営業の基礎問題(基礎編 8)

第1問

新規顧客への初回アプローチにおいて、営業担当者が「御社の取り組みを拝見し、非常に共感しました」と伝えたあと、「実は、私も以前似た業界にいました」と話を展開する。こうした親近感の醸成に関係する心理効果はどれか?

A. バンドワゴン効果

B. 同調圧力

C. 類似性の法則

D. 返報性の原理

正解:C. 類似性の法則

解説:「類似性の法則」は、人は自分と共通点のある相手に好意を抱きやすいという心理傾向です。初回接点での信頼獲得や心理的距離の短縮には非常に有効で、自己開示や共通点提示が営業アプローチにおいて重要な要素となります。

第2問

商談中、顧客が不満を口にした際、営業担当者が「それはご不便をお感じになりますよね」と感情に寄り添う応答を行った上で、「その背景について少し詳しく教えていただけますか?」と質問を続けた。これはどの心理スキルに基づくアプローチか?

A. エンパシー・リスニング

B. バックトラッキング法

C. ミラーリング効果

D. フット・イン・ザ・ドア・テクニック

正解:A. エンパシー・リスニング

解説:エンパシー・リスニング(共感的傾聴)は、相手の感情に共感しながら聴く技法です。単なる情報収集ではなく、相手の感情を理解・受容することで信頼を築き、より深いニーズを引き出すことができます。

第3問

営業のクロージングで、担当者が「このご提案がもし御社にフィットしないようであれば、今回は見送っていただいて構いません」とあえて一歩引いた表現をしたところ、顧客の購入意思が強まった。この現象に関係する心理効果はどれか?

A. ドア・イン・ザ・フェイス・テクニック

B. 心理的リアクタンス

C. フレーミング効果

D. ウィンザー効果

正解:B. 心理的リアクタンス

解説:心理的リアクタンスとは、「選択を制限された」と感じると、逆にその選択をしたくなる心理反応です。クロージングであえて「買わなくてもいい」と伝えることで、顧客は「自分で選んでいる」という自由を感じ、意思決定しやすくなります。

営業の基礎問題(基礎編 7)

第1問

営業担当者が、顧客の過去の選択に敬意を表しつつ、「そのご判断があったからこそ、今回のアップグレード提案にも意味があります」と説明することで、顧客の継続的意思決定を促す。このとき働いている心理効果はどれか?

A. バンドワゴン効果

B. 一貫性の原理

C. ハロー効果

D. アンカリング効果

正解:B. 一貫性の原理

解説:「一貫性の原理」は、人は自分の過去の発言や選択と整合性のある行動を取りたがる傾向があるという心理法則です。過去の選択を肯定し、そこからの“自然な流れ”として次の提案を示すことで、顧客は受け入れやすくなります。

第2問

提案の初期段階で高めの金額プランを提示し、その後「実際はこの中間プランが一番人気です」と中位案を推すことで顧客の受容性を高める。このとき営業で使われている心理的テクニックはどれか?

A. コントラスト効果

B. ドア・イン・ザ・フェイス・テクニック

C. アンカリング効果

D. サンクコスト効果

正解:C. アンカリング効果

解説:アンカリング効果は、最初に提示された情報(この場合は高額プラン)が基準点となり、その後の提案(中間プラン)を「割安・妥当」と感じさせる心理効果です。価格設定や交渉術でも広く用いられます。

第3問

ある営業担当者は、新製品の提案において「この機能に不安があるという声も一部にはありますが、それに対して我々はこう対応しています」とネガティブな側面も事前に提示する。これが顧客の信頼を高めるのはなぜか?

A. 認知的不協和の解消

B. 両面提示効果

C. ハロー効果

D. バックファイア効果

正解:B. 両面提示効果

解説:両面提示効果とは、ポジティブな情報だけでなくネガティブな要素もあえて示すことで、相手の信頼感を高め、説得力を増す手法です。営業ではリスクや欠点も包み隠さず伝えることで、「誠実な提案」と受け取られやすくなります。

営業の基礎問題(基礎編 6)

第1問

顧客との交渉の場面で、営業担当者が「このプランは他のお客様にも非常に好評で、すぐに在庫がなくなる可能性があります」と伝えることで購入を後押ししようとする。このとき活用されている心理的効果はどれか?

