合もあります。利益感度の高い営業は、単に数量アップに飛びつくのではなく、 

– 粗利率がどのくらい下がるのか 

– 結果として粗利の絶対額は増えるのか 

を必ず計算します。 

それによって、値引き交渉に応じるべきか、条件をさらに調整すべきかを判断します。

  第3問 

営業担当者が「利益感度」を磨くために最も有効な習慣はどれか?

A. 売上件数だけを毎日チェックする 

B. 自分が受注した案件ごとに、粗利率・営業利益率を確認する 

C. 値引き交渉を必ず拒否する 

D. 競合他社の価格だけに敏感になる

正解: B. 自分が受注した案件ごとに、粗利率・営業利益率を確認する

解説:利益感度は「数字を意識する習慣」から育ちます。 

売上件数や取引件数だけを追っても、利益体質を高めることはできません。 

自分が受注した1件1件について、 

・ どのくらいの粗利率だったか? 

・ 営業利益にどう貢献したか? 

を振り返ることが、利益感度向上に直結します。 

その積み重ねで「この条件なら利益が出る/出ない」という勘所が磨かれます。

 第4問 

次のうち、商談時に利益感度を高めた提案をするために効果的なアプローチはどれか?

A. 最初から値引きを前提に話を進める 

B. 顧客のニーズに応じたオプション提案やグレードアップ提案を行う 

C. 顧客のコスト削減要求をすべて受け入れる 

D. できるだけ早く契約を締結し、内容の詳細はあとで詰める

正解:B. 顧客のニーズに応じたオプション提案やグレードアップ提案を行う

解説:価格だけの勝負に持ち込まれると、どうしても値引き・粗利減少に直結してしまいます。 

利益感度の高い営業は、「単価を守る/引き上げる」ために、 

・ 高付加価値なオプション提案 

・ 顧客が本当に望むアップグレード案 

などを提示し、「価格以上の価値」を提供する流れに持ち込みます。 

これにより、単価を維持または向上させつつ、顧客満足も高めることができます。 

これが「利益も顧客満足も両立する」スマートな営業手法です。

Evoto

営業の基礎問題(利益編 3)

 第1問 

「粗利(売上総利益)」と「営業利益」の違いとして正しいものはどれか?

A. 粗利は営業外収益を含むが、営業利益は含まない 

B. 粗利は売上高から売上原価を引いたもので、営業利益はそこから販売費および一般管理費を引いたもの 

C. 粗利は税引後利益で、営業利益は税引前利益である 

D. 粗利と営業利益は同じ意味で使われる

正解: B. 粗利は売上高から売上原価を引いたもので、営業利益はそこから販売費および一般管理費を引いたもの

解説:「粗利(売上総利益)」は、売上高から売上原価(商品や製品を作るための直接的なコスト)を差し引いた金額です。これは「売ったもの自体からどれだけ儲かったか」を示します。一方、「営業利益」は、その粗利からさらに販売費(広告費、営業活動費用など)と一般管理費(人件費、オフィス維持費など)を差し引いたものです。つまり営業利益は「本業を回していくために必要なコストも考慮したうえで、最終的にどれだけ儲かったか」を表しています。営業活動全体の収益性を見る指標なので、粗利よりもさらに一歩踏み込んだ利益指標です。

・ Aの選択肢:営業外収益(例:受取利息など)は営業利益には含まれず、経常利益の段階で考慮されます。 

・ Cの選択肢:税金の話は当期純利益の段階です。粗利も営業利益も税引前です。 

・ Dの選択肢:粗利と営業利益は厳密に違う指標です。混同しないよう注意しましょう。

 第2問 

粗利(売上総利益)に含まれないものは次のうちどれか?

