営業の基礎問題 (営業管理編 8)

第1問

KAI(重要行動指標)の定義として最も適切なものはどれか?

A. 顧客からの評価に基づく最終成果

B. 営業パーソンのモチベーションの高さ

C. 成果を生み出すための具体的な行動そのものを定量化した指標

D. 営業戦略における競合分析の深さ

正解:C. 成果を生み出すための具体的な行動そのものを定量化した指標

解説:KAIとは、KPIやKGIを達成するために必要な行動を数値化した指標です。たとえば「1日5件の新規アポイント架電」「初回訪問時に必ずヒアリング項目10項目を確認する」といった、現場で即実行できる行動が対象になります。

第2問

営業マネージャーがKAIを運用するうえで最も重要なスタンスはどれか?

A. 成果が出ていれば行動には干渉しない

B. 部下のKAIを定義せず、自由な行動に任せる

C. 行動の量と質を可視化し、改善指導につなげる

D. KAIよりもKGIを最優先して評価する

正解:C. 行動の量と質を可視化し、改善指導につなげる

解説:KAIは現場での「行動の習慣化・改善」のために使う指標です。マネージャーは行動の頻度・タイミング・内容を可視化し、成果との関係を検証して改善に結びつけることが求められます。KAIは日々の動きを変えることで成果につなげる武器です。

第3問

以下のうち、KAIの具体例として最も適切なものはどれか?

A. 月間受注件数

B. 顧客満足度スコア

C. 1日5件の新規架電実施

D. 年間売上高10億円

正解:C. 1日5件の新規架電実施

解説:KAIは「行動」を数値化した指標です。新規架電、ヒアリング実施件数、デモ実施数などが該当します。AやDはKGI、Bは定性的な成果指標であり、KAIには該当しません。KAIは、「やれば必ず動きが変わる」行動ベースの設計が鍵です。

営業の基礎問題 (営業管理編 7)

第1問

KPIの運用において、営業マネージャーが最も意識すべきマネジメント行動はどれか?

A. KPIは設定後、放置してもメンバーが自然に意識する

B. KPI未達の際には、KGIの目標を下げるよう調整する

C. KPIの達成状況を定期的に確認し、改善アクションを指導する

D. KPIを達成していても、成果が出ないなら意味がないと捨てる

正解:C. KPIの達成状況を定期的に確認し、改善アクションを指導する

解説:KPIは管理されてこそ意味があります。マネージャーは、KPIの進捗を日次・週次で確認し、未達時には行動・プロセスの改善を促す必要があります。達成していてもKGIに結びつかない場合はKPIの妥当性を見直す必要はありますが、まずは運用徹底が前提です。

第2問

KPIとKAIの関係として最も正しいものはどれか?

A. KPIは感覚的な要素、KAIは成果に直結する数値

B. KPIはKAIの上位にある概念で、行動結果を示す

C. KPIとKAIは意味がほぼ同じで置き換えてよい

D. KPIは抽象的で、KAIは定量化されたものが多い

正解:B. KPIはKAIの上位にある概念で、行動結果を示す

解説:KPIは行動の「結果」を数値化したものであり、KAI(Key Action Indicator)はその「行動」自体を示す指標です。例えば、「1ヶ月の商談件数(KPI)」の裏には「1日5件の電話アプローチ(KAI)」といった具体行動が存在します。

第3問

営業組織におけるKPI設定で起こりやすい失敗として最もよくあるものはどれか?

A. 現場の声をすべて取り入れて柔軟に調整している

B. 目標に対して逆算せず、過去の実績をベースに設定している

C. メンバーごとにKPIを最適化している

D. 達成度の可視化を毎週行っている

正解:B. 目標に対して逆算せず、過去の実績をベースに設定している

解説:KPIは「KGIからの逆算」が基本です。にもかかわらず、「去年これくらいだったから」といった前例踏襲型で設定されることが多く、目標との整合性が取れないケースがあります。目標達成のために「何が」「どのくらい」必要かという視点が欠かせません。

営業の基礎問題 (営業管理編 6)

第1問

KPIを設定する主な目的として最も適切なものはどれか?