A. 単純接触効果(ザイアンス効果)

B. 希少性の原理

C. 両面提示の法則

D. スノッブ効果

正解:B. 希少性の原理

解説:「希少性の原理」は、人は「限定」「残りわずか」などの情報に反応して、価値をより高く感じてしまう心理傾向です。営業では購入意思を高めるテクニックとしてよく使われます。Dのスノッブ効果(他人が持っていないから欲しい)は似て非なる概念です。

第2問

法人顧客に対する提案時、営業担当者が「御社のような業界リーダーであれば、このような成長戦略にチャレンジされるのが当然かと思います」と語り、無意識に相手の行動を導く。このとき活用されている心理学的テクニックはどれか?

A. 一貫性の原理

B. 権威への服従

C. ラベリング効果

D. 返報性の原理

正解:C. ラベリング効果

解説:ラベリング効果とは、「あなたは○○な人ですね」と第三者から言われることで、そのラベル通りに行動してしまう心理傾向です。ここでは「業界リーダー」という肯定的ラベルが行動を促すきっかけとなっています。

第3問

営業プレゼンの中で、「競合他社ではこの機能は標準ではありませんが、当社は標準装備です。さらに価格も割安です」と強調する。これはどの心理効果を狙ったものであるか?

A. コントラスト効果

B. 確証バイアス

C. フレーミング効果

D. 認知的不協和

正解:A. コントラスト効果

解説:コントラスト効果は、比較対象を提示することで本来の価値を強調する心理効果です。ここでは「競合より劣っていない・むしろ優れている」ことを際立たせるため、対比構造を用いています。確証バイアスは意思決定後の情報収集傾向に関わります。

営業の基礎問題(基礎編 5)

第1問

ある製造業の法人営業チームは、新たな製品の提案先として「高収益だが競合が多いA社」「収益は低いがシェア拡大中のB社」「リスクはあるが成長市場を持つC社」の3社を検討している。このとき、意思決定の妥当性を論理的に導くために最も適したフレームワークの組み合わせはどれか?

A. ファイブフォース分析 × VRIO分析

B. STP分析 × バリュープロポジションキャンバス

C. SWOT分析 × 意思決定マトリクス(評価基準)

D. 4P分析 × AIDMAモデル

正解:C. SWOT分析 × 意思決定マトリクス(評価基準)

解説:SWOT分析で各企業へのアプローチにおける内部要因・外部要因を整理し、意思決定マトリクス(重要度 × 評価点)によって各選択肢を数値的に比較する手法は、戦略的な営業判断に極めて有効です。

第2問

ある営業マネージャーは、提案活動の質と効率を向上させるため、営業プロセス全体を「顧客目線」で設計し直そうとしている。その際に最も適したフレームワークの組み合わせはどれか?

A. PEST分析 × ファイブフォース分析

B. カスタマージャーニーマップ × バリュープロポジションキャンバス

C. 3C分析 × VRIO分析

D. PDCAサイクル × AIDMAモデル

正解:B. カスタマージャーニーマップ × バリュープロポジションキャンバス

解説:カスタマージャーニーマップにより、顧客の行動・感情・接点を可視化し、バリュープロポジションキャンバスで顧客の期待に合致する価値を設計することで、「売り手主導」から「買い手主導」への営業プロセス変革が可能になります。

第3問

あなたのチームは、新規事業向けに営業戦略を立案している。事業リスクを抑えつつ初期顧客獲得のために最も重要なアプローチは、「顧客の課題を最小コストで素早く検証」すること。この目的に最も適した営業的アプローチ手法・フレームワークはどれか?

A. PDCAサイクルによるプロセス改善

B. ファネル分析による確度別管理

C. リーンキャンバスによる仮説検証型営業

D. AIDMAモデルによる訴求順序の整理

正解:C. リーンキャンバスによる仮説検証型営業 解説:リーンキャンバスは、最小限のリソースで「仮説 → 検証 →学び → 修正」を短期サイクルで回す新規事業やスタートアップ向け手法です。営業活動においても、課題仮説をもとに顧客インタビューやテスト提案を行い、市場ニーズを早期に把握できます。

営業の基礎問題(基礎編 4)

第1問

あなたの担当する法人顧客は、競合他社との価格比較を重視する傾向が強く、価格以外の価値を伝えにくい状況にあります。このような市場環境において、「競争優位性」を構造的に分析するために最も適したフレームワークはどれか?

A. ファイブフォース分析

B. 3C分析

C. VRIO分析

D. STP分析

正解:C. VRIO分析

解説:VRIO分析は、自社のリソースやケイパビリティが「価値(Value)」「希少性(Rarity)」「模倣困難性(Inimitability)」「組織活用性(Organization)」を備えているかを評価し、競争優位を築けるかを検証します。価格競争以外の価値訴求には有効です。

第2問

ある営業マネージャーは、既存市場での競争が激化している中、新たな収益源を模索している。自社の強みを活かして新たな機会を探索するために最も適したフレームワークはどれか?