A. 商品の原材料費 

B. 商品の製造人件費 

C. 営業担当者の交通費 

D. 仕入商品の購入費用

正解:👉 C. 営業担当者の交通費

解説:粗利(売上総利益)は、売上高から「売上原価」を引いて求めます。 

売上原価に含まれるのは、 

・ 商品の原材料費(A) 

・ 製造に直接かかわる人件費(B) 

・ 仕入商品そのものの購入費用(D) 

など、「商品を作ったり仕入れたりするための直接コスト」です。一方、営業担当者の交通費(C)は、販売費の一部であり、粗利には含まれず、営業利益を計算するときに考慮される費用です。つまり、営業交通費は「販売費および一般管理費(販管費)」に分類されます。

  第3問 

営業利益を算出する際、「粗利」から追加で差し引かれるのはどれか?

A. 売上原価 

B. 販売費および一般管理費(販管費) 

C. 支払利息 

D. 法人税

正解: B. 販売費および一般管理費(販管費)

解説:営業利益は、次の流れで求めます。 

【売上高】−【売上原価】=【粗利(売上総利益)】−【販売費および一般管理費(販管費)】=【営業利益】

販売費には、営業交通費、広告宣伝費、販売促進費などが含まれます。 

一般管理費には、人件費、事務所維持費、間接部門費用などが含まれます。 

支払利息(C)は営業外費用、法人税(D)は最終段階の税引後に関わるため、営業利益とは別の段階で扱われます。

 第4問 

次のうち、「営業利益」は分かるが「粗利」が分からないと困る具体的な場面はどれか?

A. 会社の売上目標を立てるとき 

B. 商品ごとの採算性を評価するとき 

C. 投資家への財務報告を作成するとき 

D. 会社全体の資金繰りを計画するとき

正解:B. 商品ごとの採算性を評価するとき

解説:商品単位で「この商品は儲かっているか?」を見極めるには、売上高に対して粗利(売上総利益)がどれだけ出ているかが不可欠です。営業利益は会社全体の本業収益性を表す指標ですが、個別商品ごとの原価管理や採算評価には直接向いていません。つまり、粗利がないと、

– どの商品が高収益か 

– どの商品は原価割れリスクがあるか 

といった重要な判断ができなくなります。売上目標(A)、財務報告(C)、資金繰り計画(D)には営業利益も重要ですが、商品ごとの分析は粗利が鍵です。

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営業の基礎問題(利益編 2)

第1問 

営業利益とは次のうちどれを指すか? 

A. 売上総利益から販売費および一般管理費を差し引いた利益 

B. 売上高からすべての費用を差し引いた利益 

C. 営業活動による現金収支の差額 

D. 税引前当期純利益に特別利益を加えたもの

正解: A. 売上総利益から販売費および一般管理費を差し引いた利益 

解説:営業利益とは、企業の「本業による儲け」を表す指標です。売上総利益(売上高-売上原価)から、販売費(広告宣伝費、販売促進費など)および一般管理費(人件費、管理部門費用など)を引いたものです。つまり、企業が「通常の営業活動でどれだけ利益を上げているか」を示します。投資収益や特別損益を含まないため、本業の実力を測る重要な数字です。

  第2問 

売上高に対する営業利益の割合を表す指標はどれか? 

A. 売上総利益率 

B. 営業利益率 

C. 経常利益率 

D. 当期純利益率

正解: B. 営業利益率 

解説:営業利益率とは、売上高に対して営業利益がどれくらいの割合を占めるかを示す指標です。 

計算式は【営業利益 ÷ 売上高 × 100】です。この指標が高いほど「本業で効率よく利益を上げている」ことを意味します。逆に、売上が大きくても営業利益率が低いと、コスト負担が重く、利益体質が弱いことを示す場合があります。

営業活動の効率性を測る上で非常に重要な数字です。

 第3問 

次のうち、利益を増やすために営業担当者が直接できるアクションとして最も適切なものはどれか? 