A. 部下の勤務態度を評価するため

B. 最終成果(KGI)を分解し、進捗管理と行動修正を可能にするため

C. 管理職の負担を減らすための自動指標化

D. 感覚的な売上予測に頼らずに済むようにするためだけ

正解:B. 最終成果(KGI)を分解し、進捗管理と行動修正を可能にするため

解説:KPIはKGIを達成するための中間的な成果指標であり、営業活動の進捗状況を定量的に把握するためのものです。例えば「アポイント取得件数」や「商談数」など、KPIを定めることで、最終成果までのギャップを早期に発見し、必要な修正行動を促すことができます。

第2問

KPIの内容を設定・見直す際に、営業マネージャーとして避けるべきことはどれか?

A. KGIから逆算して、妥当な水準に落とし込むこと

B. チームや個人の役割ごとに異なるKPIを設定すること

C. 現場の実行可能性やデータ取得のしやすさを考慮すること

D. どれだけ実現困難でも、高く設定すればやる気につながると信じること

正解:D. どれだけ実現困難でも、高く設定すればやる気につながると信じること

解説:KPIは「現場が実行し、達成できる現実的な指標」であることが重要です。過度に高い目標は、むしろメンバーの士気を下げ、形骸化につながる恐れがあります。マネージャーは、挑戦的でありながらも実現可能な水準で設計する必要があります。

第3問

以下のうち、KPIに該当する指標として最も適切なのはどれか?

A. 顧客の満足度が高いと感じたかどうか

B. 1ヶ月あたりの新規商談件数

C. チーム内の良好な人間関係

D. 年間売上高の目標値

正解:B. 1ヶ月あたりの新規商談件数

解説:KPIは、KGIに至るプロセス上の中間成果を定量的に測る指標です。新規商談件数や受注率、平均単価などはKPIの代表的な例です。一方、顧客満足や人間関係といった定性的な要素は、KPIにはなりません。年間売上高はKGIです。

営業の基礎問題 (営業管理編 5)

第1問

営業マネージャーがKSFを定義する目的として最も適切なのはどれか?

A. チームの雰囲気を良くすることを最優先にするため

B. 営業担当者の働き方を自由にするため

C. 成果に直結する成功要因を特定し、重点的に取り組むため

D. 組織のKGIを削減するための手段とするため

正解:C. 成果に直結する成功要因を特定し、重点的に取り組むため

解説:KSFは、KGI(最終成果)を達成するために「絶対に外せない成功のカギ」を指します。たとえば「初回接触時の課題ヒアリング力」や「スピード感ある見積提出」など、成果を左右する重要要素に集中させることで、戦略的に営業活動を展開できます。

第2問

以下のうち、KSFの定義として最も適切なものはどれか?

A. KGIと無関係な個人のスキルセット

B. KPIと同じく、日々の行動回数を数値化した指標

C. 成果を生み出す上で特に重要となる要素・条件

D. 現場のストレスを軽減する福利厚生施策

正解:C. 成果を生み出す上で特に重要となる要素・条件

解説:KSFとは、「この要素があるからこそ成功できる」という戦略上の核心部分です。たとえば「既存顧客の深耕」や「新商品の市場認知の高さ」など、成功の再現性や効率性に直結するため、マネージャーは組織や商品特性に応じて適切に見極める必要があります。

第3問

KSFの導出プロセスとして、営業マネージャーが最も意識すべきことはどれか?