A. SWOT分析

B. PEST分析

C. ファイブフォース分析

D. STP分析

正解:A. SWOT分析

解説:SWOT分析は、内部要因(Strength, Weakness)と外部要因(Opportunity, Threat)を組み合わせて戦略の方向性を導き出すフレームワークです。特に「強み×機会(S×O)」の掛け合わせは、新規チャレンジに有効です。

第3問

ある営業チームは、見込み顧客との初回商談で相手の意思決定プロセスが読み切れず、提案が空振りするケースが続出しています。この状況を改善するために有効なフレームワークはどれか?

A. FABE(Feature-Advantage-Benefit-Evidence)

B. DMU(Decision Making Unit)分析

C. AIDMAモデル

D. 4P分析

正解:B. DMU(Decision Making Unit)分析

解説:DMU分析は、法人営業などにおいて「誰が意思決定に関与しているのか(決裁者・影響者・使用者など)」を可視化するためのフレームワークです。BtoB営業では、提案相手と決裁者が異なることが多いため、これを把握することで商談成功率が大きく高まります。

営業の基礎問題(基礎編 3)

第1問

ある営業チームは既存顧客との取引拡大を狙っているが、顧客の関心・ニーズが多岐にわたっており、提案が分散してしまっている。このような状況で最も効果的に顧客の真のニーズを抽出し、課題を特定するフレームワークはどれか?

A. PEST分析

B. 4C分析

C. バリューチェーン分析

D. 課題構造化(ロジックツリー)

正解:D. 課題構造化(ロジックツリー)

解説:課題構造化(ロジックツリーやWhyツリー)は、表面的なニーズから深層の課題や真因を特定するのに有効です。PESTや4Cは市場や顧客理解には役立ちますが、具体的な課題特定には構造化思考が有効です。

第2問

自社の営業力強化を検討するにあたり、営業プロセスごとの強み・弱みを可視化し、ボトルネックを特定したい。この目的に最も適したフレームワークはどれか?

A. ファイブフォース分析

B. AIDMAモデル

C. バリューチェーン分析

D. カスタマージャーニーマップ

正解:C. バリューチェーン分析

解説:バリューチェーン分析は、企業内の各機能・プロセスがどのように価値を生み出しているかを分析し、強化ポイントを見極めるのに役立ちます。営業プロセスも「価値創出の流れ」として捉えることができます。

第3問

ある営業担当者は、新規市場向けの提案営業を行う際、顧客にとっての「価値」を中心にメッセージを構成したいと考えている。この目的に最も合致するフレームワークはどれか?

A. SWOT分析

B. STP分析

C. バリュープロポジションキャンバス

D. PDCAサイクル

正解:C. バリュープロポジションキャンバス

解説:バリュープロポジションキャンバスは、「顧客の課題や期待」と「自社の提供価値」を明確に対応づけるフレームワークで、提案型営業に非常に適しています。単なるセグメント分けや分析より実践的です。

営業の基礎問題(基礎編 2)

第1問

顧客理解の深掘り

顧客との商談前に、営業担当者が「意思決定構造(誰がどのように決めているか)」を把握しておくべき最も重要な理由はどれですか?

A. 担当者を飛ばして直接決裁者に営業するため 

B. 上司に報告するための資料を整理しやすくするため 

C. 決裁者の個人的な好みに合わせた営業トークを準備するため 

D. 提案のタイミング・内容・説得の観点を最適化するため 

正解:D. 提案のタイミング・内容・説得の観点を最適化するため

 解説:顧客の意思決定構造を知ることで、「誰に・いつ・何を・どのように」提案すべきかを戦略的に考えることができます。意思決定に関わる人々の役割(実務担当、影響力者、決裁者など)を把握すれば、提案の精度と確度が大きく向上します。単に上層部に接触すればいいという話ではありません。

第2問

競合比較の深掘り

競合A社が「価格面で有利」である場合、自社が営業で注力すべき戦術として最も適切なものはどれですか?

A. 値下げで対抗し、価格競争に勝つ 

B. A社の価格構造を暴露し、信頼性を下げる 

C. 自社の非価格的価値(導入効果、サポート、連携性など)を強調する  

D. 顧客に「安いものは危険」と先入観を植え付ける 

正解:C. 自社の非価格的価値(導入効果、サポート、連携性など)を強調する

 解説:価格で競争するのではなく、自社の強みや差別化要因を明確に伝えることが重要です。たとえば、導入後の成果、サポート体制、他社との連携、リスクの低さなど、価格以外の要素で価値を提供できれば、安さで選ばれるリスクを下げられます。営業は“比較”ではなく「選ばれる理由」を作ることが役目です。

第3問

 自社強みの深掘り

自社の「強み」を顧客に伝える際に、最も効果的な方法はどれですか?

