もっと話してもらう

営業において顧客に課題を聞き出し、自由に話をしてもらうことは、商談成功のカギとなります。しかし、顧客に心を開いてもらい、必要な情報を引き出すには、注意すべきポイントがいくつかあります。

 1. 信頼関係の構築が前提

 顧客に課題を話してもらうには、まず信頼を築くことが不可欠です。信頼がなければ、顧客は本音を話さない可能性が高いです。

 注意点

 自己紹介や挨拶を丁寧に:第一印象を良くするために、笑顔や誠実な態度で接する。

 相手の立場を尊重する:顧客を一方的に「売る対象」と見なさず、対等なパートナーとして扱う。

 相手のペースに合わせる:顧客のトーンや話し方、テンポに合わせて会話を進める。

 2. 質問の質を高める

顧客が話しやすいように、適切な質問をすることが重要です。質問が的外れだったり、答えづらかったりすると、顧客は心を閉ざしてしまいます。

 効果的な質問の種類と注意点

 (1)オープンクエスチョン

 顧客が自由に答えられる質問を使うことで、情報を引き出しやすくなります。

   例:「現在、どのような課題をお感じですか?」

   例:「このプロジェクトで最も重要視している点を教えていただけますか?」

 注意点:

   質問が漠然としすぎると、顧客が何を答えればよいか分からなくなる。

   質問の前に適切な背景説明を加えると、話しやすくなる。

 (2)クローズドクエスチョン

 明確な答えを引き出したいときに使います。

   例:「現在のシステムでコストが高いと感じていますか?」

   例:「この問題は半年以内に解決する必要がありますか?」

 注意点:

   クローズドクエスチョンだけを多用すると、顧客が一方的に質問攻めされていると感じる可能性があるため、バランスが重要。

 (3)フォローアップ質問

 顧客が話した内容を掘り下げるための質問をする。

   例:「その問題が発生したのは、いつ頃からでしょうか?」

   例:「その解決策について、他に検討されたことはありますか?」

 注意点:

   顧客が話した内容を正確に理解してから質問する。曖昧な理解のまま進めると信頼を失う。

 3. 傾聴の姿勢を示す

顧客が話しやすい雰囲気を作るためには、積極的に「聞く」姿勢が求められます。

 注意点

 相槌や共感を意識する:

   適度に「なるほど」「それは大変ですね」などの相槌を入れる。

   顧客が感じていることに対して共感を示すと、安心して話を続けてもらいやすい。

 メモを取りながら話を聞く:

   顧客の発言を忘れないようにメモを取りつつ、話を聞く姿勢を崩さない。

   顧客にメモを取る理由を伝えると、より安心感を与える(例:「重要なポイントをしっかり覚えておきたいので、メモを取らせてください」)。

 途中で話を遮らない:

   顧客の話を遮ってしまうと、不快感を与える可能性があります。

   顧客が話し終えるまでしっかり待ち、その後に質問や確認をする。

 4. 否定的な態度を取らない

顧客が課題を話す際、たとえそれが曖昧な内容や自社に批判的な意見であっても、否定的な態度を示さないことが重要です。

 注意点

 顧客の意見を否定しない:

   例:「それは違うと思いますよ」といった言葉は避ける。

   代わりに、「そうお感じになるのはなぜでしょうか?」と質問で掘り下げる。

 課題の重要度を軽視しない:

   顧客が挙げた課題が営業担当者から見て小さな問題であっても、「それは大したことないですよ」と言うのは禁物。

   どんな課題にも真摯に耳を傾ける姿勢が必要。

 5. 自分の話をしすぎない

営業担当者が自分の提案や実績を話しすぎると、顧客が話す時間を奪ってしまいます。

 注意点

 顧客の話を主軸にする:

   商談の時間の70%以上を顧客の発言に割くことを目指す。

   自分が話すのは、顧客の話を補足したり質問に答えたりする場面に留める。

 「聞く姿勢」を意識する:

   自分が話している時間が長くなっていると感じたら、一度話を切り上げ、「この点について、どうお考えですか?」と顧客に振る。

 6. 顧客にとっての「安心感」を作る

顧客が本音を話すためには、心理的な安心感が必要です。

 注意点

 秘密保持の明示:

   特にBtoBの営業では、「ここでお話しいただいた内容は社内でのみ活用します」と秘密保持を伝えることで、顧客が安心して話せるようになります。

 圧力をかけない:

   顧客が課題を話すことを無理強いしない。「もし可能であれば教えてください」という柔らかい言い回しを用いる。

 リラックスできる環境を提供:

   堅苦しい雰囲気を避け、雑談などで緊張を和らげてから本題に入る。

 7. 背景や文脈を理解する

顧客の課題を聞き出す際、その背景や文脈を事前に把握しておくことで、より的確な質問が可能になります。

 注意点

 事前リサーチを行う:

   顧客の業界や企業の動向、過去の取引履歴を調べておく。

   顧客の立場や役職によって、課題の種類や優先度が異なることを理解する。

 話の背景を確認する:

   顧客が課題を話した際、「その課題は、どのような状況で発生しましたか?」と背景を掘り下げる。

 8. まとめや確認を行う

顧客が話した内容をその場で整理し、正確に理解しているか確認します。

 注意点

 要約して確認:

   例:「お話をまとめると、○○という点が現在の課題ということですね。間違いありませんか?」

   要約することで、顧客が話した内容が正しく理解されているか確認できます。

 次のステップを示す:

   例:「この課題を解決するために、いくつかご提案させていただきますね」といった具体的な次のアクションを伝える。

 まとめ

顧客に課題を話させるためには、信頼関係の構築、適切な質問、傾聴姿勢、否定しない態度、自分の話を控える意識が重要です。さらに、顧客がリラックスして話せる環境を設定することを心がけましょう。

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