組織論としても、営業マネジメントとしても、とても本質的なテーマです。
勝敗を正しく分析できない会社。
しかもそれを「市場が悪い」「顧客がわかっていない」「価格競争がひどい」「本部が悪い」「部下が悪い」と外部要因に帰してしまう会社。
この構造は、静かに、しかし確実に衰退を生みます。
1. 現実認識が歪む会社は、戦略がズレ続ける
経営とは「現実をどう認識するか」のゲームです。
たとえばプロ野球で負けたチームが「審判が悪い」と毎回言っていたら、守備練習も投手起用の見直しも起こりませんよね。
実際、強豪球団である読売ジャイアンツや福岡ソフトバンクホークスは、勝った試合でも必ず振り返りをします。
負けの原因を構造化できない組織は、
・打率が悪いのか
・選球眼が悪いのか
・配球が読まれているのか
・練習設計が悪いのか
この切り分けができない。
つまり「改善可能な要因」を見つけられない。
その結果、戦略は毎回外します。
外していることにも気づきません。
2. 学習能力が消える(組織が進化しない)
企業は生物に似ています。
進化とは何か。
環境変化に対する適応です。
進化論を提唱した
チャールズ・ダーウィンは「強いものが生き残るのではなく、変化に適応できるものが生き残る」と示しました。
他責文化の組織では、
「変わる必要がない」
という無意識の前提が生まれます。
すると何が起きるか。
・営業プロセスが10年前と同じ
・商品説明資料がアップデートされない
・顧客ニーズの変化を無視する
・若手の意見が潰される
つまり、進化停止。
市場は変わるのに、自分たちは変わらない。
このギャップが徐々に致命傷になります。
3. 優秀な人材が去る
優秀な人ほど、因果関係を見ます。
・なぜ勝ったのか
・なぜ負けたのか
・どこを修正すればいいのか
これを考えたい。
しかし組織が他責で止まると、
「ここでは学べない」
「この会社は伸びない」
と感じます。
すると優秀層から抜けます。
残るのは、思考停止に適応した人だけ。
これは組織の質の逆選抜です。
4. 数値管理が機能不全になる
営業でよくある誤りはここです。
予算未達 → 「景気が悪い」
受注率低下 → 「価格競争」
失注増加 → 「顧客が冷たい」
しかし本当にそうか?
仮説として分解すると、
・提案価値が弱い
・ヒアリングが浅い
・決裁者に届いていない
・競合との差別化が曖昧
・クロージング設計が甘い
この内部要因を見ない限り、KPI改善は起きません。
結果、管理は「叱責」か「精神論」になります。
これが続くと、現場は数字を隠し始めます。
もう組織は崩壊の入り口です。
5. 最終的な行く末
他責文化の会社は、短期的には生きます。しかし中期的に市場ポジションを失い、
長期的には存在理由を失います。
勝敗分析ができる会社は、実は負けを歓迎します。
なぜなら、「改善点が見える」からです。
営業組織であれば、
・受注率を顧客属性別に分解する
・商談プロセス別離脱率を出す
・失注理由を定量×定性で整理する
・トップ営業と平均営業の行動差を抽出する
ここまでやって初めて、勝敗は武器になります。
負けを構造化できる会社は、必ず強くなります。
組織の未来は、「敗因をどう扱うか」で決まる。
敗因を外に置く会社は衰退し、敗因を自分たちの中に探す会社は進化する。
これは営業でも、国家でも、スポーツでも同じ構造です。
そして面白いことに、他責文化は一瞬楽なんです。
しかしその楽さは、未来を前借りしているだけ。
組織は正直です。
現実を見ない組織は、やがて現実に淘汰されます。