A. 設備投資の予算削減提案をする 

B. 売上単価を引き上げる交渉をする 

C. 配当政策を見直す提言をする 

D. 財務費用の見直しをする

正解:B. 売上単価を引き上げる交渉をする 

解説:営業担当者が利益に直接貢献できるポイントは、「売上金額を増やす」か「原価率を下げる」ことです。 そのため、値引きせず適正な単価で販売する、もしくは単価を引き上げる交渉を成功させることは、営業利益に直結します。一方、設備投資、配当政策、財務費用の見直しは主に経営や財務部門が担う領域であり、営業担当者が直接手を出すものではありません。 営業活動を通じて単価アップや高付加価値提案を行うことが、利益貢献に最も直結する行動です。

営業の基礎問題(利益編 1)

第1問  下記の条件の時、損益分岐点はいくらになるか概算で求めてください。

・ 売上高:500百万円 

・ 総利益率(粗利率):21% 

・ 営業利益率:▲2%(=営業赤字2%) 

・ 経費(販管費など)は変わらない とする

・ 求めるもの:損益分岐点売上高(概算)

正解: 約 547百万円(概算)

解説:まず損益分岐点売上高とは、「利益ゼロ(損益トントン)」となる売上高のことです。この問題では、今現在、営業赤字(▲2%)なので、売上が少し足りていない状態です。

経費を削減する方法で営利のマイナスを埋める方法もありますが、営業としては売上の拡大で営利のマイナスを埋めていく方法を考えたいと思います。

① 現在の粗利額を求める 

粗利=売上 × 総利益率 

=500百万円 × 21% 

=105百万円

② 現在の営業損失額を求める 

営業損失=売上 × 営業利益率 

=500百万円 × (▲2%) 

=▲10百万円

③ 経費を求める 

営業利益は、粗利-経費=営業利益 

なので、経費=粗利-営業利益

ここに数字を代入すると、経費=105百万円-(▲10百万円)=115百万円

(ポイント:赤字なので、▲(マイナス)を引くと「加算」になります)

④ 損益分岐点売上を求める 

損益分岐点売上高=経費 ÷ 総利益率

つまり、=115百万円 ÷ 21% =547.6百万円

⑤ 注意:損益分岐点売上高の計算に誤解がないか? 

ここで、「経費は変わらない」と書かれていて、総利益率も固定と考えられるため、単純にこの547.6百万円が「必要売上高」ということになります。営業として、すぐに損益分岐点売上を把握するには、簡易的なこの方法(概算)でよいのではないでしょうか。

別の考え方で、現状の利益率(営業利益率)を考えると、

▲ 2%の赤字を解消するには、売上を▲2% ÷ 21% ≈ 約9.5%増すればよい。

500百万円 ×(1+9.5%)≒ 547百万円

なので、損益分岐点売上高は、約547百万円

まとめ:

・ 現在:売上500百万円、営業赤字▲10百万円 

・ 経費=115百万円(固定費)

・ 必要な粗利=115百万円(=経費)

・ 必要な売上=経費 ÷ 粗利率=547百万円 

 よって、損益分岐点売上高は約547百万円です!

【参考:問題に対する要点整理】 

・ 粗利率を使う(21%) 

・ 営業利益率の赤字幅から必要な売上増を考える 

・ 経費は変わらないので、粗利=経費を満たす売上高を計算する

営業の基礎問題(ヒアリング編 10)

 第1問 

状況:提案内容に担当者は好感触。ただし、社内決裁が必要。担当者がこう言いました。 

「稟議は出しますけど、ちょっと上がうるさくて…。」このとき、担当者を巻き込みクロージングに向かうために最も適切な質問はどれか?

A)「では、稟議を提出したら結果を教えてください。」 

B)「上司の方が納得しやすいポイント、一緒に整理しませんか?」 

C)「やっぱり難しいですかね?」 

D)「追加で資料があればご用意しますので言ってください。」

正解:B「上司の方が納得しやすいポイント、一緒に整理しませんか?」

解説:担当者だけに負担をかけず、「一緒に整理する」スタンスを取ることで担当者を巻き込み、味方化することができます。AやDは受け身すぎ、Cは諦めムードになってしまい逆効果です。

 第2問 

状況:商談中、担当者がこう言いました。「私は御社の提案がいいと思います。でも、最終的には本部長判断なので…。」

このとき、担当者を巻き込んで支援を得るために最も適切な働きかけはどれか?