A. 過去の導入実績を大量に提示し、押し切る 

B. 強みをパンフレット通りに説明し、網羅的に伝える 

C. 顧客の課題と結びつけたうえで、強みの「意味」を説明する 

D. 強みを他社との違いとして一方的に強調する 

正解:C. 顧客の課題と結びつけたうえで、強みの「意味」を説明する 

 解説:顧客は「自社の強みそのもの」には関心がなく、「それが自分の課題解決や成果創出にどうつながるか」に興味を持ちます。したがって、営業担当者は自社の強みを、顧客の文脈に合わせて“意味づけ”して伝える必要があります。これが価値提案の本質です。

営業の基礎問題(基礎編 1)

第1問

営業担当者が成果を上げるために、最も重要なのは「自社・競合・顧客」の情報を把握することです。次のうち、その理由として最も適切なものはどれでしょうか?

A. 顧客との雑談がスムーズに進むようにするため 

B. 上司からの評価を得るためのアピール材料になるため 

C. 顧客ニーズに合った提案と差別化を実現するため 

D. 商品知識を高めることでカタログ通りの説明ができるようにするため

正解:C. 顧客ニーズに合った提案と差別化を実現するため

解説:営業において成果を出すためには、顧客のニーズを深く理解し、そのニーズに合致した提案を行う必要があります。そのためには、自社の強み・弱み(自社理解)、市場でのポジションや他社の動き(競合理解)、そして顧客の課題や期待(顧客理解)の3点を把握することが不可欠です。これにより、顧客にとって「他社ではなく、なぜ自社なのか」を明確に伝えることができ、競争優位性のある提案が可能となります。

他の選択肢は以下の理由で不正解です:

A. 雑談は関係構築に役立ちますが、成果の本質とは異なります。 

B. 評価は結果に基づくものであり、アピール自体が目的になってはいけません。 

D. 商品説明だけでは価値提案には不十分で、顧客課題に応じたカスタマイズが必要です。

第2問

営業担当者が競合情報を常に把握しておくことの主な目的は何でしょうか?

A. 他社の悪口を言って自社をよく見せるため 

B. 顧客の購買プロセスを混乱させるため 

C. 他社に真似されないよう情報をブロックするため 

D. 顧客の選択肢を理解し、自社の価値を明確に伝えるため 

正解:D. 顧客の選択肢を理解し、自社の価値を明確に伝えるため

 解説:競合情報を知ることで、顧客がどんな選択肢を比較検討しているのかを把握できます。その上で、自社の優位性や違いを明確に伝えることができ、提案の説得力が高まります。ただし、他社を否定するのではなく、相対的な価値を示す姿勢が重要です。

 第3問

営業担当者が顧客の事業や業界動向を理解しておくべき理由として最も適切なものはどれですか?

A. 専門用語を多用して顧客に知識をアピールするため 

B. 決算書や財務状況を指摘してプレッシャーをかけるため 

C. 顧客の課題や成功要因に沿った提案を行うため

D. 顧客の担当者と対等に議論を交わすためだけ 

正解:C. 顧客の課題や成功要因に沿った提案を行うため

 解説:顧客の業界や事業理解は、表面的な会話ではなく「顧客が何に困っていて、どこに価値を感じるのか」を読み取るために必要です。これにより、的確なタイミングで、相手の戦略に合致した提案が可能になります。

第4問

営業担当者が自社の商品やサービスの強みと弱みを正しく把握しておくことの利点はどれですか?

A. 弱点を隠して自信満々に営業することができる 

B. すべての顧客に同じ内容を提案できるようになる 

C. 自社に都合の良い情報だけを伝えられる 

D. 顧客のニーズとの適合性を見極め、信頼性のある提案ができる 

正解:D. 顧客のニーズとの適合性を見極め、信頼性のある提案ができる

 解説:自社の特徴を正確に理解することで、「何ができるか」だけでなく、「何ができないか」も説明できます。これは顧客との信頼関係を築くうえで非常に重要で、期待と現実のギャップをなくし、提案の質を高めます。

営業の基礎問題(ヒアリング編 12)

第1問:SPIN話法の運用ミスに関する注意点

 SPIN話法を誤って運用してしまった場合に陥りやすい営業上の失敗として最も適切なものはどれか?