A. 他社の成功事例をそのままコピーすること

B. これまでの成功・失敗要因を分析し、共通点を探ること

C. 部下の気分や感覚に頼ること

D. なるべく多くの要因を列挙してすべて対処すること

正解:B. これまでの成功・失敗要因を分析し、共通点を探ること

解説:KSFは「この要因があった時に成果が出ていた」といった再現可能なパターンをもとに抽出されます。過去の成功パターンを分析し、共通する行動、状況、条件を明らかにすることが、KSF導出の基本ステップです。むやみに多くの要因に手を出すのではなく、絞り込むことが重要です。

営業の基礎問題 (営業管理編 4)

第1問

KGIを設定する際に、最も重視すべきポイントはどれか?

A. 達成しやすい数値目標にすること

B. 現場のモチベーションを重視して感覚的に設定すること

C. 組織のビジョンや中長期戦略と整合性を取ること

D. とりあえず前年踏襲で設定することが安全

正解:C. 組織のビジョンや中長期戦略と整合性を取ること

解説:KGIは企業や組織が「最終的に達成すべき成果」を定めた指標です。単なる現場の数値目標ではなく、企業の方向性や戦略に沿って設計される必要があります。たとえば「地域No.1のシェアを実現する」などのビジョンがあるなら、それに連動したKGI(売上・シェア率など)を定めることが重要です。

第2問

以下のうち、KGIの例として最も適切なものはどれか?

A. 商談化率20%以上

B. 提案書提出件数を毎月15件以上にする

C. 年間売上高10億円の達成

D. 1日5件以上の新規架電を行う

正解:C. 年間売上高10億円の達成

解説:KGIは「最終成果」を定めたものであり、「売上高」や「市場シェア」「契約数」などが該当します。AやB、DはKPIやKAIのレベルであり、KGIを達成するための中間的・行動的な指標です。

第3問

営業マネージャーがKGIをメンバーに示す際に、最も重要なことはどれか?

A. 数字だけを示し、詳細な説明は省く

B. 達成困難でも高いKGIを掲げてプレッシャーを与える

C. KGIがなぜ必要か、全体戦略との関係性を伝える

D. メンバーにKGIを自由に決めさせることで自律性を促す

正解:C. KGIがなぜ必要か、全体戦略との関係性を伝える

解説:KGIは「組織全体の目標」であり、現場のメンバーが自分の役割や貢献を理解するためには、その意義や背景をマネージャーが丁寧に伝える必要があります。納得感がなければ、KPIやKAIの実行にもつながりにくくなります。

営業の基礎問題 (営業管理編 3)

第1問

営業組織の成果管理において、KGIの最も適切な定義はどれか?

A. 営業担当者の行動量を測定する指標

B. 目標達成のために必要な業務プロセスの指標

C. 組織として最終的に達成すべき成果指標

D. 顧客満足度やNPSのような定性的指標

正解:C. 組織として最終的に達成すべき成果指標

解説:KGI(Key Goal Indicator)は、企業や部門としての最終的な成果(例:年間売上高、利益率、新規顧客獲得数など)を示す指標です。これをもとに、必要な行動や中間指標(KPIやKAI)を設定します。

第2問

営業マネージャーがKPIを設定する際に、特に注意すべきことはどれか?

A. KPIはなるべく抽象的で、柔軟性のある指標とする

B. KGIと直接結びつき、進捗を可視化できる指標とする

C. KPIは営業担当者個人の感覚に任せるのがよい

D. 毎月変えることで、常に新鮮な行動を促す

正解:B. KGIと直接結びつき、進捗を可視化できる指標とする

解説:KPI(Key Performance Indicator)は、KGI達成に向けた中間指標です。例えば「アポ獲得件数」「提案書提出数」など、KGIに至るプロセスの進捗を定量的に把握するためのものです。明確で継続的に追えることが重要です。

第3問

営業マネージャーがKAIを活用する主な目的として最も適切なのはどれか?

