DESC法(Describe, Express, Specify, Consequences)は、対人コミュニケーションや問題解決の際に使われる、主張や意見を効果的に伝えるための手法です。特に、対立や衝突が生じた場面で建設的な対話を促進するために使用されます。
DESC法の構成要素
DESC法は、以下の4つのステップから構成されます:
1. Describe(描写)
2. Express(表現)
3. Specify(具体化)
4. Consequences(結果)
1. Describe(描写)
「描写」では、事実を客観的かつ具体的に述べるステップです。この段階では、主観や感情を交えずに状況や行動を説明します。
具体例:「会議の開始時間に遅れた」と言う代わりに、「今日の会議は午前9時に始まりましたが、あなたは9時15分に到着しました」と具体的に描写します。
ポイント
* 事実に基づいた具体的な描写
* 主観や感情を排除
* 相手が理解しやすい言葉で表現
2. Express(表現)
「表現」では、自分の感情や感想を率直に伝えるステップです。この段階では、相手に対する感情や影響を正直に伝えます。
具体例:「遅刻すると困ります」と言う代わりに、「あなたが遅れると、私は他のメンバーの時間を無駄にしているように感じてしまいます」と表現します。
ポイント
* 自分の感情を率直に伝える
* 「I(私)」を主語にすることで主観を明確に
* 非攻撃的であることを意識
3. Specify(具体化)
「具体化」では、望ましい行動や解決策を具体的に提案するステップです。この段階では、相手に対して具体的な要求や期待を明確に伝えます。
具体例:「遅刻しないでください」と言う代わりに、「次回から会議には開始5分前に到着してもらえると助かります」と具体的に提案します。
ポイント
* 具体的で実行可能な提案を行う
* 相手が理解しやすい形で要求を伝える
* 望ましい行動を明確に示す
4. Consequences(結果)
「結果」では、提案が受け入れられた場合と受け入れられなかった場合の結果を説明するステップです。この段階では、行動の影響を具体的に伝えます。
具体例:「遅刻しないとみんなが助かります」と言う代わりに、「次回から時間通りに来ていただけると、会議がスムーズに進行し、全員の時間を有効に使えます」と説明します。
ポイント
* 望ましい行動が実現された場合のポジティブな結果を伝える
* 望ましい行動が実現されなかった場合のネガティブな結果も伝える
* 相手に行動の影響を理解させる
DESC法のメリット
明確なコミュニケーション:情報を論理的かつ明確に伝えることで、誤解を避けることができます。
非攻撃的なアプローチ:感情や要求を率直に伝えつつ、相手を攻撃せずに対話を進めることができます。
建設的な対話の促進:具体的な解決策を提案し、対立を解消しやすくします。
相手への理解促進:行動の影響を説明することで、相手に理解を促し、協力を得やすくします。
DESC法の活用例
職場でのコミュニケーション
Describe:「最近のプロジェクトミーティングでは、数回遅れて参加されています。」
Express:「そのため、私たちはミーティングの進行が遅れ、他の作業に影響が出ています。」
Specify:「次回からは、ミーティング開始の5分前に参加していただけると助かります。」
Consequences:「そうしていただけると、全員が効率的に作業を進められ、プロジェクトも順調に進行すると思います。」
まとめ
DESC法は、対立や衝突が生じた場面で建設的な対話を促進するための効果的な手法です。具体的な事実を描写し、感情を率直に表現し、具体的な解決策を提案し、その結果を説明することで、対話をスムーズに進めることができます。この方法を活用することで、職場や個人的な対話の質を向上させ、より良いコミュニケーションを実現することができます。