A. 顧客の感情に過剰に配慮し、論点があいまいになる

B. 商品説明が中心となり、顧客ニーズの深掘りが不十分になる

C. 問題点ばかりを指摘し、顧客との信頼関係を築けない

D. クロージングを急ぎすぎて、購買決定者と話せないまま提案してしまう

正解:C

解説:SPIN話法は「問題→示唆→解決」と進めるフレームですが、示唆質問(Implication)を強調しすぎると、問題点の指摘ばかりで顧客が不快感を持つ可能性があります。これは信頼関係の欠如や防衛的態度を生む原因となるため、傾聴と共感のバランスが重要です。BやDは他の営業スキル上のミスであり、SPIN特有の誤りではありません。

第2問:OAHTとSPINの構造的な違いに関する理解

. 次のうち、OAHTの法則がSPIN話法と最も本質的に異なる点として正しいものはどれか?

A. フレームとして、提案以降のクロージングに重点を置いている

B. 顧客との心理的距離を重視し、感情要素を起点にしている

C. 商品説明に強く依存する構造となっている

D. 仮説営業の前提を置かず、すべて顧客情報に依存して展開する

正解:B

解説:SPIN話法は「質問→ニーズ顕在化→提案」というロジカルな流れで構成されているのに対し、OAHTは「本音(H)」を軸にした感情・心理寄りのアプローチです。顧客の態度(A)や反応(O)を読みながら、本音(H)を引き出し、最終的に信頼(T)を構築していくのが特徴です。Bが本質的な違いです。

第3問:顧客タイプ別の活用優位性に関する理解

 次の顧客タイプに対して、OAHTの法則を活用したアプローチが最も効果的になりやすいケースはどれか?

A. 技術的スペックに強い関心があり、論理的な構成を好むエンジニア系顧客

B. 既にニーズが顕在化しており、短期導入を前提とした購買検討中の顧客

C. 表面的には関心を示さないが、感情的な不安が購買障壁になっている顧客

D. 社内稟議のために情報収集しており、価格と比較表を重視する購買担当者

正解:C

解説:OAHTの本質は「相手の本音や感情に寄り添う」ことにあります。顧客が表面的な関心は薄いが、内面に不安・不信・迷いを抱えている場合、OAHTを通じて信頼と共感を積み重ねることが突破口になります。A・B・Dは、論理的・機能的アプローチ(SPINやFAB、プレゼン型営業)で対応可能なケースです。

営業の基礎問題 (ヒアリング編 11)

第1問:SPIN話法における質問設計の意図

 SPIN話法における「Implication Question(示唆質問)」の主な目的はどれか?

A. 顧客の現状と課題を確認し、事実情報を整理するため

B. 顧客が抱える問題がもたらす悪影響を顧客自身に気づかせるため

C. 顧客に理想的な将来像を描かせ、欲求を喚起するため

D. 顧客に早期クロージングを促すための前振りとして活用するため

正解:B

解説:「示唆質問(Implication)」は、顧客の抱える問題が放置された場合にどのような損失・非効率があるかを掘り下げる質問で、顧客の危機感や行動意欲を高める効果があります。Aは「状況質問」、Cは「解決質問(Need-Payoff)」、DはSPIN話法のプロセス外の考え方です。

第2問:OAHTの法則における「H(本音)」を引き出すための営業行動として、最も適切なものはどれか?

A. 顧客の予算や決裁フローなどを早い段階で確認しておく

B. 顧客の使用用途や選定基準を詳細にヒアリングする

C. 顧客の立場や背景に共感を示し、心理的な信頼関係を構築する

D. 自社の提案内容を論理的に整理し、相手に主導権を渡さず進める

正解:C

解説:OAHTの「H(本音)」は、顧客の心の奥にある本当の不安・期待・価値観などを指します。それを引き出すには、表面的な情報だけでなく、信頼関係(ラポール)を築くことが必須です。Cのように共感や傾聴を通じて心理的安全性を提供することが鍵です。A・Bは事実情報の把握にとどまり、Dは逆効果になる恐れがあります。

第3問:SPIN話法とOAHTの法則を比較したとき、両者に共通する営業スキル要素として最も適切なものはどれか?

A. 初回訪問で自社商品の魅力をプレゼンする力

B. 顧客の感情や価値観を読み取る共感的ヒアリング力

C. 契約締結までのプロセス管理能力

D. 市場動向や業界知識に基づいた情報提供スキル

正解:B

解説:SPIN話法もOAHTの法則も、共に「顧客理解」に重点を置いたフレームワークです。顧客の立場に立ち、本音や課題を引き出すための共感力や傾聴力は、どちらの理論にも共通して必要です。A・C・Dは補完的なスキルですが、両理論の本質的な共通点ではありません。

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