A. 部下に成果責任を押し付けるため

B. 競合との差別化を示すためのPR材料にする

C. 成果につながる具体的な行動を定着させるため

D. 報告書の枚数を増やして稼働感を出すため

正解:C. 成果につながる具体的な行動を定着させるため

解説:KAI(Key Action Indicator)は、営業成果を生むために必要な行動(例:1日3件の新規顧客架電、毎回のヒアリングで課題を3つ以上聞き出すなど)を定め、行動レベルでの改善・習慣化を促す指標です。マネージャーは部下の行動パターンを可視化し、成果との関係を分析する必要があります。

営業の基礎問題 (営業管理編 2)

第1問

 インセンティブ制度を設計する際、最も避けるべき誤りはどれか?

A. 営業行動の促進に合わせた報酬設計をする 

B. 売上額だけを評価軸とし、短期成果主義に偏る制度にする 

C. プロセス評価と成果評価を併用してバランスを取る 

D. チームインセンティブと個人インセンティブを組み合わせる

正解:B. 売上額だけを評価軸とし、短期成果主義に偏る制度にする

解説:インセンティブ制度における大きな失敗は、「売上さえ上がれば良い」という短期的かつ個人主義的な報酬設計です。このような制度は、顧客との関係性悪化や社内の非協力風土を招きやすいため、プロセス評価・協働評価・長期視点の評価軸をバランスよく取り入れる必要があります。

第2問

 商談データ分析の目的として最も適切なのはどれか?

A. 商談件数の変化から、競合企業の内部情報を予測すること 

B. 過去データから勝ちパターンと負けパターンを抽出し、再現性を高めること 

C. 顧客ごとの担当営業の力量を比較してランク付けすること 

D. 売上の多い顧客に対し、値引き率を高めること

正解:B. 過去データから勝ちパターンと負けパターンを抽出し、再現性を高めること 

解説:商談データ分析の本質的な目的は、「勝てる商談の条件(業種・商談プロセス・提案内容など)」と「負けるパターン(遅延・ニーズ不一致など)」を見極めて、再現性をもった活動へ落とし込むことです。営業活動は属人的になりがちなので、データドリブンでナレッジ共有することが組織力向上に直結します。

第3問

エリアマネジメントにおいて「面」としての市場アプローチを重視する理由として最も適切なのはどれか?

A. 広域で売上を均等化し、営業担当の移動時間を最大化するため 

B. 特定顧客への集中営業だけで、高単価商品を売りやすくするため 

C. 担当者ごとにランダムに顧客を割り振る柔軟性を確保するため 

D. 面で攻略することで、シェアの拡大と認知の相乗効果を狙うため

正解:D. 面で攻略することで、シェアの拡大と認知の相乗効果を狙うため

解説:「面で取る営業」は、地域・業界・施設群などの範囲を一体として攻略するアプローチです。これにより、口コミや紹介が波及しやすくなり、顧客との関係性や信頼形成も広がるため、結果的にシェア拡大やコスト効率の向上につながります。 

個別の点攻めでは広がりが出ません。

営業の基礎問題 (営業管理編 1)

第1問

 営業KPI設計において最も避けるべき設計ミスはどれか?

A. 成果(売上)だけでなくプロセス(訪問件数・提案件数)も指標に含めること 

B. 目標をチーム単位と個人単位の両方で設定すること 

C. 現場の活動実態に合わない指標を設定してしまうこと 

D. 達成可能な範囲でやや高めの目標を設定すること

正解:C. 現場の活動実態に合わない指標を設定してしまうこと

解説:KPI設計の最大の失敗は、現場の実態に合わない・意味のない指標を設定してしまうことです。たとえば「無意味に訪問数だけ増やす」ようなKPIは、行動の質を下げ、逆に生産性を落とします。売上だけでなくプロセスも可視化(A)、個人とチーム両方で管理(B)、やや高め設定(D)は正しい方向です。

第2問

 パイプライン管理において、最も重要な視点はどれか?

