営業の基礎問題 (営業管理編 14)

第1問

次のうち、在庫の過剰保有が財務指標に及ぼす影響として最も正しいものはどれか?

A. 在庫が増えることで当期純利益が増加し、ROE(自己資本利益率)も上昇する

B. 在庫が増えることで棚卸資産回転率が低下し、ROA(総資産利益率)が悪化する

C. 在庫が増えることでキャッシュフローが改善し、フリーキャッシュフローが増加する

D. 在庫が増えることでBS上の資産圧縮が進み、財務健全性が向上する

正解:B. 在庫が増えることで棚卸資産回転率が低下し、ROA(総資産利益率)が悪化する

解説:在庫は資産に計上されますが、売れ残れば資金が滞留し、棚卸資産回転率が低下します。その結果、資産の効率性を示すROAが悪化するのが通常です。A・C・Dは在庫が利益やキャッシュに直接好影響を与えると誤解しており、実際は在庫過剰は資金効率の悪化に繋がります。

第2問

収益認識基準の観点から、返品が発生するリスクが高い取引において、企業が最も注意すべき会計処理はどれか?

A. 出荷基準で売上を全額計上し、返品があった際に次期の売上を相殺する

B. 過去の返品率に基づき、収益計上時に「返品調整引当金」を見積もって控除する

C. 売上計上後の返品は営業外費用として処理する

D. 売上高に含めず、返品は「仕入戻し」として処理する

正解:B. 過去の返品率に基づき、収益計上時に「返品調整引当金」を見積もって控除する

解説:現行の収益認識基準では、返品リスクを見積もって収益を調整する義務があります。Bのように、将来の返品見込みを引当金として控除する処理が適正です。Aは認識タイミングが不適切で、Cは分類が誤り、Dは処理区分が不正確です。

第3問

在庫過多や返品の増加が継続的に発生する場合、経営として最も優先的に着手すべきアプローチはどれか?

A. 在庫評価方法を先入先出法(FIFO)から移動平均法に変更し、評価損を平準化する

B. 営業部門に対して売上未達分の在庫を買い取らせる制度を導入する

C. 販売・物流・在庫管理部門を横断するPDCAサイクルを整備し、需要予測の精度を上げる

D. 返品が一定数を超えた商品群の販売を一律中止し、在庫処分を優先する

正解:C. 販売・物流・在庫管理部門を横断するPDCAサイクルを整備し、需要予測の精度を上げる 解説:在庫過多や返品の背景には、需要予測や供給計画の誤差、部門連携の欠如があるケースが多く見られます。Cのように横断的なPDCA体制を構築し、需要予測精度を改善することが、最も持続的かつ根本的な対応策です。A・B・Dはいずれも短期的・部分的な対応で、根本解決には至りません。

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