営業の専門書や営業手法の解説本で「債権管理(売掛金管理)」があまり扱われない理由は、とてもシンプルです。
なぜ営業本に債権管理が出てこないのか
① 営業スキルと債権管理は管轄が違うと見なされている
多くの企業では、
営業:売ることが仕事
管理部門(経理・財務):回収や与信が仕事
という役割分担がされています。
そのため、出版社も著者も
「営業の本では、売る力・提案力・ヒアリング力がテーマ」
と考えやすく、債権管理は別領域扱いになりがちです。
② 読者が求めているテーマから外れやすい
営業本の大半は、次のようなニーズを満たすために書かれています。
もっと売りたい
商談を成功させたい
提案スキルを上げたい
顧客との関係を深めたい
一方、債権管理は
「攻め」ではなく「守りの領域」
なので、営業本の読者が最初から求めていないと判断され、あえて扱わないことが多いのです。
③ 債権管理は業種・社内ルール差が大きく、一般化しにくい
債権管理は企業ごとにルールが大きく違います。
与信枠の決め方
回収手続き
請求サイクル
社内承認フロー
取引条件(締め・支払サイト)
営業本は多くの読者に当てはまる内容を意識するため、
ルールが細かく企業ごとに違うテーマは避けられがちです。
④ トラブルや不良債権の話は重いので、書籍のトーンと合いにくい
営業本の多くは、
成果が出る
気持ちが前向きになる
やれば変わる
といったポジティブな内容で構成されます。
一方で債権管理は、
「未回収」「倒産」「焦げ付き」「督促」
といったネガティブな要素が中心。
読者のモチベーションを下げる懸念があり、あまり取り上げられません。
⑤ 著者が営業出身の場合、専門知識が不足しやすい
営業のプロは売ることの専門家ですが、債権回収の専門家ではありません。
逆に、債権管理の専門家は経理や法務の側にいます。
そのため、営業本を書ける立場の人が
「債権管理まで詳しく説明できる」
ケースが少なく、内容に含まれにくいのです。
ただし、実際の現場では営業が最も債権管理に影響する
書籍で扱われにくい一方、現場の実情は逆です。
支払い条件を決めるのは営業
与信リスクを最も早く察知できるのも営業
回収が遅れる兆しを拾えるのも営業
信用を築くのも壊すのも営業
つまり、営業こそ債権管理の第一線です。
しかし書籍で語られないため、
現場の営業が学ぶ機会が不足し、トラブルが起きやすい——
これが多くの企業の現実のギャップです。
まとめ
営業本で債権管理が扱われない理由は、
「営業本は売る話に集中」「債権管理は守りで専門性が高い」「読者のニーズとマッチしにくい」
という事情が大きいからです。