A. 案件数を無制限に増やし、とにかく量で勝負すること 

B. 各案件のステージ(進捗状況)を正確に把握し、ボトルネックを特定すること 

C. クローズが近い案件だけに注力し、初期案件は無視すること 

D. 案件進捗にかかわらず、すべての案件に同じリソースを配分すること

正解:B. 各案件のステージ(進捗状況)を正確に把握し、ボトルネックを特定すること

解説:パイプライン管理とは、案件の進捗(リード→提案→見積→受注など)を段階別に可視化・管理し、どこに課題があるかを明確にする活動です。 

営業マネジメントでは、ボトルネック(たとえば「提案フェーズで止まる」など)を発見し、対策を打つことが重要。量だけ追う(A)や初期案件を無視(C)するのは短期志向に陥ります。

第3問

 営業戦略立案において、「ターゲティング」の失敗が招くリスクとして最も適切なものはどれか?

A. 獲得単価が下がりすぎて収益性が高まる 

B. 営業コストが膨らみ、成約率が低下する 

C. 成約率は高まるが、単価が安定しすぎる 

D. 短期売上は伸びるが、長期ブランド価値が上がりすぎる

正解:B. 営業コストが膨らみ、成約率が低下する

解説:ターゲティング(狙う市場・顧客の絞り込み)を誤ると、見込みの薄い顧客に無駄なリソースを割くことになり、営業コストが増加し、成約率が低下します。 

正しいターゲティングは、「リードの質を上げ、コストパフォーマンス良く営業できる」ことが目的です。「収益性が高まる」「ブランドが上がりすぎる」といった影響は起こりません。

第4問

営業人材育成において、OJTだけに頼ることの主なリスクはどれか?

A. 個々の営業パーソンが独自のスタイルを確立できる 

B. 現場のナレッジが形式知化されず、組織全体のスキル底上げが進まない

C. 新人営業のモチベーションが過度に高まり、離職率が下がる 

D. 現場リーダーの裁量が拡大し、育成負担が減る

正解:B. 現場のナレッジが形式知化されず、組織全体のスキル底上げが進まない

解説:OJT(On the Job Training)は即戦力化に有効ですが、個々の経験・属人的ノウハウに依存しやすく、組織的にスキルを底上げする「型」や「マニュアル」が蓄積されにくいというリスクがあります。営業組織の力を高めるには、OJTに加えてオフJT(Off the Job Training)やナレッジ共有の仕組みを整えることが不可欠です。

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営業の基礎問題(基礎編 21)

第1問

顧客が「他社とも比較してから決めたい」と言った場合に、裏に隠れている心理として最も該当するものはどれか。

A. 情報収集が不十分なまま決断することへの不安

B. 価格交渉のために比較中を演出している

C. 自社に対する不信感があり、慎重になっている

D. 購入を先延ばしにするための曖昧な拒否表現

正解:A. 情報収集が不十分なまま決断することへの不安

解説:「他社と比較したい」という発言の裏には、今の情報では判断できない/納得できないという不安が隠れているケースが大半です。単なる断り文句に聞こえることもありますが、営業の提案が顧客の意思決定に足る材料になっていないことのサインでもあります。

BやDも一部当てはまる場合はありますが、本質はAのように不安の払拭不足に起因します。

第2問

顧客との関係が良好で、やりとりもスムーズなのに、提案が前に進まないときに最も想定すべき心理はどれか。

A. 決断を避けて現状維持を選ぶ決定回避バイアスが働いている

B. 営業の提案に具体性が足りず、次のアクションが見えない

C. 予算の執行時期を見ていてタイミングを待っている

D. 他部門が強く反対しており、社内政治的な対立がある

正解:A. 決断を避けて現状維持を選ぶ決定回避バイアスが働いている

解説:人間の心理には、「選択による失敗を避けたい」「現状を維持したい」という決定回避バイアス(Decision Avoidance Bias)が強く働きます。

関係性が良好で拒否もされないのに進まない場合、この心理が作用していることが多く、営業はリスクを取らずに進める道筋(小さな意思決定)を用意してあげる必要があります。