A)「本部長には別途こちらからアプローチさせてください。」 

B)「本部長が重要視されるポイントを、一緒に想定してみませんか?」 

C)「ではご連絡をお待ちします。」 

D)「やはり今回は見送りですかね?」

正解:B「本部長が重要視されるポイントを、一緒に想定してみませんか?」

解説:担当者に「本部長の視点」を一緒に考えてもらうことで、社内説明用の武器を渡すことができます。 Aのように直接接触を申し出ると、担当者の立場を脅かしてしまうので注意。 

Bのように、担当者を「内部の提案者」に育てる意識が重要です。

第3問 

状況:見積もり提出後、担当者からこう言われました。「正直、価格は他社のほうが安いんです。でも内容は御社の方がいいと思ってます。」

このとき、クロージングに向けて担当者に働きかけるべきアプローチはどれか?

A)「どちらを取るかはお任せします。」 

B)「ご自身がおすすめできるポイントを一緒にまとめましょうか?」 

C)「うちもさらに値下げします!」 

D)「やはり価格が最重要ですよね?」

正解:B「ご自身がおすすめできるポイントを一緒にまとめましょうか?」

解説:担当者自身が「内容はいい」と感じているなら、その感覚を稟議や上司説明用の材料にするのがベストです。 担当者自身の言葉で提案を語れる状態に持っていくことで、内部説得力がグッと上がります。

営業の基礎問題(ヒアリング編 9)

第1問 

状況:営業担当者が商談している相手(現場リーダー)がこう言いました。「基本的には好印象です。ただ、上司にも一応確認しますね。」

このとき、隠れた決裁者ニーズを探るために最も適切な質問はどれか?

A)「上司の方は価格を一番重視される方ですか?」 

B)「ご上司が重視されるポイントについて、事前に教えていただけますか?」 

C)「では、上司の方に直接ご説明に伺いましょうか?」 

D)「上司の方のお名前と連絡先を教えてください。」

正解:B「ご上司が重視されるポイントについて、事前に教えていただけますか?」

解説:いきなり直接交渉(CやD)を持ちかけると、担当者の顔を潰してしまうリスク大。まずは、担当者経由で決裁者が何を重視するかの情報を引き出し、準備を整えるのがスマートです。Aも悪くはないですが、価格だけを想定してしまうと、意図がずれる危険もあります。

 第2問 

状況:商談相手(部門課長)がこう言いました。 

「部長に稟議をあげてみますけど、あの人かなり慎重派なので…。」

このとき、隠れた決裁者ニーズを探るために最も適切な質問はどれか?

A)「部長がこれまで導入を決めたポイントは何でしたか?」 

B)「部長に直接ご説明できる機会はありますか?」 

C)「では、稟議書だけ拝見させてください。」 

D)「慎重派というのは予算の面でしょうか?」

正解:A「部長がこれまで導入を決めたポイントは何でしたか?」

解説:部長が「慎重」という情報は重要なヒント。その慎重さの裏にある「決断基準(過去のパターン)」を聞き出せば、その基準に合わせた提案ができるからです。 

いきなり直接会う(B)より、まず勝ち筋の把握が優先です。

第3問 

状況:顧客担当者がこう言いました。 

「仕様はいいんですが、社長がコスト意識強いので…。」

このとき、隠れた決裁者ニーズを探るために最も適切な質問はどれか?

A)「社長は他にどんな点も気にされる傾向がありますか?」 

B)「では、値下げのご提案もご用意します。」 

C)「仕様面で不安なところは本当にないですか?」 

D)「コスト意識というのはどの程度のイメージですか?」

正解:A「社長は他にどんな点も気にされる傾向がありますか?」

解説:コストだけでなく、実は「ブランド」「サポート体制」「納期」など、社長が重視する他の要素があるかもしれません。「コストだけに最適化」してしまう(BやD)と、全体ニーズを見落とすリスクがあります。まずは総合的な決裁基準を聞き出すのが正解です。

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