B~Dも可能性はありますが、最も普遍的で気づきにくいのがAの心理です。

第3問

顧客が自分の意思でコントロールしたいという心理が強い場合、営業が取るべき最も適切なスタンスはどれか。

A. 提案を控え、相手の主導で話を進めることに徹する

B. あえて提案しすぎないことで、顧客の主導感を尊重する

C. 「この選択がベスト」と断言し、強く導く

D. 自社の実績や権威を使い、納得感で誘導する

正解:B. あえて提案しすぎないことで、顧客の主導感を尊重する

解説:顧客に「自分で決めた」「自分で選んだ」という自己決定感(Autonomy)を与えることは、納得感・満足感に直結します。そのため、過度な提案や一方的なリードは、相手のコントロール欲求を脅かし、反発を生むことがあります。

Bのように、あえて選択肢を少し残す・顧客の意見を待つなど、譲る営業の姿勢がこのタイプには有効です。

営業の基礎問題(基礎編 20)

第1問

顧客が商談中に「沈黙」した際、営業として最も望ましい対応はどれか。

A. 沈黙が気まずくなる前に、次の説明や提案を早めに進める

B. 顧客が情報を処理する時間だと判断し、静かに待つ

C. 沈黙の理由を尋ねて、本音を引き出すようにする

D. 話題を切り替え、感情的な距離感を和らげる

正解:B. 顧客が情報を処理する時間だと判断し、静かに待つ

解説:商談中の沈黙は多くの場合、顧客が頭の中で情報の整理や判断をしている状態であり、「営業が話しすぎた後」や「重要な提案を聞いた後」に起こります。この沈黙に耐えられず話し始めると、顧客の考える余白を奪ってしまい、判断を妨げる可能性があります。

Bのように、沈黙を思考のサインと捉えて尊重する姿勢が信頼構築につながります。

第2問

顧客が「ちょっと考えさせてください」と言う心理の裏に最も当てはまりやすいものはどれか。

A. 提案内容の魅力は感じているが、社内調整が必要で決断を保留している

B. 本当は断りたいが、直接的に拒否すると関係にヒビが入ると感じている

C. 納得はしているが、価格交渉のための時間稼ぎをしている

D. 他の営業とも話を聞く予定なので、比較するために時間が必要である

正解:B. 本当は断りたいが、直接的に拒否すると関係にヒビが入ると感じている

解説:「考えさせてください」は営業現場で非常によく聞くフレーズですが、その多くはNoを直接伝えるのを避けるためのクッション表現です。

特に信頼関係が浅い段階では、Bのような対人関係の心理的配慮(断る罪悪感)が背景にあることが多いです。A~Dの状況もあり得ますが、最も頻出し、かつ見落とされがちなのがBの心理です。

第3問

顧客が提案内容に明確な異論を示さず、「いいですね」と肯定的に反応し続けている状態で最も注意すべきリスクはどれか。

A. 最終段階で突然競合製品に乗り換える可能性がある

B. 複数のキーマンに情報が伝わっておらず、社内稟議で止まるリスクがある

C. 内容を理解していないが、恥ずかしくて質問できないままになっている可能性がある

D. 他部署で類似製品をすでに導入しており、重複投資を避けるために否決される可能性がある

正解:C. 内容を理解していないが、恥ずかしくて質問できないままになっている可能性がある

解説:顧客が終始うなずき、「いいですね」と肯定的な反応を続けると、営業側は「納得している」と誤解しがちです。しかし実際は、内容を深く理解していないが質問や反論ができない心理状態であることもあります。これは「無知を悟られたくない」「話を止めたくない」といった顧客側の防衛的心理によるものです。

営業は「ここまででご不明点はありますか?」ではなく、「今の部分、どのあたりが一番響きましたか?」のように理解度を確認する問いを挟む工夫が必要です。

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